27 / 35
上がる黄色い悲鳴 ◇◇後ろに1000文字弱の小話あり
しおりを挟む
マリアが、夜中にうつらうつら目が覚め始めると、いつもの部屋ではないことに気づいた。
なんでこんなところにいるんだろうと、いぶかしんだ時に下腹の中にツキンと痛みを覚えた。
身体中がだるくて、股関節が特に辛い。
「あ……、私……」
そうだった。体験授業を受けるため真っ白なドアをくぐって。三人の素敵な人たちと話をして、そして──。
「マリア、目が覚めたんですか?」
声がするほうに顔を移動させると、優しく、そっと頬にキスされた。
「スティーブ?」
「はい。喉が乾いていませんか? 声が嗄れていますね。どこか辛いですか?」
「ん……、少し怠いけれど、大丈夫」
「良かったです。お水を飲みますか?」
マリアはこくんと頷いた。スティーブが、水を準備するためにすっと離れていく。
「マリア、力を抜いていて。筋肉が強張りすぎていて、無理をするとつってしまうよ」
「あ、アダム? 何をしているの?」
「ふくらはぎのマッサージだよ。マッサージ以外はしないから安心していてね。痛くない?」
「ん……。気持ちいい」
全身、今まで使ったことない部分にまで力が入っていたため明日は筋肉痛になりそうだと思ってはいた。アダムの手が柔らかく揉み込んでくれるため、筋肉痛にならずにすみそう。
「マリア、すまなかった。大丈夫か?」
「アーロン、大丈夫よ」
目の前に、きりっとした太い眉が八の字になっている。女性なら誰しも通る道なのに、ひょっとしたら二人に寝ている間に叱られたのかもしれないほどしょんぼりしている。
「アーロン」
「なんだ?」
マリアが、少し近寄ってきた彼のブラウンの髪を撫でる。
「大丈夫だから、ね?」
「マリア……」
「スティーブとアダムもいるから、これからもやり過ぎないようにしてくれる。だから、私は壊れることはないわ? ふふふ、アーロン、好きよ」
「マリア……、好きだ。あいしている」
「うーん、スタートラインが違うのは、なんとなくわかっていたけど……。マリア、いつかでいいから俺の事も好きになってね?」
「ええ、アダム」
「僕の事も、ですよ? ほら口を開けて」
「スティーブ、わかったわ。お水、ありがとう」
マリアは、スティーブが差し出したストローを咥えてこくこく水を飲んだ。
「つめたくて、おいし……」
「おやすみ、マリア」
「いい夢を見てくださいね、マリア」
「おやすみなさい、マリア」
三人の奏でる音を最後に、完全に意識が途絶えたのだった。
翌朝、三人に代わる代わる世話を焼かれて、別れたのはお昼過ぎ。
離れたくないと、駄々をこねる皆にキスを贈ったあと、マリアは、担当者に連れられて校医の所に向かった。
問診と、外から機械を当てられて子宮の中のアーロンの名残を確認された。顔から火が出るほど恥ずかしくて仕方がない。
「マリア・エヴァンス。夫候補の交替を望みますか?」
「いいえ……。アーロンも、スティーブも、アダムも。皆と話をたくさんしました。私、彼らと結婚したいと思います」
体験授業前は、あれほど後ろ向きで怖がっていた彼女が、背筋をピンと伸ばしてしっかり視線を反らすことなく見返した。
担当者と校医は、微笑みを浮かべる。
「上手く行くとは思っていましたが、ここまであなたの気持ちが激変するとは思ってませんでした。きっと、最上の幸せがあなたには待っていますよ? お幸せに」
「はい、彼らといれば私は幸せになれると思います。それに、私も幸せにしたい、です!」
和やかに部屋を出たあと、マリア寮に戻った。すでに、マリアの相手を知った家族からひっきりなしに通信が入り、数時間解放されることがなかった。
「まあ、マリア……。あなたったら最高峰の殿方を捕まえたのね? あ、勿論、パパたちの次に、だけれども」
「マリア、聞いたよ。まさか、何度も見合いを申し込んで来ていたトンプソンのあの子もいるなんてね」
「彼は、マリアに恥をかかせたし僕たちが断っていたんだけど。やっぱり、親が選ぶよりマリア自身が選ぶほうがいい結果だったみたいで良かったよ」
「マリア、あのアダム・スコットがいるなんて、大丈夫かい? もしも無理を強いられたら必ず言うんだよ?」
「スティーブ・マクガードかあ。彼は物腰も柔らかくて美しい青年だから、引く手あまたの子だね。凄い子達を惹き付けるなんて、流石、俺たちの自慢の娘だ」
