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第3章 祭壇の謎
探しモノ
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壁からジュ―という音が鳴り、湯気が立ち込めた。湯気のせいで壁がどうなっているかわからないが、おそらく俺の考えは正しい。それはこの音と湯気が証明していた。
「何よ。何なの。早く教えなさいよ。」
ディタは何が起きているのかわからず、俺に答えを急かしている。頭が回らなくてイライラしているのだろう。
「ここだけ、氷だったんだよ。」
答えを言っても、ディタはまだ信じていないようだった。
「そんなわけないじゃない。・・・でも、この音と湯気本当に?」
徐々に頭が回ってきたのかもしれない。俺が炎の魔法を使っているからな。辺りも暖かくなっている。そこでふと思いつく。炎の魔法出しとけばよかったんじゃねぇ?と。ただ、この場では何も言うまい。まあ、あとで突っつかれると思うが、今はいいだろう。魔法をあてていたところに感覚がなくなる。貫通したのだろう。俺は魔法を解きディタに見せつける。
「ほらな。通路ができたぞ。」
「本当だ。やるわね、ロガ。」
「だろ。」
俺は鼻を天狗の様に伸ばし勝ち誇った顔をディタに向けた。
「それにしても、氷だということがわかったのはいいのだけど、よく通路があることがわかったわね。どうやってわかったの?」
「ん?そりゃ”勘”だよ。」
そこでディタの表情が一気に変わる。水がお湯に一瞬で変わったかのように。
「”勘”ですって⁉あれが罠だったらどうするのよ。」
「そんなこと思いもしませんでした。」
俺の顔の部位がすべて縮こまっているように感じた。おそらく俺の目鼻口は点になっていることだろう。
「はあ、褒めた私が馬鹿だった。」
けなされていることよりもディタがいつも通りに戻ったことの方が嬉しかった。
「何よ。気持ち悪いわね。それより、何魔法消してるのよ。早く出しなさいよ。」
「はい。喜んで~。」
さすがにフレイムソードは出していなかった。万が一あれにあたれば大惨事だからな。今はファイアを空中で維持していた。最初は間違って撃ってしまっていたが、ようやく慣れできるようになった。今ではいろいろなところに浮かべられる。
「ふっふっふ。さすが、俺だな。」
「調子に乗らないの。」
調子に乗っているとディタに窘められてしまった。
「ロガ。すごいね。・・・って熱‼」
目の前でレクスが燃えている。
「ほら、言わんこっちゃない。ウォーター。」
「はあ、ありがとう。ディタ。・・・うう、今度は寒いよ。ロガ。」
「ファイア」
「ありが・・・熱‼」
「ウォーター」
「・・・寒‼」
そんなことで遊ん・・・レクスを助けているとエミンが話しかけてきた。
「二人とも遊んでへんで、こっち見とくれやす。」
「やっぱり二人ともボクで遊んでたな~。」
エミンの差したほうに視線を向けるとそこには丸い石がゴロゴロと転がっている。その石の周りにキラキラとなにやら光るものが見えた。怪しく思い近づいて拾い上げると石と面している手は冷たくなく、なぜか体の中が冷えているように感じた。不思議な感覚に襲われ力が抜けてしまう。
「おっと‼」「うわっ‼」
その感覚に驚き、落としそうになってしまうのを寸でのところで止めた。それとなぜかレクスも変な声をあげていた。
「何してんのよ。それにしてもそれ何?」
「持ってみればわかるよ。」
「もう、そうやって勿体つけるんだから。たまには、スッと言ってよね。ったく。」
そんなことを言われてしまった。しかし、同じことをして同じように感じて欲しかったのだ。この時はいつもより強くそう思った。
「いいからほら。」
俺はまだ落ちていた石をディタに渡すと目を見開いていた。どうやらディタも同じことを感じたらしい。
「何よ、これ。何か気持ち悪いわね。・・・でも、これがフォルクさんが言ってた”フロワストーン”かしら?ねえロガ。・・・って何て顔してんのよ。」
ディタに指摘されてしまった。だが、自分の顔は見ることができない。それに治そうとすると余計に悪化しそうだ。そんなことを考えているとディタの顔にも変化が現れた。ああ、そういうことか。
「ディタお前もなってるぞ、変な顔。」
「うそ!?」
ディタはそれが信じられないようで、”嘘”という言葉を発した。それで少しさっきの変な顔とはまた変な顔になる。まあ、かくいう俺の顔も変わっているのかもしれない。たぶん今は”お”の顔で固まっているだろう。それも、口の部分しか動かずに。そしてまた顔が変わる。
「ほんとう。さむさでかおがかたまるみたいだ。これどうにかしなきゃな。」
