13 / 35
白いドアを開けられて、体験授業に挑む事になります!
しおりを挟む
マリアは、頬にキスを贈り合うと心がなんだかとても満たされた。やりきった、そんな気分になり、にこにこと笑っていたのである。
「では、行こうか」
「はい?」
マリアは、一体どこに行くのかと思い、首を傾げた。そして、三人が微笑みながらマリアを見つめ、潤んだ熱い視線を投げかけて来たのでようやく、アーロンがどこに行こうと言っているのかを理解したのである。
「あ……!」
そうだ、ずっと話をしていてすっかり忘れていた。特にアダムとのやり取りのあとの大団円ですでに終わった感があったのである。
そう言えば、序列というか、夫の順位ってどう決まるんだろう? 家それぞれによって、妻が気に入った順だったり、求婚順だったり、夫の地位順だったり色々だ。
妻は、夫たちを便宜上順位を決めるが平等に愛する義務がある。それでも、書類や儀式では順位が必要となる場合がある。
マリアは、家族以外の異性とスキンシップすらした事がない。
それを伝えるのは誰がいいのだろうか……? それに、誰から体を重ねるのか……? いや、お風呂は? 服は? 下着の色はなんだっけ? 明日は晴れかな?
パニックになってしまって考えがぐちゃぐちゃになり、まるで、食べたあとの袋に残った砕けたポテトチップス状態だ。
食べにくい上に湿気っていてふにゃりとしつつ手や口周りに細かくくっついて気持ちが悪く……など思考はあっち行きこっち行きしていて収拾がつかない。
「あの……、その……。わ、私……」
「マリア、僕たちにまかせてください」
すっかり気が動転してしまったマリアに、視線を合わせて安心するようにやさしくスティーブが微笑んだ。
「えっと、わたし……」
「マリア、分かっているから。だから……、」
アダムがそっとマリアを立たせる。大きな手の平がマリアの小さな白い手を包み、もう片方の手をアーロンが握る。スティーブは未だ開けられていない白いドアに向かい、その前に立った。
「「「行こうか」」」
三人はそう言うと、白いドアに同時触れた。
ブゥンと音が鳴り、白いドアが無くなった先には、中央にでーんと、まっしろなシーツがピンと張られた家具が鎮座していた。
ぎょっとしたマリアは足がぴたりと止まり、体がこわばる。
三人は、そっと優しく、だけど、マリアを逃さない力で手をベッドに向かって引き、ドアの前にいたスティーブは、すでにマリアの背後に回っており背中に温かくて大きな手の平をそっと当てている。
右に大柄なアーロンが、左にはしなやかなアダムが。後ろには逞しいスティーブがいて、まるで人間で出来た檻のよう。
マリアは、彼らの力に引っ張られるように足が寝室に一歩一歩入って行った。やがてスティーブも入り込むと、白いドアが現れて背後が完全に閉ざされてしまった事を悟る。
右を見ても、左を見ても、ましてやドアを見ようと後ろを振り返ろうとしても誰かがいる。唯一開かれている前方には、まるで王者のように堂々とあるベッドだけ。
キングサイズよりも大きなそれは本当に手すりも天涯もない、単なるシーツだけを敷かれたベッド。隠すものはなにもなく、広くて明るい照明に照らされて輝きを放っていた。
「ひ……」
思わずマリアはひゅっと息を吸い込み小さく悲鳴をあげてしまう。カチカチと歯が鳴ってしまい、しっかりしなくちゃ、このままではせっかくマリアに合わせてくれた彼らに悪いと思えば思うほどいう事を聞かなかった。
覚悟はしていたはずだ。
沢山授業でも色んな性行為の動画を見て来た。でも、それでも目の前の現実が目の前に迫って来てようやくふんわりとしたイメージだった彼らとの行為が現実味を帯びたのだ。
「マリア……、きちんと学校や政府に掛け合ってあげるから今日は話をして時間が過ぎるのを待とうか? 俺としては一日も早く貴女とつながりたいけれど、心から貴女が決意できるまでじっくり時間をかけてもかまわないよ?」
きゅっと左手を握り、青ざめてしまったマリアを気づかわし気にハノ字に眉を下げてアダムがそう言った。
マリアは一瞬すがるような視線を彼に投げかけてしまう。
すると、右手がすっと動かされ、視線をそちらに向けると、アーロンが同じように心配してくれているのか揺れる瞳でマリアを見つつ、そして小さく頷いた。
勿論、背後のスティーブも安心させるように背中をゆっくり撫でており三人の気持ちに心が温かくなる。
けれど、ここで彼らとの「体験」が無かったと知られれば、彼らの立場がなくなる。いくら権力があっても、彼らが色々言われるなんて、そんな事態になる事は絶対に避けたいし、何よりも彼らの誠意に応えたいと思った。
「……、ありがとう、みんな……。わ、私、どうしていいのかわからなくて……。こ、怖くて。あ、あなたたちが嫌とか、そういうんじゃなくって……!」
マリアは、目尻から涙が零れそうになり、俯いて目を閉じる。三人とも、もっと強引にしようと思えば出来るはずなのに優しくて、それが嬉しくて、でも、飛び込んで行けない、意気地のない自分に対して、なんだか情けなくなり悲しくなってしまった。
「では、行こうか」
「はい?」
マリアは、一体どこに行くのかと思い、首を傾げた。そして、三人が微笑みながらマリアを見つめ、潤んだ熱い視線を投げかけて来たのでようやく、アーロンがどこに行こうと言っているのかを理解したのである。
「あ……!」
そうだ、ずっと話をしていてすっかり忘れていた。特にアダムとのやり取りのあとの大団円ですでに終わった感があったのである。
そう言えば、序列というか、夫の順位ってどう決まるんだろう? 家それぞれによって、妻が気に入った順だったり、求婚順だったり、夫の地位順だったり色々だ。
妻は、夫たちを便宜上順位を決めるが平等に愛する義務がある。それでも、書類や儀式では順位が必要となる場合がある。
マリアは、家族以外の異性とスキンシップすらした事がない。
それを伝えるのは誰がいいのだろうか……? それに、誰から体を重ねるのか……? いや、お風呂は? 服は? 下着の色はなんだっけ? 明日は晴れかな?
