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お見合い? お身合い? お身愛?
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マリアは、ぼーっと目の前に浮かぶ映像を見ていた。すでに、嫌になるほど見て来たそれは、男女の性教育に関する物である。
初めて見た頃は、恥ずかしがりながらも、皆食い入るように見ていたものの、最終学年になると、授業に参加せず結婚してしまった子もいるため教室は半分くらいになっている。
実地でもっと凄い事をしている子たちばかりだ。皆、映像を見ているふりをして、思い思いの事をしていた。
「……」
マリアは、映像のある部分が受け入れられないのだ。それは、一人の女性に対して、男性が複数である事。
この世界は、夫を3人以上持たなくてはならないため、一人一人相手にしてしまうと、夫たちが寂しがる。この法律は、女性のために作られたが、作ったのは男性だ。なぜなら、女性は毎日のように夫たちから愛を受けて仕事などする体力が残っておらず、子を産み育てる事で精一杯になるから仕事など出来ない。その上、経済力のある夫たちがいるため、あえて仕事をする必要もないので女性の職業はほとんどないに等しいのだ。
そのように、男性が作った法は、男性が不利にならない物に仕上がっているのも当然であろう。女性のための法である事は間違いないのだが、周囲を見渡すと男性のほうが美味しい思いをしているような気がするのも頷ける。
「……、あんなの毎日されたら、子育てする体力も残らないじゃない」
映像でひたすら快楽に溺れている女性を見てげんなりする。マリアの言う通り、子育ては夫たちが交代でするか、子守を雇って任せているかどちらかが常だ。女性が少ないため、子守は勿論男性になり、その子守は夫に昇格する事が多い。つまり、将来的に夫が増える事を見越して、20歳の時点では、最低3人の夫なのだ。
夫たちは、勿論、妻を独占したい。禁止されているとはいえ、複数の夫が増えれば増えるほど自らの首をしめるため、子守を雇いたがらないが、政略的な意味や、妻が望んだ場合など、様々な家庭の事情でそういう目的であえて子守を雇う事も多いとは聞く。
「スミレの言う通り、覚悟を決めなきゃダメかあ……」
独り言を口の中で発した途端、授業終了のアラームが鳴る。今日の授業はこれで終わりのため、ガタガタと席を立ち、帰宅の準備を始めた。この後は、マリア以外のクラスメイトは、皆、卒業後の夫たちとデートをする。
中には女の子同士で何処かに出かける子たちもいるが、外は誘拐などの危険もあるため結局は夫たちが付きそうためデートとそう変わらない。
「マリア、マリア・エヴァンス」
突然、教壇から声がかかった。マリアのクラス担任が現れて呼んでいたため、すぐさまそちらに向かう。
「先生、何でしょう?」
「実は、ご実家から至急の連絡が入ったの。すぐに折り返しなさい」
「ええ? な、何かあったのでしょうか?」
「ああ、身内の方々に何かあったというわけではないそうよ」
「そ、そうですか……。良かった……」
思わず身内の不幸ごとかと身震いしたが、そうではないらしい。ほっと一息ついた後、自室にもどり通信した。
「お母さま、お父さまがた、どうなさいましたか?」
『ああ、マリア。久しぶりね。あなた、もうすぐ卒業でしょう? いい人は出来た? もしもまだなら、私や夫たちがいいお相手を紹介するけれども』
「えっと……」
『マリア、このままでは僕たちが紹介する相手よりも、条件の悪いひどい夫を持たねばならないかもしれないんだよ? そんな相手は許さないけれども』
『マリアの好みは俺たちが知っている。きっと気に入るよ。だから、一度帰っておいで』
『そうだぞ。自分で見つけると言いつつ、今まで決まってないんだ。いい男なんて、もう残っていないだろう? それに私たちも会いたいんだ。帰って来ておくれ』
「まだ半年あるわ……」
『マリア、そんな事言って……。何年夫を決めずにそこにいるの。まさか、施設に入るつもりなの?』
『そ、それはダメだ。許さないぞ!』
『早まるんじゃないよ⁈』
『まさか、そんなつもりなんてないだろ?』
「お母さまも、お父さまがたも落ち着いて。施設は私だって嫌よ」
実家に帰ってお見合いをするのも気が引ける。話が施設に飛んで慌てふためく両親たちをなんとかなだめた。
「……。お見合いはいや。お願い、もう少しだけ待って?」
お見合いとなると、大昔は話をする程度だったのかもしれない。けれども、昨今のお見合いは、体の相性を確かめる場でもあるのだ。流石に、親のセッティングした相手「たち」と、親たちが近くにいるその場でお見合いするのは気が引ける。
涙目で懇願すると、マリアに滅法弱い両親たちは結局折れた。
「ううう……。せめて初めては好きになった人がいい……。でも……」
マリアは、異性に対して恋愛感情を抱いた事はない。ほんのりと好意を寄せた相手ならいたけれど、やはり、昨今の恋愛事情である複数との相性確認のための行為ありきのため、踏み込めないでいるのだ。
定期的に両親たちとのやり取りをして、お見合いをのらりくらりと躱してきていた。流石に、このままでは誰とも知れぬ相手が娘の夫たちになりかねないと、特に父たちは必死になりお見合いを勧め続けた。
