【完結】【R18】これから、白いドアを開けて体験授業に挑みますっ!

にじくす まさしよ

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私に任せて、目を閉じているんだ

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「嫌じゃない? 本当ですか?」

 震える声が後ろから聞こえてくる。嫌じゃない。それは本当だとコクリと頷いた。

「無理しなくていいんだよ? 俺たちが守ってあげるから」

 マリアは、言葉に甘えたい気持ちと、彼らに応えたい気持ち、相反する感情のまま、ふるふると首を横に振った。

「……、なら、そのまま目を閉じているといい。私に任せて」

 右手のほうから低いけれども、体の奥底に届くような声がする。ホッとするようなその声に言われるまま、ぎゅっと目を閉じたままじっとしていた。

  どうやら、三人は目配せをしているのか、微かに頭上で、小さく頷き合っているような気配がした。

「マリア、歩けますか?」

 スティーブの柔らかなテノールの声がして、足を動かそうとするが動かせない。ふるふると首を振る。

「アーロン、頼んだよ」

「ああ」

「マリア、安心していてくださいね」

 マリアは、真っ暗な視界で、そっと左手と背中の温もりが離れてしまい、びくりとした。あれほど温かく自分を守ってくれていた温もりがなくなり心細くなる。
  右手のごつごつしたとても大きな手も無くなったかと泣きそうになった瞬間、ふわりと体が宙に浮いた。

「きゃっ……!」

「マリア、大丈夫だ。このままじっとして、いいね?」

 マリアは、思わず腕を太い首に巻き付けて、うっすらと瞼を開く。すると、すぐ目の前にとろりとした紅茶色の瞳があった。さっき会ったばかりのその人の瞳は、果てしなく優しくて、このままそこに沈み込んでしまうかのようだ。

「マリア、先に行って待っていますから」
「マリア、ゆっくりアーロンとおいで」

 二人は、交代でマリアの額にチュっと軽く唇を落としたあとベッドに向かって歩いていった。

「マリア、私たちの大切なただ一人のあなた。ひどい事はしないから安心するといい」

 最後に、アーロンがぐっと力強くマリアを抱きしめると額にキスをした。高く短いリップ音が鳴ったあと、お姫様抱っこの状態で、彼の盛り上がった全身筋肉で覆われた鞏固な檻のような体に包まれる。

  歩くたびに上下に体が揺れるけれども、がっしりしたアーロンの腕がマリアを落とすわけがない。すっかり力を抜いて、安心する場所に身を任せた。

  二人がすでに待っているベッドの上に、安定したままの状態で、そっと降ろされたのであった。

 アーロンがマリアを大切な宝物のように、スプリングの効いたベッドに優しく横たえらせると、アーロンほどではないが鍛えられた腕と、しなやかな腕が彼女をベッドの中央に移動させた。

 マリアの左側には、温かい微笑みを浮かべるアダムが、頭元には彼女を愛しくてたまらないといった表情で見下ろすスティーブ。そして、右側に、ぎしりと音をたててベッドを沈ませながら堂々とアーロンが乗って来た。

「目を閉じていてくださいね?」

 目を開けて、不安な瞳で彼らをキョロキョロと見上げていたマリアは、テノールの声に促されてきゅっと目を閉じた。

「いきなりはしないからね」

 そっと左手を取られマリアがびくっとしてしまった。けれど、考えていたような触り方ではなく、指をそっと絡ませるように両手で包まれたかと思うと、まるでマッサージのようにむにむにと揉まれた。

「……?」

「アダム、右手は私がする」

「じゃあ、僕は頭皮でいいですか? 顔や耳、首すじは……、ああ、二人ともそんなに睨まないでください。抜け駆けはしませんから。それにしてもアダム上手ですね」

「自分のために、エステくらいは出来るようになったんだ。マリアにこうして出来るなんて夢みたい」

 三人がそれぞれの部位をマッサージし始めた。大きなごつごつした手が揉む右手はやや痛い気もするけれど気持ちがいい。頭皮はそっと、シャンプーをされているかのようでうっとりしてしまう。
 何よりも左手が、思った通りに強弱をつけられて指の一本一本、指の股の所から手の平の凹凸までを余すことなく揉みしだかれて、ずっと揉んでいて欲しいくらいだ。

 三人に気持ちがいいか聞かれる。

「うん、気持ちいい……」

 そう言うと、とても嬉しそうに彼らが笑っている声が漏れる。

 三人のマッサージに体と心をゆだねていると、なんだか気持ちのいい水の中で揺蕩っているようになる。やがて全身の力が抜けて、ほうっと息を吐いた。

  時々、小さな声が吐息とともに漏れているほど気持ちの良い三人の六つの手が徐々に範囲を広げていく。

 スティーブがアダムの位置に変わり、アダムは足元に移動してふくらはぎをマッサージしてくれている。アダムの手は、本人が言うようにプロのエステティシャンのようで一番気持ちがいい。アーロンとスティーブのマッサージももちろん良いのだけれど段違いでずっとしていて欲しい気がする。

 気が付けば、彼らの手は、それぞれが申し合わせたかのように私の両手を胸の上で組ませて、その上からそっと包むように取り囲んでいた。

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