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やんちゃ姫とわんこ⑤
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「なあなあ、サヴァイヴ! おまえ、イヴォンヌちゃんとこんやくしてんのか~?」
「え? ぼくはまだだれともこんやくしてないよ」
「そっか……。そっか!」
枯れ木で騎士ごっこをしていた少年たちは、疲れてだらしなく大木の根元に座り込んでいた。唐突に、一番年上の男の子がサヴァイヴに訊ねてきて、びっくりした彼は、特に深く考える事もなく正直に答えた。
「はっぴょうがないだけで、てっきりおまえたちはけっこんするっておもってた!」
「じゃあ、ぼくにもまだチャンスあるかなあ?」
「えー! それならぼくだって!」
汗だくの少々ぽっちゃりした男の子たちが、ほっとしたようににこにことそう言った。サヴァイヴは、なんだかおもしろくなく感じて、口をむっと尖らせてしまう。
「けっこんとか、まだはやいだろう?」
「サヴァイヴ、なにいってんだよ! おれなんか3さいのときにこんやくしゃができたぞ?」
「ぼくのところも、たぶんしらないうちにきまっちゃう。なんだかつまんないよね。あったこともないんだよ」
「だいたいそうじゃないか? おれも、おうとの、はくしゃくのひとりむすめのところに、むこいりさせるってちちうえがいってた」
「へぇ~。ぼくは、まだだなあ? たんれんするのにいそがしいもん」
「サヴァイヴはここのあとつぎだからなあ。おれたちみたいに、あとをつげるいえがないわけじゃないからいいよな」
「だね~。でも、イヴォンヌちゃんとなかよしだから、まだだっていったって、もうすぐきまっちゃうんだろ?」
「いいよなあ。ぼくもどうせなら、あのことこんやくしたかった!」
「かわいいし、やさしいし、あかるいもんな!」
サヴァイヴは、イヴォンヌがほめられて嬉しいような、自分以外の少年たちが彼女を好きだといわんばかりの会話に胸がもぞもぞと気持ちが悪くなった。
「ヴィーはかわいいけど……。けっこん?」
誰よりも親しい女の子。嫌いじゃないし、一緒にいてとても楽しい。でも、結婚となると首を傾げる。
「ははは、サヴァイヴはスキなことかいないのかよ!」
「うーん……? ぼくは、はやくつよくなりたいから、そういうのはいいかな?」
「そんなこといってて、イヴォンヌちゃんが、だれかにとられちゃってもしらないぞ?」
「だよなー。おうとにいってしまったら、おれたちなんてみむきもされなかったりしてな!」
「だよなあ。こんな、どいなかじゃなあ……。ぼくもこんやくしゃをちちうえがきめるのに、すっごいたいへんだっていってたし」
「え?」
イヴォンヌが王都にいってしまうと言った言葉を聞いて、サヴァイヴは考えが停止した。そんな事、考えたくもないしありえないと、根拠もなく、彼女はずっと側にいると思っていたのである。毎年、半年ほど彼女は王都に行くけれども、きちんと帰って来ていた。だから、ずっと王都に行ったままなんて絶対にない。
そうは言い合いつつも、彼らの中でも、常日頃のサヴァイヴとイヴォンヌの仲の良さや大人たちの会話から、彼らがいずれ結婚して、この辺境を導く存在だと疑いもしなかった。
男の子というのは異性よりも仲間との遊びに夢中になりがちだ。この中で、本気で女の子を好きになった経験のある子はいない。全て聞きかじりで大人のマネをしているだけに他ならない。
あっという間に、女の子の話題を忘れて、走り回ったのであった。
「え? ぼくはまだだれともこんやくしてないよ」
「そっか……。そっか!」
枯れ木で騎士ごっこをしていた少年たちは、疲れてだらしなく大木の根元に座り込んでいた。唐突に、一番年上の男の子がサヴァイヴに訊ねてきて、びっくりした彼は、特に深く考える事もなく正直に答えた。
「はっぴょうがないだけで、てっきりおまえたちはけっこんするっておもってた!」
「じゃあ、ぼくにもまだチャンスあるかなあ?」
「えー! それならぼくだって!」
汗だくの少々ぽっちゃりした男の子たちが、ほっとしたようににこにことそう言った。サヴァイヴは、なんだかおもしろくなく感じて、口をむっと尖らせてしまう。
「けっこんとか、まだはやいだろう?」
「サヴァイヴ、なにいってんだよ! おれなんか3さいのときにこんやくしゃができたぞ?」
「ぼくのところも、たぶんしらないうちにきまっちゃう。なんだかつまんないよね。あったこともないんだよ」
「だいたいそうじゃないか? おれも、おうとの、はくしゃくのひとりむすめのところに、むこいりさせるってちちうえがいってた」
「へぇ~。ぼくは、まだだなあ? たんれんするのにいそがしいもん」
「サヴァイヴはここのあとつぎだからなあ。おれたちみたいに、あとをつげるいえがないわけじゃないからいいよな」
「だね~。でも、イヴォンヌちゃんとなかよしだから、まだだっていったって、もうすぐきまっちゃうんだろ?」
「いいよなあ。ぼくもどうせなら、あのことこんやくしたかった!」
「かわいいし、やさしいし、あかるいもんな!」
サヴァイヴは、イヴォンヌがほめられて嬉しいような、自分以外の少年たちが彼女を好きだといわんばかりの会話に胸がもぞもぞと気持ちが悪くなった。
「ヴィーはかわいいけど……。けっこん?」
誰よりも親しい女の子。嫌いじゃないし、一緒にいてとても楽しい。でも、結婚となると首を傾げる。
「ははは、サヴァイヴはスキなことかいないのかよ!」
「うーん……? ぼくは、はやくつよくなりたいから、そういうのはいいかな?」
「そんなこといってて、イヴォンヌちゃんが、だれかにとられちゃってもしらないぞ?」
「だよなー。おうとにいってしまったら、おれたちなんてみむきもされなかったりしてな!」
「だよなあ。こんな、どいなかじゃなあ……。ぼくもこんやくしゃをちちうえがきめるのに、すっごいたいへんだっていってたし」
「え?」
イヴォンヌが王都にいってしまうと言った言葉を聞いて、サヴァイヴは考えが停止した。そんな事、考えたくもないしありえないと、根拠もなく、彼女はずっと側にいると思っていたのである。毎年、半年ほど彼女は王都に行くけれども、きちんと帰って来ていた。だから、ずっと王都に行ったままなんて絶対にない。
そうは言い合いつつも、彼らの中でも、常日頃のサヴァイヴとイヴォンヌの仲の良さや大人たちの会話から、彼らがいずれ結婚して、この辺境を導く存在だと疑いもしなかった。
男の子というのは異性よりも仲間との遊びに夢中になりがちだ。この中で、本気で女の子を好きになった経験のある子はいない。全て聞きかじりで大人のマネをしているだけに他ならない。
あっという間に、女の子の話題を忘れて、走り回ったのであった。
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