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第一章
紳士の見本のような大人の人
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三件目のカップルも穏やかな人たちだった。たぶん、予め攻撃的な相手じゃない所への配達先を厳選していてくれたんだろう。三件目の人たちは、もう子供もいる30歳くらいのご夫婦だった。マンネリ化を防ぐために、ご主人がおもちゃを欲しがっていたようで、でも購入するには勇気がなかったらしい。後からお礼の手紙がサンタクロース協会に届いた。とても喜ばれたみたいで、夫婦仲がもっとよりよいものとなり、奥さんのお腹の中には新しい命が宿ったそうだ。
サンタデビューは、みっともなく大失敗だと自分では思っていたけれど、こうして幸せな報告を受けると嬉しい。冬が過ぎ、春になってもサンタのお仕事はなくならない。世界中から届く手紙の返事やクレーム処理などやってもきりがなかった。
お母様が働いていた頃は、休日返上も当たり前だったけれど、今はきちんと休みを貰える。
この国に来て初めて頂いたカルヤランピーラッカのお店にも何度も顔を出した事で商店の人たちとも打ち解けた。実家には週に一度手紙を送っているけれど帰った事はない。チート魔法を使えば一瞬なんだけれど、協会の人たちと一緒にいたかった。
「ティーナ、明日からの長期休暇には家に帰るんでしょう?」
「はい。そのつもりなんですけど、その前に用事があるからエライーン国にも少し寄ります」
「エライーン国に? なんでまた?」
「実は、両親の知り合いからある物を預かって来て欲しいんですって。その際に、先方が数日観光案内してくれるらしくて」
「へぇー。この国よりは暖かいけれど、ティーナの国に比べたらまだまだ寒い国だから気をつけてね」
「はい、ありがとうございます」
雪がまだまだ降り積もる北の果ての国よりも南に位置するエライーン国は、ライノおじさまがいる場所だ。去年、お母様たちが災害の救援をしたお礼の品を帰郷のついでに預かるように言われている。
仕事を始めて、初の長期休暇は10日間。実家はもう汗ばむほどの気温だろう。北方では、雪の間から小さな春の訪れを知らせる花が顔をのぞかせている。もう少ししたら、この国にも短い春の訪れが顕著になるという。
交代で休暇をとるため、居残り組の先輩たちはいつもよりも多忙になる。快く休みをいただけた感謝を込めてお土産を持って帰ろうと思う。実家の名物となると、ヒマワリの種を使った料理がほとんどなんだけれど、色んな種族、年代の人たちがいるからお母様に相談して決めよう。
翌朝はあいにくの曇天だった。昨日までの太陽のぽかぽかした陽気が隠れていて、なんとなく寂しさを感じて体が芯から冷える。
「えーと。〈エライーン国のライノおじさまのいるところに行きたいの〉」
呪文を唱えると、あっという間に景色が変わる。ピンポイントでおじさまの近くに到着するには、現地の詳細な地図や建物などの正確な位置が分かっていないといけない。
北の果てに行った時の誤差は2キロほどだったから、今回もそのくらい離れた場所に転移しただろう。
「うわっ!」
「きゃぁっ!」
気を付けていたつもりだったんだけど、ちょうど人がすぐ側にいたようだ。びっくりした声に私までびっくりしてバランスを崩した。
相手の人にぶつかってしまい、一緒に転ぶ。幸い、固い岩とか石がある道ではなく、柔らかい草の上だったようであまり痛くはなかった。
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「いや、俺は大丈夫。君こそ怪我はない?」
「私は全く痛みもなかったです。どうしよう、服が汚れて……」
慌てて起き上がり、下敷きにしてしまった人を助け起こす。草の上に倒れてしまったせいで、泥と草の汁が上等そうなスーツにべっとりついていた。
