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持つべきものは親友未満の友達でしょう?※※

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 ナイトハルト様が、わたくしと一つになろうとして腰を進めて来てくださる。彼の太い指が三本入っていたわたくしの中は、それでも、ナイトハルト君のような立派に育った子にはキツイらしくて、ポタポタと汗が落ちて来た。

「ナイトハルトさま……、苦しいのですか?」
「いや……、あまりにも、想像を絶するほど気持ちが良すぎて……くぅ!」
「嬉しい……。どうぞ、わたくしでいっぱい気持ちよくなってくださいまし」
「……! 貴女という人は……!」

 どうやら、ナイトハルト君が粗相をしようとするのを耐えていたようだ。けれども、わたくしの言葉で、ナイトハルト様は、きっと意を決したようだ。足をぐっと開かれて、腰を強く押し付けられた。

 めりめりと、狭い中を押し広げられ苦しいけれど、痛みはそれほどない。少し、そう、ほんの少しだけ怖い。でも、このままわたくしの全てを力強く貰って欲しい。

──ああ、いよいよ……!

 そう、思ったちょうどその時。


 ドンドンドンッ!

「イザベルッ! 大丈夫? 助けに来たわよ!」

 この、焦って大きな声をあげているのは、ジャンヌ様だ。わたくしたちは、まさかこんな時にと、複雑な心境のまま、体を離した。ちゅぽんと抜けてしまうナイトハルト君が、とても寂しそうで、わたくしの中も、離れて行ってほしくなくて切なくきゅんきゅんしてしまう。

 慌ててナイトハルト様が服を着用する。でも、わたくしのドレスはもう着られない。

「ベル、俺が先走ったばかりにすまない……」

  王子つきの護衛騎士の制服は、白と金糸を基調としていて、ナイトハルト様に似合っている。とてもカッコいい逞しさがあり、うっとりとしてしまう。

  わたくしの体、特に彼の涎でまみれた胸の先や、今もはしたなくナイトハルト君を求めて泣いているそこを丁寧に拭いてくださる。

「きゃっ、自分でしますからあ。んんっ」
「もう拭き終わった。ほら、下着を……、すまない、着る物が俺のせいで……」
「緊急事態でしたもの……。とりあえず下着だけ……」


  少々濡れてしまって気持ち悪いけれども、真っ赤になったナイトハルト様が、ヒモパンだけ着用させてくれる。そのあとシーツで体をすっぽりと覆われた。

「鍵がかかってる! 誰か、ドアを壊しなさいっ!」
「待って、待って、ジャンヌさまっ! 内側から開けますからっ!」
「イザベル? 無事なら早く返事なさい!」
「申し訳ありません……。もう少しお待ちになってっ!」
「ま、まあ、あんな事があったのですもの。大丈夫?  でも早く!  逃げるわよ!」
「は、はいっ!」

  あられもない姿になってしまっていて、慌て乱れた髪を手で直したものの酷い格好だ。

「あ、あの、ジャンヌさま、わたくしドレスが苦しくて意識を失っていたのです」
「なんですって?」
「ですので、わたくしの救命のため、ここまで連れてきて下さった方がドレスを緩めて……、その……。今はシーツで体を……」
「ああ、コルセットとかを外していただいたのね?  まさか、あの王子の護衛騎士に無体な事をされてはいないでしょうね?」
「ナイトハルト様は、王子と違って紳士でいらっしゃいますわ。わたくしの嫌がる事はなさりません」

──ええ、わたくしの嫌がる事はされてないわ!  う、嘘はついていないから!