しかし、それは実現することなく、ついにマリアは20歳の誕生日を迎えたのであった。
初めて見た頃は、恥ずかしがりながらも、皆食い入るように見ていたものの、最終学年になると、授業に参加せず結婚してしまった子もいるため教室は半分くらいになっている。
実地でもっと凄い事をしている子たちばかりだ。皆、映像を見ているふりをして、思い思いの事をしていた。
「……」
マリアは、映像のある部分が受け入れられないのだ。それは、一人の女性に対して、男性が複数である事。
この世界は、夫を3人以上持たなくてはならないため、一人一人相手にしてしまうと、夫たちが寂しがる。この法律は、女性のために作られたが、作ったのは男性だ。なぜなら、女性は毎日のように夫たちから愛を受けて仕事などする体力が残っておらず、子を産み育てる事で精一杯になるから仕事など出来ない。その上、経済力のある夫たちがいるため、あえて仕事をする必要もないので女性の職業はほとんどないに等しいのだ。
そのように、男性が作った法は、男性が不利にならない物に仕上がっているのも当然であろう。女性のための法である事は間違いないのだが、周囲を見渡すと男性のほうが美味しい思いをしているような気がするのも頷ける。
「……、あんなの毎日されたら、子育てする体力も残らないじゃない」
映像でひたすら快楽に溺れている女性を見てげんなりする。マリアの言う通り、子育ては夫たちが交代でするか、子守を雇って任せているかどちらかが常だ。女性が少ないため、子守は勿論男性になり、その子守は夫に昇格する事が多い。つまり、将来的に夫が増える事を見越して、20歳の時点では、最低3人の夫なのだ。
夫たちは、勿論、妻を独占したい。禁止されているとはいえ、複数の夫が増えれば増えるほど自らの首をしめるため、子守を雇いたがらないが、政略的な意味や、妻が望んだ場合など、様々な家庭の事情でそういう目的であえて子守を雇う事も多いとは聞く。
「スミレの言う通り、覚悟を決めなきゃダメかあ……」
独り言を口の中で発した途端、授業終了のアラームが鳴る。今日の授業はこれで終わりのため、ガタガタと席を立ち、帰宅の準備を始めた。この後は、マリア以外のクラスメイトは、皆、卒業後の夫たちとデートをする。
中には女の子同士で何処かに出かける子たちもいるが、外は誘拐などの危険もあるため結局は夫たちが付きそうためデートとそう変わらない。
「マリア、マリア・エヴァンス」
突然、教壇から声がかかった。マリアのクラス担任が現れて呼んでいたため、すぐさまそちらに向かう。
「先生、何でしょう?」
「実は、ご実家から至急の連絡が入ったの。すぐに折り返しなさい」
「ええ? な、何かあったのでしょうか?」
「ああ、身内の方々に何かあったというわけではないそうよ」
「そ、そうですか……。良かった……」
思わず身内の不幸ごとかと身震いしたが、そうではないらしい。ほっと一息ついた後、自室にもどり通信した。
「お母さま、お父さまがた、どうなさいましたか?」
『ああ、マリア。久しぶりね。あなた、もうすぐ卒業でしょう? いい人は出来た? もしもまだなら、私や夫たちがいいお相手を紹介するけれども』
「えっと……」
『マリア、このままでは僕たちが紹介する相手よりも、条件の悪いひどい夫を持たねばならないかもしれないんだよ? そんな相手は許さないけれども』
『マリアの好みは俺たちが知っている。きっと気に入るよ。だから、一度帰っておいで』
『そうだぞ。自分で見つけると言いつつ、今まで決まってないんだ。いい男なんて、もう残っていないだろう? それに私たちも会いたいんだ。帰って来ておくれ』
「まだ半年あるわ……」
『マリア、そんな事言って……。何年夫を決めずにそこにいるの。まさか、施設に入るつもりなの?』
『そ、それはダメだ。許さないぞ!』
『早まるんじゃないよ⁈』
『まさか、そんなつもりなんてないだろ?』
「お母さまも、お父さまがたも落ち着いて。施設は私だって嫌よ」
実家に帰ってお見合いをするのも気が引ける。話が施設に飛んで慌てふためく両親たちをなんとかなだめた。
「……。お見合いはいや。お願い、もう少しだけ待って?」
お見合いとなると、大昔は話をする程度だったのかもしれない。けれども、昨今のお見合いは、体の相性を確かめる場でもあるのだ。流石に、親のセッティングした相手「たち」と、親たちが近くにいるその場でお見合いするのは気が引ける。
涙目で懇願すると、マリアに滅法弱い両親たちは結局折れた。
「ううう……。せめて初めては好きになった人がいい……。でも……」
マリアは、異性に対して恋愛感情を抱いた事はない。ほんのりと好意を寄せた相手ならいたけれど、やはり、昨今の恋愛事情である複数との相性確認のための行為ありきのため、踏み込めないでいるのだ。
定期的に両親たちとのやり取りをして、お見合いをのらりくらりと躱してきていた。流石に、このままでは誰とも知れぬ相手が娘の夫たちになりかねないと、特に父たちは必死になりお見合いを勧め続けた。
しかし、それは実現することなく、ついにマリアは20歳の誕生日を迎えたのであった。
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