「汚れは洗ったら落ちるから気にしないで。ところで、君は……ひょっとしてエミリアさんの娘さん?」
「母をご存じなのですか? 仰る通り、私の母はエミリアで、私はティーナと言います。あなたは……ライノおじさまに似ていますね。もしかして、ライナさんですか?」
「ああ、ライナというのが俺の名前だ。ティーナさん、初めまして。突然の事でびっくりして、君を支えきれずすまなかった。転んでしまうなんてみっともなくて申し訳ない」
「いえ、こちらこそ。突然現れて倒してしまい申し訳ありませんでした」
私は、とりあえずライナさんの服についた汚れを魔法で綺麗にした。すると、彼は魔法が使えないようで、新品のようにきれいになったスーツを見て感心された。
「すごいな。エミリアさんの魔法も素晴らしいけれど、ティーナさんの魔法はすごく心地がいいね」
「ほめ過ぎです……。でも、ありがとうございます」
ここはライナさんの家の庭園のようだった。ライナさんは、離れにいるライノおじさまを呼びに向かう途中だったらしい。
「義父が君に会いたがっていたよ。俺も、エミリアさんの娘さんである君に会いたかったんだ。去年の災害のおかげで会えないままだったからね」
「あ……」
そう言えば、この人とプチお見合いみたいな事をする予定だった事をすっかり忘れていた。私のリアクションでそれを察したライナさんは、気を悪くするどころか笑って、こうして出会えたことを喜んでくれた。
ライノおじさまに似た素敵な人だと思った。顔立ちもとても整っていて、すらりとした体型に、柔らかな声。所作も上品だし、綺麗な薄水色の瞳には優しいその人柄が表れている。
きちんとこの家から少し離れた所に転移して、門から入る予定が台無しになったけれど、そのままライナさんのエスコートでライノおじさまと久しぶりに会えた。
おじさまも相変わらず素敵だった。本当は直接出向かないといけないとしきりに申し訳なさそうにされていたけれど、去年の災害の爪痕はいまだにそこかしこにあって、各国の支援が撤退した今、復興のために体が空かないそうだ。
「そんな、おじさまがたが一生懸命領地のために努力なさっている事は、母たちも知っています。今回のお礼もいらないと言っているくらいなのですから、そんなに気に病まないでください。それよりも、本当に数日お世話になってよろしいのでしょうか?」
「ティーナちゃん、ありがとう。数日だけといわず、もっといて貰ってもいいくらいだ。うちには女の子がいないから華やぐよ。私は忙しくてあまり相手が出来ないんだ。大都市と違ってたいした観光の名所もないんだが、ライナにあちこち連れて行って貰うといい。ライナ、ティーナちゃんをよろしく頼んだよ」
「義父上に言われなくとも。可愛いレディのエスコートは任せてください」
その日は、一緒にエライーン国の郷土料理を頂き、本邸の客間でゆっくり休んだ。水をかけてミストを作るタイプのサウナも利用させて貰って、体の疲れが吹き飛ぶ。熱いサウナの後は、ライナさんが用意してくれたお白湯と、冷たいスキルという濃厚のヨーグルトを頂いた。
「美味しい。ねっとりしていて、それでいてさっぱりしているなんて」
「ジャムを入れると味が変わるよ」
「ほんと……!オレンジの甘酸っぱさが、ヨーグルトの酸味とちょうどいい感じになっていて、いくらでも食べれそうです」
脂肪分がなく、タンパク質が豊富だから体にもとても良さそうだと思った。あまりにも美味しくてパクパク食べていたら、ライナさんが目を細めて私を見ている事に気付いた。子供っぽかったかなって少し恥ずかしくなってスプーンを運ぶ手が止まった。
「どうしたの? 気に入ったのならもっと食べていいよ。イチゴジャムとかつけてみる?」
「いえ、その……もうお腹がいっぱいになって。ごちそうさまでした」
ライナさんは、今年22歳だ。彼から見たら、15歳の私なんてまだまだ子供だろうけれど。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ大人ぶって、もう少し食べたいのを我慢した。
