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33 女伯爵としての最初の仕事③
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シンディは、父が息をしていないのを認めると、慌てて駆け寄った。すでに心臓も鼓動を止めており、たしかに先ほどまで父の生存を把握していたのにどういう事か混乱した。
「あーぁ、やっと死んだ! ふふふ、ははははは! これからは、この印を手にしたアタシがこの家の当主よ!」
こと切れたどす黒い顔の父を見下ろしながらすでに手遅れの状態だと悟る。背後で、シーリガールの明るい声がして振り返ると、彼女が満面の笑顔で伯爵代理の証である印を手にとりうっとりと見つめていたのであった。
「ほんっと、一晩中ずっと、あの人がくれた猛毒を入れた酒をふるまっていたのにしぶとかったわね……。少し前に突然効きだしてびっくりしたわ」
愛人が娘とともに、印を見ながら微笑む。彼女たちは美酒とこれから訪れる栄華に酔っており、今は印の放つ輝かしい魔力に見惚れているため、自分たちが殺人を犯したのだという失言をしたのに気づいていない。
シンディは、どういう事かと訝しんでいると、守護者であるお友達が説明してくれた。
『アールトネン伯爵代理の彼が印を手にした時から、正式に僕と契約しなくても、次代に繋がる大切な代理人だから僕の守護が印を通して彼を守っていたんだよ。一刻も早く、あのシーリガールという女の子に伯爵位を継がせたかった彼女たちは、もうずっと彼に毒を飲ませていたんだ。でも、効果がないから、シンディが行方知れずになった時に大型魔獣を一撃で倒せる毒をワインに入れて一晩中飲ませたみたいだね』
「そんな……」
『その男は、君のお母さんも、君も悲しませたから守りたくなかったんだけどね。でも、その二人が君に毒を仕込んだりするのを阻止したりはしていたんだ。だから、その男は君を傷つけはしても命を守っていたから守護をしていたんだけど。さっき君が正式に伯爵としてアールトネンを継承したから代理という存在は不要になった』
「不要……。つまり、わたくしが継承したから、守護がなくなり父は……」
「シンディ様……?」
シンディは、間接的に自分が父を死に至らしめた事を知ると、顔が真っ青になった。命を奪う気はなかった。きちんと法に則り、父には身分剥奪の上、父の生家にも責任を問うた上で、重罪人として重労働の使役をさせられる一生出る事が叶わない牢獄に送るつもりだったのだ。
守護者の姿が見えず声も聞こえないヨウルプッキは、突然震え出し顔を青ざめて震える彼女が、今にも倒れそうになっていたため、しっかり肩を持ち支えた。
「そんな……、わたくしが、わたくしが継承したために、父を殺した……?」
お友達の虹色ピュヨコは、シンディの心が瞬く間に悲しみと自責の念に駆られて暗く沈んで行くのを察して慌てて声をかけ続ける。
『それは違うよ。シンディがいたから今までその男は生きながらえて来れたんだ。そうじゃなかったら、とっくにあの二人に殺されていたから! それに、その男は君が亡くなれば自分のうまみが無くなるのを知っていた。だから、君がどんな状態でも息さえしていればいいくらいにしか思ってなかったんだよ! だから、君が自分を責める必要なんてこれっぽっちもない!』
愛されていないとは思っていたし知っていた。父に愛を求めた事もない。お友達の言葉は、彼女のショックを和らげようと思い発しただけだ。だけどこうして現実を突きつけられ、やはり父を心のどこかでほんのわずかに慕っていたシンディはショックを少なからず受けたのである。更に、死因の間接的な原因が自分である事も彼女に容赦なく襲い掛かった。
「……? シンディ様? しっかりしてください!」
守護者の言葉も、ヨウルプッキの手から伝わる温もりも彼の声も届かない。
呆然と、目の前でこと切れた父を視界に入れながら、ぶつぶつと自分が父を殺してしまったと小さく繰り返し呟いたのだった。
「あーぁ、やっと死んだ! ふふふ、ははははは! これからは、この印を手にしたアタシがこの家の当主よ!」
こと切れたどす黒い顔の父を見下ろしながらすでに手遅れの状態だと悟る。背後で、シーリガールの明るい声がして振り返ると、彼女が満面の笑顔で伯爵代理の証である印を手にとりうっとりと見つめていたのであった。
「ほんっと、一晩中ずっと、あの人がくれた猛毒を入れた酒をふるまっていたのにしぶとかったわね……。少し前に突然効きだしてびっくりしたわ」
愛人が娘とともに、印を見ながら微笑む。彼女たちは美酒とこれから訪れる栄華に酔っており、今は印の放つ輝かしい魔力に見惚れているため、自分たちが殺人を犯したのだという失言をしたのに気づいていない。
シンディは、どういう事かと訝しんでいると、守護者であるお友達が説明してくれた。
『アールトネン伯爵代理の彼が印を手にした時から、正式に僕と契約しなくても、次代に繋がる大切な代理人だから僕の守護が印を通して彼を守っていたんだよ。一刻も早く、あのシーリガールという女の子に伯爵位を継がせたかった彼女たちは、もうずっと彼に毒を飲ませていたんだ。でも、効果がないから、シンディが行方知れずになった時に大型魔獣を一撃で倒せる毒をワインに入れて一晩中飲ませたみたいだね』
「そんな……」
『その男は、君のお母さんも、君も悲しませたから守りたくなかったんだけどね。でも、その二人が君に毒を仕込んだりするのを阻止したりはしていたんだ。だから、その男は君を傷つけはしても命を守っていたから守護をしていたんだけど。さっき君が正式に伯爵としてアールトネンを継承したから代理という存在は不要になった』
「不要……。つまり、わたくしが継承したから、守護がなくなり父は……」
「シンディ様……?」
シンディは、間接的に自分が父を死に至らしめた事を知ると、顔が真っ青になった。命を奪う気はなかった。きちんと法に則り、父には身分剥奪の上、父の生家にも責任を問うた上で、重罪人として重労働の使役をさせられる一生出る事が叶わない牢獄に送るつもりだったのだ。
守護者の姿が見えず声も聞こえないヨウルプッキは、突然震え出し顔を青ざめて震える彼女が、今にも倒れそうになっていたため、しっかり肩を持ち支えた。
「そんな……、わたくしが、わたくしが継承したために、父を殺した……?」
お友達の虹色ピュヨコは、シンディの心が瞬く間に悲しみと自責の念に駆られて暗く沈んで行くのを察して慌てて声をかけ続ける。
『それは違うよ。シンディがいたから今までその男は生きながらえて来れたんだ。そうじゃなかったら、とっくにあの二人に殺されていたから! それに、その男は君が亡くなれば自分のうまみが無くなるのを知っていた。だから、君がどんな状態でも息さえしていればいいくらいにしか思ってなかったんだよ! だから、君が自分を責める必要なんてこれっぽっちもない!』
愛されていないとは思っていたし知っていた。父に愛を求めた事もない。お友達の言葉は、彼女のショックを和らげようと思い発しただけだ。だけどこうして現実を突きつけられ、やはり父を心のどこかでほんのわずかに慕っていたシンディはショックを少なからず受けたのである。更に、死因の間接的な原因が自分である事も彼女に容赦なく襲い掛かった。
「……? シンディ様? しっかりしてください!」
守護者の言葉も、ヨウルプッキの手から伝わる温もりも彼の声も届かない。
呆然と、目の前でこと切れた父を視界に入れながら、ぶつぶつと自分が父を殺してしまったと小さく繰り返し呟いたのだった。
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