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第3章 祭壇の謎
祭壇
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俺はフォルクさんが指差したところに来ていたはずだった。フォルクさんが指さしたのは山だったはずなのに、目の前には山などどこにもなく、あるのは小高い丘に祭壇らしきものだけだった。
「ここでいいんだよな?」
「ロガ道間違ったんじゃないの?」
「そんなはずはないんだがな。」
徐にレクスが近寄ってきた。どうかしたのだろうか。
「それにしても、なんか徐々に寒くなっている気がするよ。」
俺はここまで走ってきたからだろうか。そんなに寒さは感じられなかった。むしろ暑いくらいだった。
「そうか?」
そんな話をレクスとしていると声が聞こえてくる。
「はあ、はあ。やっと追いついた。待ちなさいって言ったのに。」
疲れているからなのか、それとも怒っているのか皺を寄せたすごい形相のディタがいた。おそらくどっちもというのが正しいだろう。ここは謝って話題を変えるのが得策か。
「ごめん。それより見てくれよ。フォルクさんが指さしたのはここのはずなんだけど山がないんだ。」
「本当ね。なぜかしら?」
ディタは何か考え込んでいた。それにしても、今になってレクスが言っていたことが感じられてきた。
「寒いな。」
震えが出てきた。暑さで出てきた汗が急激に冷やされてより寒さを感じる。
「ほらね。言ったとおりでしょ。」
その言葉になにか納得したのかディタは目を見開いていた。
「なるほどね。そういうことか。」
「なんだよ。もったいぶらずに教えてくれよ。」
俺は気になって仕方なかった。だが、ディタの表情は一瞬曇った気がする。言いたいことはなんとなくわかった。
「はあ、まあいいわ。”蜃気楼”よ。それも”上位蜃気楼”。地上の方が冷えていて上空に上がれば上がるほど気温が高いとあの時みたいに物体が大きくなったように見えることがあるの。まあ、ほかにも条件は色々あるんだけどね。今日みたいな晴れた日とか。長くなるからそこら辺は省くけど。」
「そうなのか。勉強になったよ。」
ディタはもう何を言っても意味がないと思ったのか俺の言葉を気にせずに続けた。
「場所がここなのは間違いないわね。ただ、ダンジョンの入り口が見当たらないわね。」
ディタの言う通り、周りを見渡しても入り口らしきものがない。あるのは、祭壇まで続く階段だけだった。
「もしかしたら、頂上のところにあるかもな。言ってみようぜ。」
俺は祭壇へと続く階段を駆け上がる。疲れてはいたが、こうしておかなければ寒くてどうにかなりそうだった。
「だから待ちなさいって。・・・本当に寒いわね。」
振り返るとディタも駆けてついてきた。そうこうしているうちに頂上に着いた。だが、そこにあるのは祭壇だけで入り口らしきものはどこにもなかった。前提条件から誤っているのではないかと不安になる。
「あれ~?こんなところにボタンがあるよ~。」
間延びした声がする方に視線を向けると、そこにはわかりやすく出っ張ったボタンと押そうとしているレクスの姿があった。嫌な予感がする。
「お、押すなよ。レクス。」カチ
しかし、言うのが遅かった。言葉を言い終わる前には、レクスはもうボタンを押し切っていたのだ。
「ふぇ?もう押しちゃったよ。」
次の瞬間、ボタン部分が思い切り跳ね上がりボタンを押したレクスは空中に投げ飛ばされていた。
「ひええええええ‼」
「言わんこっちゃない。」
空中に投げ出されたレクスは頂点まで飛び終わり下降していく。徐々にスピードを上げながら。
「ロガ~。助けて~。」
「ここでいいんだよな?」
「ロガ道間違ったんじゃないの?」
「そんなはずはないんだがな。」
徐にレクスが近寄ってきた。どうかしたのだろうか。
「それにしても、なんか徐々に寒くなっている気がするよ。」
俺はここまで走ってきたからだろうか。そんなに寒さは感じられなかった。むしろ暑いくらいだった。
「そうか?」
そんな話をレクスとしていると声が聞こえてくる。
「はあ、はあ。やっと追いついた。待ちなさいって言ったのに。」
疲れているからなのか、それとも怒っているのか皺を寄せたすごい形相のディタがいた。おそらくどっちもというのが正しいだろう。ここは謝って話題を変えるのが得策か。
「ごめん。それより見てくれよ。フォルクさんが指さしたのはここのはずなんだけど山がないんだ。」
「本当ね。なぜかしら?」
ディタは何か考え込んでいた。それにしても、今になってレクスが言っていたことが感じられてきた。
「寒いな。」
震えが出てきた。暑さで出てきた汗が急激に冷やされてより寒さを感じる。
「ほらね。言ったとおりでしょ。」
その言葉になにか納得したのかディタは目を見開いていた。
「なるほどね。そういうことか。」
「なんだよ。もったいぶらずに教えてくれよ。」
俺は気になって仕方なかった。だが、ディタの表情は一瞬曇った気がする。言いたいことはなんとなくわかった。
「はあ、まあいいわ。”蜃気楼”よ。それも”上位蜃気楼”。地上の方が冷えていて上空に上がれば上がるほど気温が高いとあの時みたいに物体が大きくなったように見えることがあるの。まあ、ほかにも条件は色々あるんだけどね。今日みたいな晴れた日とか。長くなるからそこら辺は省くけど。」
「そうなのか。勉強になったよ。」
ディタはもう何を言っても意味がないと思ったのか俺の言葉を気にせずに続けた。
「場所がここなのは間違いないわね。ただ、ダンジョンの入り口が見当たらないわね。」
ディタの言う通り、周りを見渡しても入り口らしきものがない。あるのは、祭壇まで続く階段だけだった。
「もしかしたら、頂上のところにあるかもな。言ってみようぜ。」
俺は祭壇へと続く階段を駆け上がる。疲れてはいたが、こうしておかなければ寒くてどうにかなりそうだった。
「だから待ちなさいって。・・・本当に寒いわね。」
振り返るとディタも駆けてついてきた。そうこうしているうちに頂上に着いた。だが、そこにあるのは祭壇だけで入り口らしきものはどこにもなかった。前提条件から誤っているのではないかと不安になる。
「あれ~?こんなところにボタンがあるよ~。」
間延びした声がする方に視線を向けると、そこにはわかりやすく出っ張ったボタンと押そうとしているレクスの姿があった。嫌な予感がする。
「お、押すなよ。レクス。」カチ
しかし、言うのが遅かった。言葉を言い終わる前には、レクスはもうボタンを押し切っていたのだ。
「ふぇ?もう押しちゃったよ。」
次の瞬間、ボタン部分が思い切り跳ね上がりボタンを押したレクスは空中に投げ飛ばされていた。
「ひええええええ‼」
「言わんこっちゃない。」
空中に投げ出されたレクスは頂点まで飛び終わり下降していく。徐々にスピードを上げながら。
「ロガ~。助けて~。」
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