「おやすみ、ティーナちゃん。何か不足があれば遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます。ライナさんも、いい夢を。おやすみなさい」
他愛のない話で楽しい時間を過ごせた。明日は、近くにある公園や美術館、露店が並ぶ街に連れて行ってくれるらしい。
明日の観光を楽しみにしつつ目を閉じたのであった。
サンタデビューは、みっともなく大失敗だと自分では思っていたけれど、こうして幸せな報告を受けると嬉しい。冬が過ぎ、春になってもサンタのお仕事はなくならない。世界中から届く手紙の返事やクレーム処理などやってもきりがなかった。
お母様が働いていた頃は、休日返上も当たり前だったけれど、今はきちんと休みを貰える。
この国に来て初めて頂いたカルヤランピーラッカのお店にも何度も顔を出した事で商店の人たちとも打ち解けた。実家には週に一度手紙を送っているけれど帰った事はない。チート魔法を使えば一瞬なんだけれど、協会の人たちと一緒にいたかった。
「ティーナ、明日からの長期休暇には家に帰るんでしょう?」
「はい。そのつもりなんですけど、その前に用事があるからエライーン国にも少し寄ります」
「エライーン国に? なんでまた?」
「実は、両親の知り合いからある物を預かって来て欲しいんですって。その際に、先方が数日観光案内してくれるらしくて」
「へぇー。この国よりは暖かいけれど、ティーナの国に比べたらまだまだ寒い国だから気をつけてね」
「はい、ありがとうございます」
雪がまだまだ降り積もる北の果ての国よりも南に位置するエライーン国は、ライノおじさまがいる場所だ。去年、お母様たちが災害の救援をしたお礼の品を帰郷のついでに預かるように言われている。
仕事を始めて、初の長期休暇は10日間。実家はもう汗ばむほどの気温だろう。北方では、雪の間から小さな春の訪れを知らせる花が顔をのぞかせている。もう少ししたら、この国にも短い春の訪れが顕著になるという。
交代で休暇をとるため、居残り組の先輩たちはいつもよりも多忙になる。快く休みをいただけた感謝を込めてお土産を持って帰ろうと思う。実家の名物となると、ヒマワリの種を使った料理がほとんどなんだけれど、色んな種族、年代の人たちがいるからお母様に相談して決めよう。
翌朝はあいにくの曇天だった。昨日までの太陽のぽかぽかした陽気が隠れていて、なんとなく寂しさを感じて体が芯から冷える。
「えーと。〈エライーン国のライノおじさまのいるところに行きたいの〉」
呪文を唱えると、あっという間に景色が変わる。ピンポイントでおじさまの近くに到着するには、現地の詳細な地図や建物などの正確な位置が分かっていないといけない。
北の果てに行った時の誤差は2キロほどだったから、今回もそのくらい離れた場所に転移しただろう。
「うわっ!」
「きゃぁっ!」
気を付けていたつもりだったんだけど、ちょうど人がすぐ側にいたようだ。びっくりした声に私までびっくりしてバランスを崩した。
相手の人にぶつかってしまい、一緒に転ぶ。幸い、固い岩とか石がある道ではなく、柔らかい草の上だったようであまり痛くはなかった。
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「いや、俺は大丈夫。君こそ怪我はない?」
「私は全く痛みもなかったです。どうしよう、服が汚れて……」
慌てて起き上がり、下敷きにしてしまった人を助け起こす。草の上に倒れてしまったせいで、泥と草の汁が上等そうなスーツにべっとりついていた。
「汚れは洗ったら落ちるから気にしないで。ところで、君は……ひょっとしてエミリアさんの娘さん?」
「母をご存じなのですか? 仰る通り、私の母はエミリアで、私はティーナと言います。あなたは……ライノおじさまに似ていますね。もしかして、ライナさんですか?」
「ああ、ライナというのが俺の名前だ。ティーナさん、初めまして。突然の事でびっくりして、君を支えきれずすまなかった。転んでしまうなんてみっともなくて申し訳ない」
「いえ、こちらこそ。突然現れて倒してしまい申し訳ありませんでした」
私は、とりあえずライナさんの服についた汚れを魔法で綺麗にした。すると、彼は魔法が使えないようで、新品のようにきれいになったスーツを見て感心された。
「すごいな。エミリアさんの魔法も素晴らしいけれど、ティーナさんの魔法はすごく心地がいいね」
「ほめ過ぎです……。でも、ありがとうございます」
ここはライナさんの家の庭園のようだった。ライナさんは、離れにいるライノおじさまを呼びに向かう途中だったらしい。
「義父が君に会いたがっていたよ。俺も、エミリアさんの娘さんである君に会いたかったんだ。去年の災害のおかげで会えないままだったからね」
「あ……」
そう言えば、この人とプチお見合いみたいな事をする予定だった事をすっかり忘れていた。私のリアクションでそれを察したライナさんは、気を悪くするどころか笑って、こうして出会えたことを喜んでくれた。
ライノおじさまに似た素敵な人だと思った。顔立ちもとても整っていて、すらりとした体型に、柔らかな声。所作も上品だし、綺麗な薄水色の瞳には優しいその人柄が表れている。
きちんとこの家から少し離れた所に転移して、門から入る予定が台無しになったけれど、そのままライナさんのエスコートでライノおじさまと久しぶりに会えた。
おじさまも相変わらず素敵だった。本当は直接出向かないといけないとしきりに申し訳なさそうにされていたけれど、去年の災害の爪痕はいまだにそこかしこにあって、各国の支援が撤退した今、復興のために体が空かないそうだ。
「そんな、おじさまがたが一生懸命領地のために努力なさっている事は、母たちも知っています。今回のお礼もいらないと言っているくらいなのですから、そんなに気に病まないでください。それよりも、本当に数日お世話になってよろしいのでしょうか?」
「ティーナちゃん、ありがとう。数日だけといわず、もっといて貰ってもいいくらいだ。うちには女の子がいないから華やぐよ。私は忙しくてあまり相手が出来ないんだ。大都市と違ってたいした観光の名所もないんだが、ライナにあちこち連れて行って貰うといい。ライナ、ティーナちゃんをよろしく頼んだよ」
「義父上に言われなくとも。可愛いレディのエスコートは任せてください」
その日は、一緒にエライーン国の郷土料理を頂き、本邸の客間でゆっくり休んだ。水をかけてミストを作るタイプのサウナも利用させて貰って、体の疲れが吹き飛ぶ。熱いサウナの後は、ライナさんが用意してくれたお白湯と、冷たいスキルという濃厚のヨーグルトを頂いた。
「美味しい。ねっとりしていて、それでいてさっぱりしているなんて」
「ジャムを入れると味が変わるよ」
「ほんと……!オレンジの甘酸っぱさが、ヨーグルトの酸味とちょうどいい感じになっていて、いくらでも食べれそうです」
脂肪分がなく、タンパク質が豊富だから体にもとても良さそうだと思った。あまりにも美味しくてパクパク食べていたら、ライナさんが目を細めて私を見ている事に気付いた。子供っぽかったかなって少し恥ずかしくなってスプーンを運ぶ手が止まった。
「どうしたの? 気に入ったのならもっと食べていいよ。イチゴジャムとかつけてみる?」
「いえ、その……もうお腹がいっぱいになって。ごちそうさまでした」
ライナさんは、今年22歳だ。彼から見たら、15歳の私なんてまだまだ子供だろうけれど。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ大人ぶって、もう少し食べたいのを我慢した。
「おやすみ、ティーナちゃん。何か不足があれば遠慮なく言ってね」
「ありがとうございます。ライナさんも、いい夢を。おやすみなさい」
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