「もう、お母様にお父様がたったら。アーロンは、少年の頃は緊張していただけで今はとっても素敵なのよ? 昔の失態なんてどうでもいいじゃない。今の彼を見てあげて欲しいわ?」
「アダムだって、怖い噂もあるけれど、誰よりも私の事を考えて、自分が我慢してくれてるのよ? それに、私をずっと前保護してくれていたらしいわ。お父様がたとも面識があるはずよ」
「スティーブは、学園で求婚されたことがあるの。お断りしたんだけれど、ずっと諦めずに想っていてくれたの」
「だから、三人ともお父様がたに負けないくらい素敵なんだから」
「まあまあ……! マリアからそんな言葉が聞けるなんて! お母様、嬉しくて涙がでちゃうわ? 卒業したら盛大にパーティーをしましょうね」
「どの家も申し分ないな」
「早速話し合いだ」
マリアは、通信の向こう側の両親たちの嬉しそうなはしゃぎっぷりに、体験授業を逃げずに受けて良かったと心底思った。
「お母様、お父様がた。長い間、わがまま言って、心配掛けてごめんなさい」
「ふふふ、マリアが心から幸せになれるんだから気にしないの」
うんうんと、お父様がたも頷く。
ようやく落ち着いたのは夕食前。ドアがノックされた。スミレが顔を覗かせたあと、にっこり笑い、ピースサインをするマリアの姿を見て、スミレは跳ねて喜んだ。
「マリア、おめでとう、おめでとう!」
「スミレ、ありがとう。スミレがいなかったら、私どうなってたか……」
二人で涙を流して喜びあったあと食堂に行き、そこでも騒がしくなった。
お相手の名前に、皆がびっくりして、特にスティーブの名前が出た途端、悲鳴があちこちで発せられた。
「な、なに?」
「マリアったら……。彼は在校生独身の男性で一番人気なのよ? そっか、彼もマリアを狙ってたのね。いつまでも妻を決めないと思ったら……」
「スティーブが? そうなの?」
「そりゃそうよー。王子様みたいな綺麗な顔立ちや素敵で理想的な体型。物腰も口調も柔らかくって優しいじゃない。名だたるマクガード病院の跡継ぎでしょう? 手が届きやすいし超人気よ」
「そうだったのね……」
スティーブったらモテないとか言ってたけれど大人気だったのねとマリアはちょっと心がモヤっとする。他の女の子たちに彼を見て欲しくないなと感じて、我に返って自分の思いにびっくりした。早速独占欲の強い妻気取りかと自身にツッコミを入れてしまう。
でも、よくある髪と瞳の色とはいえ、ほどよく鍛えられた体は、すらっとしているけれども安定していた。それに、確かにとことん優しい。ベッドでは少々いじめられた気がするけれども……。
マリアは、頬を染めて手を当てた。潤んだ瞳でテーブルに視線を落としたその様子はとても可憐で美しい。
しかも、男を知った今、むせ返るようなほどの色香に包まれており、周囲に少年がいれば忽ち視線を独り占めにして欲情を煽るだろう。
「で、世界の、あの、アダム・スコットさんでしょう? すごすぎて開いた口が塞がらないわよ。アーロン・トンプソンだって、鍛え上げられた彼は少し怖いながらも、何からも守ってくれそうだしひそかに人気よー」
なんという事だ。彼らがそんなに人気だとは思わなかった。興味がなかったにも程がある。応接室で話した彼ら。ベッドで確かめあった彼らを思い浮かべてさらに、首筋まで赤くなった。
食堂は、ずっと騒然として、先生たちが場をおさめるまでマリアは質問攻めと嫉妬の視線に晒されたのであった。
※※※※ ちょっと緩和休憩を下に。興味のある方はどうぞスクロールしてくださいませ
前回と冒頭の合間の三人です。ほぼ会話。
↓
↓
↓
↓
↓
「全く、何を考えているんですかっ!」
「ほんとに。貫いた時に蹴飛ばされる男も少なくないというのに……」
「僕が蹴飛ばしてやろうかと思いましたよ?」
「……」
「あのまま一度だけと言いながら、最後は思いっきりしていましたよね?」
「しかも、もう一度でなく、何度もする気だったでしょ? 起きたら、マリアに嫌われちゃうかもね」
「そんなっ!」
「本当なら僕だって、参加したいのを我慢していたというのに」
「俺だって、無理に参加してマリアに嫌われたくないからね」
「マリアは、そんな事は……、いや、……しかし……」
「そこで反省していてください! 次は手出し無用ですよ!」
「次があればいいねえ」
