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54 恋人たちのクリスマスは聖なる幸せをもたらす⑤ ~R18

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 もう、何も考えたくないほどの感覚が襲ってくる。このまま自分を全て失えばどうなるのだろうか。息が出来なくなった気がする。どうやって呼吸ってするのかすらわからない。体中の力が入っているのか、それとも脱力しているのか。
 ただ、彼の高い温度の指と肌が密着している部分が、まるで溶解された鉛のように熱くどろどろに蕩けて行く。

「…………っ! ……! ぁ……! ああ! や、やあ、それ、…………っ! 怖いっ! やあ!」

「シンディ、怖がらなくていい。僕がいるからそのままいってみて」

 目尻から涙が溢れ、助けて欲しくて振り上げた手のひらを、指を絡ませて握ってくれる。すりすりと、慰めるように動かされるその指先にすら、このまま果てなく続く先に行く事に背中を押していった。
 向こう側に何があるのだろうか。怖くてたまらない。この快楽から逃れたい。でも、もっと連れて行って欲しい。口では嫌だと叫びながら、やめて欲しくないなんてどういうことなんだろう。

ちゅる、くちゅ、じゅぅっ!


 粒に彼が吸い付いていた。両手をしっかりと握られたまま、考えられないほどの何かが、彼の唇からもたらされて、そこから頭の先、足のつま先にまで一気に広がった。

「あ、あ────っ!!!!」

 こんなの、絶対に自分じゃない。自分じゃないのに、なぜかこれも自分なんだと納得してもいる。

 がくがくと、不随意に体中の筋肉が痙攣したあと、くたりとした。自ら広げてあげていた足すらもだらんとして彼をまたぐようにだらしなくシーツに落ちる。

ちゅっ

「あん!」

 まだ、先ほどの衝動が抜けていないのに、彼が粒に軽く吸い付く。もうやめて欲しい。辛い。本気でそう思っているのに、声さえ出せずにいると、左手を握っていてくれた彼の右手がそっとほどかれた。
 寂しく、切なく感じていると、ほどなく、月の物が流れる場所に何かが入り込む。

「シンディ。ここはとても熱くて、きゅうきゅう僕の指を吸って食べているね」

 口は、今涎すら流れたまま開いている。何も食べていないのにそんな風に言われたのが不思議で、彼のいる足の付け根にゆるゆると瞳を向けた。

 すでに彼は粒から口を離して上半身を起こしている。ぐっと体を足の間に入れこみ、逞しい腰で力の入らない足を抱えて持ち上げるようにしていた。
 右の手が、付け根を覆うようにしていて、そこから、ぱちゅ、ぱちゅんと、はしたない音がして耳に入り込んだ。

「指一本だけだけど。きついな……」

 体の中に違和感を感じていたのは、彼が指を底に入れているからだと気づいた時、もう力が入らないと思っていた体が収縮した。

「シンディ、力を抜いて。ここで僕を受け入れて」

 彼の何を受け入れるのかは頭では理解していた。でも、さっきから初めて感じる快感、そして、つらいほどの快楽の海にまた引きずり込まれるのかと思うと身構えてしまいどうしても力を抜けなかった。

 手を足の付け根で動かしながら、彼が近づいて来る。優しく、切なく名前を呼ばれ唇が合わさった。

「ん、ん……」
「ちゅ、シンディ。かわいい。僕の、シンディ」

 かわいいかわいいと言ってくれるただ一人の愛しい人の首に腕を回して、逃がさないように抱え込み唇を合わせ、舌を絡め合う。

 いつのまにか、足の付け根の事が気にならなくなるほどそれに夢中になっていると、ぷにゅっと何かが当てられた。

「指、なんとか三本入った……。もっと解してあげたいけど限界。いい?」

 ぐちゅぐちゅと、わざと音がするように、彼の腰が動いて秘壺から粒を往復させている。おそらく彼の象徴なのだろう。
 金属ほど硬くなく、でも、硬度のある太いそれを果たして受け入れる事が可能なのかわからず、彼の青と緑の魔石の揺らめきを覗き込んだ。

 視線をそらさない赤い瞳をその二色が、その中にある返事を確かめるように見つめ返して来る。

「ゆっくり、いくよ?」

 返事をしなくちゃと思っても出来なかった。ただ、コクコクと小さく何度も頷く。前後を擦っていた彼の熱の先端が、秘壺の入り口に当てられたと思うと、ずぷりと入り込んできた。


「……っつ」

 痛みではない。広げられてびっくりしたのと、不安と恐怖で身が縮こまる。

「シンディ愛している。ああ、僕を包んで……力を抜いて」

 ぽたりと汗が流れ落ちて来る。ぎゅうっと思い切り閉じていた瞼を開くと、うっとりと、でも、切なそうに苦しそうな表情の彼の顔が見えた。

 痛いのかもしれないと思って、なんとか力を抜きたいけれど出来ない。ゆっくり息をくりかえすけれど、彼の腰が近づくにつれて、圧迫感の他に痛みも出てきて息を忘れてしまう。

「ああ、絡みついてくる。きゅうって僕を絞って……。痛いよね? ごめん、シンディ。僕だけが気持ちいい」
「ヨール、痛くない? 辛そう……」
「痛くはない。気持ちが良すぎてたまらなくてがまんしているんだ」

 彼の言葉を聞いてほっとする。痛みすら幸せを感じてしまう。だって、この痛みが彼が自分を望んでくれている証拠だから。彼を、自分だけのものだと感じられる瞬間だから。

「よか……、た。どうぞ、がまんなさらず気持ちよくなって……」

 彼が与えてくれる嬉しさも、幸せも、切なさも、喜びも、痛みも全て受け止めたくてそう言った。

「シンディッ!」

 切羽詰まったように名前を呼ばれた瞬間、ずんっと大きな衝撃がお腹の中に生じる。痛みが一気に押し寄せたかと思うと、彼と私が完全につながったのであった。


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