確かにこれは体が冷えていいものだとは思う。ただ、この場所で使うのは非常にまずい。死に直結しかねない。とりあえず地面に置いて考え込む。
「触るとこうなるんだから、触らなければいいんだよな・・・うーん。」
「何よ。何なの。早く教えなさいよ。」
ディタは何が起きているのかわからず、俺に答えを急かしている。頭が回らなくてイライラしているのだろう。
「ここだけ、氷だったんだよ。」
答えを言っても、ディタはまだ信じていないようだった。
「そんなわけないじゃない。・・・でも、この音と湯気本当に?」
徐々に頭が回ってきたのかもしれない。俺が炎の魔法を使っているからな。辺りも暖かくなっている。そこでふと思いつく。炎の魔法出しとけばよかったんじゃねぇ?と。ただ、この場では何も言うまい。まあ、あとで突っつかれると思うが、今はいいだろう。魔法をあてていたところに感覚がなくなる。貫通したのだろう。俺は魔法を解きディタに見せつける。
「ほらな。通路ができたぞ。」
「本当だ。やるわね、ロガ。」
「だろ。」
俺は鼻を天狗の様に伸ばし勝ち誇った顔をディタに向けた。
「それにしても、氷だということがわかったのはいいのだけど、よく通路があることがわかったわね。どうやってわかったの?」
「ん?そりゃ”勘”だよ。」
そこでディタの表情が一気に変わる。水がお湯に一瞬で変わったかのように。
「”勘”ですって⁉あれが罠だったらどうするのよ。」
「そんなこと思いもしませんでした。」
俺の顔の部位がすべて縮こまっているように感じた。おそらく俺の目鼻口は点になっていることだろう。
「はあ、褒めた私が馬鹿だった。」
けなされていることよりもディタがいつも通りに戻ったことの方が嬉しかった。
「何よ。気持ち悪いわね。それより、何魔法消してるのよ。早く出しなさいよ。」
「はい。喜んで~。」
さすがにフレイムソードは出していなかった。万が一あれにあたれば大惨事だからな。今はファイアを空中で維持していた。最初は間違って撃ってしまっていたが、ようやく慣れできるようになった。今ではいろいろなところに浮かべられる。
「ふっふっふ。さすが、俺だな。」
「調子に乗らないの。」
調子に乗っているとディタに窘められてしまった。
「ロガ。すごいね。・・・って熱‼」
目の前でレクスが燃えている。
「ほら、言わんこっちゃない。ウォーター。」
「はあ、ありがとう。ディタ。・・・うう、今度は寒いよ。ロガ。」
「ファイア」
「ありが・・・熱‼」
「ウォーター」
「・・・寒‼」
そんなことで遊ん・・・レクスを助けているとエミンが話しかけてきた。
「二人とも遊んでへんで、こっち見とくれやす。」
「やっぱり二人ともボクで遊んでたな~。」
エミンの差したほうに視線を向けるとそこには丸い石がゴロゴロと転がっている。その石の周りにキラキラとなにやら光るものが見えた。怪しく思い近づいて拾い上げると石と面している手は冷たくなく、なぜか体の中が冷えているように感じた。不思議な感覚に襲われ力が抜けてしまう。
「おっと‼」「うわっ‼」
その感覚に驚き、落としそうになってしまうのを寸でのところで止めた。それとなぜかレクスも変な声をあげていた。
「何してんのよ。それにしてもそれ何?」
「持ってみればわかるよ。」
「もう、そうやって勿体つけるんだから。たまには、スッと言ってよね。ったく。」
そんなことを言われてしまった。しかし、同じことをして同じように感じて欲しかったのだ。この時はいつもより強くそう思った。
「いいからほら。」
俺はまだ落ちていた石をディタに渡すと目を見開いていた。どうやらディタも同じことを感じたらしい。
「何よ、これ。何か気持ち悪いわね。・・・でも、これがフォルクさんが言ってた”フロワストーン”かしら?ねえロガ。・・・って何て顔してんのよ。」
ディタに指摘されてしまった。だが、自分の顔は見ることができない。それに治そうとすると余計に悪化しそうだ。そんなことを考えているとディタの顔にも変化が現れた。ああ、そういうことか。
「ディタお前もなってるぞ、変な顔。」
「うそ!?」
ディタはそれが信じられないようで、”嘘”という言葉を発した。それで少しさっきの変な顔とはまた変な顔になる。まあ、かくいう俺の顔も変わっているのかもしれない。たぶん今は”お”の顔で固まっているだろう。それも、口の部分しか動かずに。そしてまた顔が変わる。
「ほんとう。さむさでかおがかたまるみたいだ。これどうにかしなきゃな。」
確かにこれは体が冷えていいものだとは思う。ただ、この場所で使うのは非常にまずい。死に直結しかねない。とりあえず地面に置いて考え込む。
「触るとこうなるんだから、触らなければいいんだよな・・・うーん。」
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