パニックになってしまって考えがぐちゃぐちゃになり、まるで、食べたあとの袋に残った砕けたポテトチップス状態だ。
食べにくい上に湿気っていてふにゃりとしつつ手や口周りに細かくくっついて気持ちが悪く……など思考はあっち行きこっち行きしていて収拾がつかない。
「あの……、その……。わ、私……」
「マリア、僕たちにまかせてください」
すっかり気が動転してしまったマリアに、視線を合わせて安心するようにやさしくスティーブが微笑んだ。
「えっと、わたし……」
「マリア、分かっているから。だから……、」
アダムがそっとマリアを立たせる。大きな手の平がマリアの小さな白い手を包み、もう片方の手をアーロンが握る。スティーブは未だ開けられていない白いドアに向かい、その前に立った。
「「「行こうか」」」
三人はそう言うと、白いドアに同時触れた。
ブゥンと音が鳴り、白いドアが無くなった先には、中央にでーんと、まっしろなシーツがピンと張られた家具が鎮座していた。
ぎょっとしたマリアは足がぴたりと止まり、体がこわばる。
三人は、そっと優しく、だけど、マリアを逃さない力で手をベッドに向かって引き、ドアの前にいたスティーブは、すでにマリアの背後に回っており背中に温かくて大きな手の平をそっと当てている。
右に大柄なアーロンが、左にはしなやかなアダムが。後ろには逞しいスティーブがいて、まるで人間で出来た檻のよう。
マリアは、彼らの力に引っ張られるように足が寝室に一歩一歩入って行った。やがてスティーブも入り込むと、白いドアが現れて背後が完全に閉ざされてしまった事を悟る。
右を見ても、左を見ても、ましてやドアを見ようと後ろを振り返ろうとしても誰かがいる。唯一開かれている前方には、まるで王者のように堂々とあるベッドだけ。
キングサイズよりも大きなそれは本当に手すりも天涯もない、単なるシーツだけを敷かれたベッド。隠すものはなにもなく、広くて明るい照明に照らされて輝きを放っていた。
「ひ……」
思わずマリアはひゅっと息を吸い込み小さく悲鳴をあげてしまう。カチカチと歯が鳴ってしまい、しっかりしなくちゃ、このままではせっかくマリアに合わせてくれた彼らに悪いと思えば思うほどいう事を聞かなかった。
覚悟はしていたはずだ。
沢山授業でも色んな性行為の動画を見て来た。でも、それでも目の前の現実が目の前に迫って来てようやくふんわりとしたイメージだった彼らとの行為が現実味を帯びたのだ。
「マリア……、きちんと学校や政府に掛け合ってあげるから今日は話をして時間が過ぎるのを待とうか? 俺としては一日も早く貴女とつながりたいけれど、心から貴女が決意できるまでじっくり時間をかけてもかまわないよ?」
きゅっと左手を握り、青ざめてしまったマリアを気づかわし気にハノ字に眉を下げてアダムがそう言った。
マリアは一瞬すがるような視線を彼に投げかけてしまう。
すると、右手がすっと動かされ、視線をそちらに向けると、アーロンが同じように心配してくれているのか揺れる瞳でマリアを見つつ、そして小さく頷いた。
勿論、背後のスティーブも安心させるように背中をゆっくり撫でており三人の気持ちに心が温かくなる。
けれど、ここで彼らとの「体験」が無かったと知られれば、彼らの立場がなくなる。いくら権力があっても、彼らが色々言われるなんて、そんな事態になる事は絶対に避けたいし、何よりも彼らの誠意に応えたいと思った。
「……、ありがとう、みんな……。わ、私、どうしていいのかわからなくて……。こ、怖くて。あ、あなたたちが嫌とか、そういうんじゃなくって……!」
マリアは、目尻から涙が零れそうになり、俯いて目を閉じる。三人とも、もっと強引にしようと思えば出来るはずなのに優しくて、それが嬉しくて、でも、飛び込んで行けない、意気地のない自分に対して、なんだか情けなくなり悲しくなってしまった。
11
あなたにおすすめの小説
幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果
景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。
ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。
「俺……ステラと離れたくない」
そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。
「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」
そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。
勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【短編完結】元聖女は聖騎士の執着から逃げられない 聖女を辞めた夜、幼馴染の聖騎士に初めてを奪われました
えびのおすし
恋愛
瘴気を祓う任務を終え、聖女の務めから解放されたミヤ。
同じく役目を終えた聖女たちと最後の女子会を開くことに。
聖女セレフィーナが王子との婚約を決めたと知り、彼女たちはお互いの新たな門出を祝い合う。
ミヤには、ずっと心に秘めていた想いがあった。
相手は、幼馴染であり専属聖騎士だったカイル。
けれど、その気持ちを告げるつもりはなかった。
女子会を終え、自室へ戻ったミヤを待っていたのはカイルだった。
いつも通り無邪気に振る舞うミヤに、彼は思いがけない熱を向けてくる。
――きっとこれが、カイルと過ごす最後の夜になる。
彼の真意が分からないまま、ミヤはカイルを受け入れた。
元聖女と幼馴染聖騎士の、鈍感すれ違いラブ。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる