【完結】【R18】これから、白いドアを開けて体験授業に挑みますっ!

にじくす まさしよ

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一夫一妻制なんて、伝説級の大昔の事なのです

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 この世界は、人類滅亡のカウントダウンが始まっていた。

 少子化が進んだ上に、男女比までもバランスを崩した世界。昔は、ほぼ1:1だったはずが、1,2:1、1,5:1、2:1、と男の数が増えてきていた。ついには5:1となり、女児の減少が著しくなったため、誘拐などが横行した。小さな村では女性を巡る戦いが起こるほど。

 一時は70億人もいたらしい人口は、今や10億程度になっているそうだ。女性争奪が苛烈を極め、世界中で戦争をしていた頃には、それよりも少なくなっていた時期もあったらしい。戦争など、土地や海、富を求めるために繰り返されて来ていたはずなのに。


 各国は、この事態を重く受け止め協力し解消するべく、男女雇用機会均等法ならぬ、男女比率均等法を発令。

 それは、女児の保護並びに出生をコントロールするためのもので、満20歳までにパートナーを3人以上見つけるために施行された世界共通の法律である。

 細かな項目は数えきれないほどあり、全ては女性を、産まれてくる子を守るために作られた。

───要約すると────

 ひとつ、女性を独占及び奪い合う事を禁止する。
 ふたつ、女性を心身ともに傷つける事を禁止する。
 みっつ、男性は、女性を守り、妻となった女性の子の父親が誰であろうとも協力し合い育てる事。
 よっつ、未成年者は、20歳までに良縁を結ぶ努力を家族と共にしなければならない。
 いつつ、女性は、最低3名の優秀な夫を得る権利と義務を有する。

 他にも多岐にわたっているが、重要事項はこの5項目だ。


 子供たちは、基本的に両親によって20歳までにパートナーを宛がわれるが、諸事情により出来なかった場合の救済がある。

 その一つが、施設での奉仕活動。これは、諸事情により特定の夫を得られなかった女性が、一生を安心して暮らしていけるための収容施設である。ここに入った女性たちは、救済や懺悔を求めてやって来る妻を持てなかった男たちに対して、慈愛を持って相手をするという崇高なる使命が課せられる。

─要するに、募金を持って来た独り者の男たちの性的欲求を解消するための施設だ。ここでは、一日に多ければ10人ほどの迷える子羊、いや、ぎらぎらと目を輝かせている肉食獣たちを救うのだ。



 もう一つが体験授業である。未成年者は、男女に別れて教育を受ける。幼少期から性について学び、健全かつ妊娠・出産しやすいよう性生活を送るための、ありとあらゆる手技を学ぶ。

 基本的に、家族が女児に対して早々に夫を決めるので、女児は夫たちからそれを学ぶ。故に、あまり学校に通う事はない。

 だが、家族から宛がわれる夫候補たちでは性格や容姿が合わないなど、恋愛を楽しみ、自分で夫を決めたいという少女も少なからずいる。そういった少女たちが主に通い、隣の校舎で社会を動かすために日々勉強をしている相手のいない少年たちと交流を深め、20歳の卒業までに3人以上の夫を決めるのだ。

 20歳までに夫たちを得られなかった少女は、最終的に体験授業をして夫たちを決めなければならない。それを拒否した場合、施設での奉仕活動が課せられる事になるのだった。






「……。相手を決める最終決定権が女にあるからって、ひっどい話……」

 ぽつりとつぶやく少女が、裏庭で空を見上げて長い溜息を吐いた。この世界では、女性が少ないため、基本的に女というだけでモテる。少年たちも、親が縁組を上手く出来なければ一生妻を持てないため学園生活では積極的に少女たちを得ようと、ありとあらゆる努力する。

 つまりは、どんな少年でも、タイプがそれほどあるわけでもなく、絶えず優秀な人からアプローチされるためよりどりみどりなのだ。

「マリア、あなたもそろそろ決めないと」

「だって。絶対に夫を3人持たないといけないって、やっぱり抵抗あるもの」
「マリアは、大昔の一夫一妻制がいいんだもんねぇ」
「うん。そりゃあ、世界政府が人類滅亡の危機のために、一時は酷い目にあったり、性のはけ口や子作りのためだけに奴隷扱いされていた女性を、よりよい環境に置くために改定を繰り返して出来た、今の法が素晴らしいとは思うんだけど……」

「分かってるんだったらさあ……。マリアが断わりまくるから、いい物件はほとんど残ってないんだよ? だって、皆3人はキープしつつ、学園での恋愛ごっこをしているだけだもん。結婚しちゃったら用事がない限り外になんて出られないんだから」
「うー。一人だけでもいいって今日にも法律が変わらないかしら……」
「無理だって。諦めてさっさと決めちゃいなよ。といっても、あとは訳ありか年下しか残ってないけどさ」
「……」

「マリアにベタボレだった男の子たちだって、あきらめてもう他の女の子に行っちゃったし……。せっかく色気があってモテるのに、勿体ない。今だって、憂いを帯びたため息のせいで、隣の男子の校舎の子たちを何人魅了してんだか」

「スミレは、決まった相手たちが5人もいるんだよね。抵抗ないの?」
「うーん。皆がそれぞれに魅力があるし、とても大事にしてくれるからね。防犯や経済上3人でギリギリでしょう? やっぱり、お互いの負担を減らすためにも5人はいるでしょ! でも、施設にいったらそんな風に気遣ってくれる人なんてほとんどないんだよ? そろそろ夢見るのもやめて覚悟しちゃいなよ。マリアが施設なんて入ったら二度と会えなくなっちゃうじゃない」
「私だって、施設は嫌……。好んで行く人たちもいるらしいけどね」


「だねえ。ほら、授業が始まるよ。とりあえず教室に行こう?」
「うん」

 マリアは、スミレに手をとられて教室へ戻って行った。隣の校舎の少年たちの中には、彼女たちに熱い視線を投げかけている者もいる。特に、最終学年になっても夫を決めていないマリアに対しては、誰の求婚も断るため、もしも会って話す機会があれば自分を選んで欲しいと恋焦がれる者も少なからずいたのである。

「名ばかりの夫でいいっていう人っていないんだよね……」
「なに馬鹿な事を言ってるの。そりゃそうでしょ。クスクス。ほら、行くよ!」
「はーい」






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