【完結】【R18】妹に婚約者を寝取られ断罪されたわたくし。~連行する騎士様、監禁先で蹂躙してくださいませ【本編完結。番外編7つ】

にじくす まさしよ

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望んだのはただ一人。彼女だけだったはずなのに……cannot be obedient ※※

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 王子のざまあ回っちゃ、ざまあ回です。王子の名前ですか? たしかアルなんとかです。えっとどの回に書いてあったか………。今回は微微微微~次回はきつめ




 俺は、この国の次期王となるべく産まれ、そして教育されてきた。女遊びは多少はするけれども、かつての学生時代の父上よりは大人しいと自負している。

 美しい容姿に、温和な性格、そして、品行方正で決断力もあり、まかされてきた公務も及第点以上の成果を上げて来た。そんな輝かしい経歴の俺には、決められた婚約者がいた。

 サラサラの冷たいような、しかし日の光を浴びると輝きだす銀糸の髪に、感情を伴わない、けれども誠実で温和な瞳はダークブルー。陶磁器のような、触れればさぞかし気持ちがいいだろう白い肌に、華奢な体。それに見合わない胸元の大きさや、コルセットをせずともきっと細い腰。ダンスをした時に、さりげなく振れる臀部のふくらみはつんと上を向いており欲情を誘った。

 女を抱きながら、イザベルを思い、いつか本物の彼女に注ぐ俺の子種を後ろの穴に放つ。

「殿下、この件ですが……」
「殿下、あまり聞こえの悪い行動は……」
「殿下、先日の災害であの地方が……」

 常日頃から、口を開けば、政務の事か、うるさい小言をいうような完璧な言動をするイザベルに、いつの間にか苛立ちを感じるようになったのは俺が閨教育を始めた頃だ。解放された性は、俺にとっては中毒性のある蜜のように、甘く体を蕩けさせた。

 婚約者だというのに、閨の教師よりも熱の全くこもっていない瞳。日々、成長していく俺に対して、一向にその瞳には熱がこもらなかった。

 寄って来る令嬢たちは、そのほとんどが、俺の容姿や地位に対して魅了されており、俺が望めば未婚の間に許される肌を許して来る。だが、イザベルだけは、その唇にすら触れる事を許さなかった。

 俺は、イザベルを見る度に煽られる、彼女に受け入れられる事のない欲を、下心という欲だけですりよる、見かけだけは良い彼女たちで発散させていた。

 イザベルの、あの冷たい瞳には、一体いつ色が灯るのだろうか。わざと冷たい態度をとったり、これ見よがしに令嬢の腰を引き寄せては声をあげさせていた。

 学園に、イザベルとその妹が入学してから、彼女の態度が変わった。妹の、名はなんといったか、庇護欲は誘うが、姉の婚約者という俺や側近たちに、いとも簡単に肌を容易く許す娼婦のような彼女は、どこで何をしても自由自在だ。イザベルがいる窓を、ふと見上げた時、彼女が悔しそうに表情をゆがめて背を向けると去って行った。

 初めてだった。初めて、彼女が反応を見せた瞬間だった。

 それからと言うもの、イザベルの妹と彼女の耳に、目に届くような場所と時を選んで睦み合った。その度に向けられる瞳の色は、悔しさであり、俺に対してようやくヤキモチを焼いたかと溜飲が下がる。

 父が、イザベルを狙っているのは分かっていた。彼女は、膨大な魔力を持っており、加えて非の打ちどころがない時期王妃として相応しい人物だ。少女から女性に変化するごとに、父の目には野獣のように彼女を狙う色が灯し出したころ、イザベルの妹が、子を孕んだと聞かされた。

 どこの誰ともしれない、その胎の中の子は、おそらくは秘密裏に処理されるだろう。王家とて馬鹿ではない。俺は、彼女の純潔を守るという体裁で、俺の子種はイザベルただ一人に注ぐと決めてある。きっと、快楽に弱い彼女は、相手をしている誰かに純潔を許したのだろう。

 普通、後ろか前か、分かりそうなものなのに、やはり、見目と、見せかけだけの性格の優しいふりだけの頭の軽い女だと思った。

 その事もあり、父はこれ幸いと俺からイザベルを取り上げ、いいように使おうと画策していたのは知っていた。婚約解消は俺の浮気で思った以上に酷く傷ついてしまった彼女の願いでもあるという。


──馬鹿なイザベル。素直に俺に縋ればいいものを。そんなに俺を恋しいのならば、俺のものにして、一生涯かわいがってやろう。


 俺は、父に彼女をとられてはたまらないと、彼女との婚約解消の直前である生誕祭で彼女を罠に嵌めた。貴族を幽閉する俺が管轄する塔に閉じ込める事に成功したのだ。魔力を封じるアイテムは、国宝の一つで、彼女の魔力では壊せないだろう。非力になった、打ちひしがれた彼女を、落ち着いたら慰めて計画を打ち明け、そして、表立っては妃に出来ないが、俺の心がどこにあるのか、その体に長年の想いをぶつけよう。


──────そう、思っていたのに……。



 魔力封じのアイテムが仇になった。腕利きの剣しか取り柄のない護衛に彼女を任せたのは、無防備な彼女を守るためだ。だというのに、結界を破り塔に入り込んだ、イザベルの政敵が彼女を乱暴し連れ去ったというではないか。しかも部屋は多量の血が流れており、生きてはいないという。

 俺は、目の前が真っ赤になり、護衛を切り捨てようとしたが、俺に執着してた令嬢たちの親が、それを反対した。どうあっても、イザベルは亡くなってしまい、戻っては来ない。父も護衛だけの失態ではないと宣言し、それでも罰として、やつは国外追放となった。

 イザベルの実家と結ぶ政略結婚のため、あの妹と結婚しなければならない。さらに、無能な彼女の代わりに政務を行うジャンヌという側妃になる女も宛がわれた。

 俺は、これまで自分だけでなしえた業績が、イザベルの裏の支えがあってこその功績だと気づいたのは、あれから2年ほど経った頃だった。考えて実行する政策が、どれもこれも今一つで、辺境は貧困にあえぐようになった。それに対して、側妃であるジャンヌの実家が手を加え、今や、彼女の家の勢力は王家をしのぐほどになった。

 最初のうちはがむしゃらに失態を取り戻そうとしたものの、王妃になったイザベルの妹が2回産んだ子は、俺の側近や、庭師の色だった。俺は、側近たちがあの女と遊ぶのを黙認していたが、結婚後も孕ませる行為をしていたとは思わず、裏切られたと感じて不信を抱く。
 そして、ジャンヌとは白い結婚だった事もあり、次第に無気力になり、傀儡の王になったのだった。



 イザベルの妹は、二度も醜聞を起こした罪で彼女が亡くなったあの塔に幽閉されたという。俺は彼女の事に全く関心がなく、そして程なくして息を引き取った事を聞いても心が一切動かなかった。いや、イザベルはあんなふうに死に向かったというのに、あの女が安らかに眠った事に対しては心がかきむしられる思いだけがあった。
 その日、俺はイザベルを想い自身を慰めた。



 そして、今。俺はベッドで身動きできない。なぜかジャンヌだけが義務的に誠実に付き添ってくれている。彼女も俺を愛していないが、情はあるようだ。そして、俺の心に未だに住む女性の事も知っている戦友でもある。彼女は、真に愛する男と政務を行い、そして、俺の同意を受けて、俺と同じ色をしたその男の子を産んだ。その子も、立派に国を支えた王となっている。

 完全に国を乗っ取られたが、もうどうでもいい……。

 かろうじて伸ばした手は、かさついて皺だらけだ。ジャンヌだけが、俺の手を、同じように年を重ねてしまった手でそっと握る。彼女のその手の上には、俺が信頼する彼女の最愛の男の手が重なる。


「イザベル……」
「貴方って人は、本当にバカね」
「ああ、バカだな……」


 一体、どこから間違っていたのか……。もう一度、叶うなら君に会いたい。そして、その時には、心から赤いバラを一輪、君にだけ捧げよう……。





次回は妹ちゃんです。書いてみたらですね、微ではなくなりました。閲覧注意なので特に性に関する地雷のある方は、明日はおやめください。

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