そう言うと、二人は左右に別れて、一人はマリアに腕枕をし、もう一人は腹部に腕を絡めて抱きしめた。すぅすぅ穏やかに眠るマリアに左右からキスを落とすと彼らも眠りについたのであった。
「……」
アーロンは、二人の容赦ない言葉でグサグサ心を何度も刺されたあげく、抉られ、倒れた所に背中からさらにとどめをくらった。
眠っている愛しいマリアの顔を見て、愛しさと切なさがこみ上げる。三人仲良く夢の中に旅立っている中、彼らの足元で正座をして落ち込んだ。
『あんなに酷くして……、アーロンなんて嫌いよっ!』
どんどん負の方向に想像が膨らみ、微笑んでいたマリアから言われたその言葉で、妄想にも拘わらず、灰になったのであった。
さらに小一時間経過
「アーロン、邪魔だからどいて」
陰陰鬱鬱していた、鬱陶しいアーロンを押し退け、マリアのマッサージを始めたアダム。
苛めすぎたかな? と苦笑してアーロンをマリアの横に行くよう勧めた。
「アダム……」
優しいアダムの気遣いに対して、ちょっと感激してうるうるしているアーロン。
「俺たちの時は、見ているだけにしてね?」
「そんなっ!」
「前戯の時はいいけど、我慢してね?」
「う……」
アダムの微笑みと有無を言わせぬ雰囲気に呑まれ、アーロンは耳と尻尾を垂れさせて愛しいマリアにすがりついたのであった。
なんでこんなところにいるんだろうと、いぶかしんだ時に下腹の中にツキンと痛みを覚えた。
身体中がだるくて、股関節が特に辛い。
「あ……、私……」
そうだった。体験授業を受けるため真っ白なドアをくぐって。三人の素敵な人たちと話をして、そして──。
「マリア、目が覚めたんですか?」
声がするほうに顔を移動させると、優しく、そっと頬にキスされた。
「スティーブ?」
「はい。喉が乾いていませんか? 声が嗄れていますね。どこか辛いですか?」
「ん……、少し怠いけれど、大丈夫」
「良かったです。お水を飲みますか?」
マリアはこくんと頷いた。スティーブが、水を準備するためにすっと離れていく。
「マリア、力を抜いていて。筋肉が強張りすぎていて、無理をするとつってしまうよ」
「あ、アダム? 何をしているの?」
「ふくらはぎのマッサージだよ。マッサージ以外はしないから安心していてね。痛くない?」
「ん……。気持ちいい」
全身、今まで使ったことない部分にまで力が入っていたため明日は筋肉痛になりそうだと思ってはいた。アダムの手が柔らかく揉み込んでくれるため、筋肉痛にならずにすみそう。
「マリア、すまなかった。大丈夫か?」
「アーロン、大丈夫よ」
目の前に、きりっとした太い眉が八の字になっている。女性なら誰しも通る道なのに、ひょっとしたら二人に寝ている間に叱られたのかもしれないほどしょんぼりしている。
「アーロン」
「なんだ?」
マリアが、少し近寄ってきた彼のブラウンの髪を撫でる。
「大丈夫だから、ね?」
「マリア……」
「スティーブとアダムもいるから、これからもやり過ぎないようにしてくれる。だから、私は壊れることはないわ? ふふふ、アーロン、好きよ」
「マリア……、好きだ。あいしている」
「うーん、スタートラインが違うのは、なんとなくわかっていたけど……。マリア、いつかでいいから俺の事も好きになってね?」
「ええ、アダム」
「僕の事も、ですよ? ほら口を開けて」
「スティーブ、わかったわ。お水、ありがとう」
マリアは、スティーブが差し出したストローを咥えてこくこく水を飲んだ。
「つめたくて、おいし……」
「おやすみ、マリア」
「いい夢を見てくださいね、マリア」
「おやすみなさい、マリア」
三人の奏でる音を最後に、完全に意識が途絶えたのだった。
翌朝、三人に代わる代わる世話を焼かれて、別れたのはお昼過ぎ。
離れたくないと、駄々をこねる皆にキスを贈ったあと、マリアは、担当者に連れられて校医の所に向かった。
問診と、外から機械を当てられて子宮の中のアーロンの名残を確認された。顔から火が出るほど恥ずかしくて仕方がない。
「マリア・エヴァンス。夫候補の交替を望みますか?」
「いいえ……。アーロンも、スティーブも、アダムも。皆と話をたくさんしました。私、彼らと結婚したいと思います」
体験授業前は、あれほど後ろ向きで怖がっていた彼女が、背筋をピンと伸ばしてしっかり視線を反らすことなく見返した。
担当者と校医は、微笑みを浮かべる。