「そう、そうよね……。良かったわ。ひとまず、わたくしの隠れ家に行きますわよ」

  ナイトハルト様がドアを開けると、ジャンヌ様だけが飛び込んで来られた。

「イザベル様、遅くなって申し訳なかったわね。ちょっと準備をしていて……。なぜドレスがビリビリに破れて、ドロワースまで床に?」
「ナイトハルト様は、女性のドレスを知らなかったようです。息が止まりそうなわたくしの救命に必死になってしまい、こうなったと」
「……」

  ジャンヌ様が、ナイトハルト様を懐疑的にじと目で見た。ナイトハルト様は、申し訳なさそうな、ばつの悪い表情で視線をわたくしに向けた。頭にはやはりゴールデンレトリーバーのような垂れ耳が見える気がする。

──きゃあ、なんてこと。そんなナイトハルト様も愛らしくて。どこまでわたくしを萌えさせるの?


「ジャンヌ様、わたくしのためにありがとうございます……」
「なっ、そんな、あなたがいなくなれば勢力図が変わるから、ただ、そ、そうよ、政治的な意味合いで!」
「ふふふ、それでも、皆に見捨てられたわたくしにとって、ジャンヌ様のお心はとても嬉しいですわ」
「……、大したことじゃあないわ。でも、ちょうど偽装するのにドレスが必要だったから良しとします。彼の事は、信じて差し上げますわ」
「ありがとうございます」
「ではわたくしの侍女の服を用意したからそれを着て」
「まあ、ありがとうございます」

  脱出する際、侍女のふりをするのね。ジャンヌ様の機転にわたくしは感心した。

「全部脱いで。ちょうどいいから、そこの護衛騎士、彼女に乱暴をしたと言われたくなければ、ドレスもドロワースも全てもっと引き裂きなさい。イザベル様は、下着も脱いで」
「はい?」

  濡れ濡れの下着は脱ぎたくない……。でも逆らえないオーラが彼女から発生される。わたくしは折角身につけたヒモパンを、見られないよう祈りながら泣く泣く脱いだ。その間にも、ナイトハルト様は言いつけ通りにドレスなどを、腕の筋肉を盛り上がらせて引き裂いていく。

「そのくらいでいいわ。ナイトハルト様、とおっしゃいましたか。貴方にも来てもらいます。拒否したり外部に漏らしたりすれば、わかりますわね?」
「……」
「ジャンヌ様、彼は実直で誠実な騎士の鏡のような方です。その、先ほど、王子の仕打ちに対して謝罪と、わたくしを守って下さると言ってくれてましたの。ですから、あの……」
「まあ、そうですの?」
「はい。私に出来る事は全て致します。罪もないベルをここに置いてはいけません。元々、私が逃がすつもりでした」
「ベルですって……?」
「ジャンヌ様、わたくし着替えが終わりましたわ!」

  ナイトハルト様が敢えてベルと言ってしまい、話題を反らせるため慌てて声をかける。

「……、後で説明していただきますわよ。さあ、二人とも、わたくしと一緒に行きましょう」

  そう言うと、ジャンヌ様がつれてきた人達が部屋に入り、血のりをドレスやシーツ、床などに少し着けた。窓に、カーテンで作ったロープを垂らして、窓枠にも血を着ける。

   手慣れたそれを感心して見ていると、ぐいっと体を引き寄せられてお姫様抱っこ状態になった。

「ベル、他の男を見るな」
「ナイトハルト様……。はい、おっしゃる通りに致しますわ」

  瞬時に、わたくしの脳内はナイトハルト様一色になってしまい、うっとりと応えた。ジャンヌ様は察しながらも呆れた様子だ。

「……、行くわよ」

  ナイトハルト様は、わたくしを抱いたまま、ジャンヌ様についていく。わたくしは、彼の盛り上がる胸板に頬を寄せ、ぶっとい首に腕を回した。

──なんて幸せなのでしょう……。


  状況は最悪ではあるけれど、窮地に駆けつけてくれた親友未満のおともだちと、最愛の人に守られて、わたくしは城から抜け出したのだった。





※寸止め、きちんと理由があるのですうう。すみません。そしてナイトハルト様&ナイトハルト君ごめんなさい!
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