「上手く行くとは思っていましたが、ここまであなたの気持ちが激変するとは思ってませんでした。きっと、最上の幸せがあなたには待っていますよ? お幸せに」
「はい、彼らといれば私は幸せになれると思います。それに、私も幸せにしたい、です!」
和やかに部屋を出たあと、マリア寮に戻った。すでに、マリアの相手を知った家族からひっきりなしに通信が入り、数時間解放されることがなかった。
「まあ、マリア……。あなたったら最高峰の殿方を捕まえたのね? あ、勿論、パパたちの次に、だけれども」
「マリア、聞いたよ。まさか、何度も見合いを申し込んで来ていたトンプソンのあの子もいるなんてね」
「彼は、マリアに恥をかかせたし僕たちが断っていたんだけど。やっぱり、親が選ぶよりマリア自身が選ぶほうがいい結果だったみたいで良かったよ」
「マリア、あのアダム・スコットがいるなんて、大丈夫かい? もしも無理を強いられたら必ず言うんだよ?」
「スティーブ・マクガードかあ。彼は物腰も柔らかくて美しい青年だから、引く手あまたの子だね。凄い子達を惹き付けるなんて、流石、俺たちの自慢の娘だ」
「もう、お母様にお父様がたったら。アーロンは、少年の頃は緊張していただけで今はとっても素敵なのよ? 昔の失態なんてどうでもいいじゃない。今の彼を見てあげて欲しいわ?」
「アダムだって、怖い噂もあるけれど、誰よりも私の事を考えて、自分が我慢してくれてるのよ? それに、私をずっと前保護してくれていたらしいわ。お父様がたとも面識があるはずよ」
「スティーブは、学園で求婚されたことがあるの。お断りしたんだけれど、ずっと諦めずに想っていてくれたの」
「だから、三人ともお父様がたに負けないくらい素敵なんだから」
「まあまあ……! マリアからそんな言葉が聞けるなんて! お母様、嬉しくて涙がでちゃうわ? 卒業したら盛大にパーティーをしましょうね」
「どの家も申し分ないな」
「早速話し合いだ」
マリアは、通信の向こう側の両親たちの嬉しそうなはしゃぎっぷりに、体験授業を逃げずに受けて良かったと心底思った。
「お母様、お父様がた。長い間、わがまま言って、心配掛けてごめんなさい」
「ふふふ、マリアが心から幸せになれるんだから気にしないの」
うんうんと、お父様がたも頷く。
ようやく落ち着いたのは夕食前。ドアがノックされた。スミレが顔を覗かせたあと、にっこり笑い、ピースサインをするマリアの姿を見て、スミレは跳ねて喜んだ。
「マリア、おめでとう、おめでとう!」
「スミレ、ありがとう。スミレがいなかったら、私どうなってたか……」
二人で涙を流して喜びあったあと食堂に行き、そこでも騒がしくなった。
お相手の名前に、皆がびっくりして、特にスティーブの名前が出た途端、悲鳴があちこちで発せられた。
「な、なに?」
「マリアったら……。彼は在校生独身の男性で一番人気なのよ? そっか、彼もマリアを狙ってたのね。いつまでも妻を決めないと思ったら……」
「スティーブが? そうなの?」
「そりゃそうよー。王子様みたいな綺麗な顔立ちや素敵で理想的な体型。物腰も口調も柔らかくって優しいじゃない。名だたるマクガード病院の跡継ぎでしょう? 手が届きやすいし超人気よ」
「そうだったのね……」
スティーブったらモテないとか言ってたけれど大人気だったのねとマリアはちょっと心がモヤっとする。他の女の子たちに彼を見て欲しくないなと感じて、我に返って自分の思いにびっくりした。早速独占欲の強い妻気取りかと自身にツッコミを入れてしまう。
でも、よくある髪と瞳の色とはいえ、ほどよく鍛えられた体は、すらっとしているけれども安定していた。それに、確かにとことん優しい。ベッドでは少々いじめられた気がするけれども……。
マリアは、頬を染めて手を当てた。潤んだ瞳でテーブルに視線を落としたその様子はとても可憐で美しい。
しかも、男を知った今、むせ返るようなほどの色香に包まれており、周囲に少年がいれば忽ち視線を独り占めにして欲情を煽るだろう。
「で、世界の、あの、アダム・スコットさんでしょう? すごすぎて開いた口が塞がらないわよ。アーロン・トンプソンだって、鍛え上げられた彼は少し怖いながらも、何からも守ってくれそうだしひそかに人気よー」
なんという事だ。彼らがそんなに人気だとは思わなかった。興味がなかったにも程がある。応接室で話した彼ら。ベッドで確かめあった彼らを思い浮かべてさらに、首筋まで赤くなった。
食堂は、ずっと騒然として、先生たちが場をおさめるまでマリアは質問攻めと嫉妬の視線に晒されたのであった。
※※※※ ちょっと緩和休憩を下に。興味のある方はどうぞスクロールしてくださいませ
前回と冒頭の合間の三人です。ほぼ会話。
↓
↓
↓
↓
↓
「全く、何を考えているんですかっ!」
「ほんとに。貫いた時に蹴飛ばされる男も少なくないというのに……」
「僕が蹴飛ばしてやろうかと思いましたよ?」
「……」
「あのまま一度だけと言いながら、最後は思いっきりしていましたよね?」
「しかも、もう一度でなく、何度もする気だったでしょ? 起きたら、マリアに嫌われちゃうかもね」
「そんなっ!」
「本当なら僕だって、参加したいのを我慢していたというのに」
「俺だって、無理に参加してマリアに嫌われたくないからね」
「マリアは、そんな事は……、いや、……しかし……」
「そこで反省していてください! 次は手出し無用ですよ!」
「次があればいいねえ」
そう言うと、二人は左右に別れて、一人はマリアに腕枕をし、もう一人は腹部に腕を絡めて抱きしめた。すぅすぅ穏やかに眠るマリアに左右からキスを落とすと彼らも眠りについたのであった。
「……」
アーロンは、二人の容赦ない言葉でグサグサ心を何度も刺されたあげく、抉られ、倒れた所に背中からさらにとどめをくらった。
眠っている愛しいマリアの顔を見て、愛しさと切なさがこみ上げる。三人仲良く夢の中に旅立っている中、彼らの足元で正座をして落ち込んだ。
『あんなに酷くして……、アーロンなんて嫌いよっ!』
どんどん負の方向に想像が膨らみ、微笑んでいたマリアから言われたその言葉で、妄想にも拘わらず、灰になったのであった。
さらに小一時間経過
「アーロン、邪魔だからどいて」
陰陰鬱鬱していた、鬱陶しいアーロンを押し退け、マリアのマッサージを始めたアダム。
苛めすぎたかな? と苦笑してアーロンをマリアの横に行くよう勧めた。
「アダム……」
優しいアダムの気遣いに対して、ちょっと感激してうるうるしているアーロン。
「俺たちの時は、見ているだけにしてね?」
「そんなっ!」
「前戯の時はいいけど、我慢してね?」
「う……」
アダムの微笑みと有無を言わせぬ雰囲気に呑まれ、アーロンは耳と尻尾を垂れさせて愛しいマリアにすがりついたのであった。
10
あなたにおすすめの小説
幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果
景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。
ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。
「俺……ステラと離れたくない」
そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。
「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」
そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。
勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【短編完結】元聖女は聖騎士の執着から逃げられない 聖女を辞めた夜、幼馴染の聖騎士に初めてを奪われました
えびのおすし
恋愛
瘴気を祓う任務を終え、聖女の務めから解放されたミヤ。
同じく役目を終えた聖女たちと最後の女子会を開くことに。
聖女セレフィーナが王子との婚約を決めたと知り、彼女たちはお互いの新たな門出を祝い合う。
ミヤには、ずっと心に秘めていた想いがあった。
相手は、幼馴染であり専属聖騎士だったカイル。
けれど、その気持ちを告げるつもりはなかった。
女子会を終え、自室へ戻ったミヤを待っていたのはカイルだった。
いつも通り無邪気に振る舞うミヤに、彼は思いがけない熱を向けてくる。
――きっとこれが、カイルと過ごす最後の夜になる。
彼の真意が分からないまま、ミヤはカイルを受け入れた。
元聖女と幼馴染聖騎士の、鈍感すれ違いラブ。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる