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第七章
第七章「ハロウィン」11
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車から降りた碧と藍妃は真っ直ぐに男子の控室に向かった。
否、藍妃にズルズルと引きずられるように碧は無理やり連れてこられた。
そこには何人もの同級生が着替えており、入って来た藍妃にギョッとしていたが、雪美やクラスメートの女子たちの迫力に似たこの美女に恐れを抱いたのか蜘蛛の子を散らす勢いで逃げ去っていく。
その度、碧は必死で助けを求める視線を投げかけるが、残念ながら自分の身が惜しい彼らは泣く泣く碧を置いて出ていった。
そして、新しく控室にやって来た人たちは碧の状況を見て、すぐに理解したのか、着替えの袋を掴んでどこかに消えていった。
後々に碧はこの時の記憶を思い出そうとするのだが、残念ながらその部分だけ綺麗に切り取られたかのように思い出せなかった。
強いていうのなら自分の悲鳴と、藍妃の楽しそうな高笑いだけが何故だか聞こえるような気がしたそうな。
そして、気づいたら金色の緩やかなウエーブのかかった美女が目の前にいた。
目の前には後ろにいるはずの楽しげな藍妃の姿があり、そこで、ようやく碧はこの美女が自分なのだと悟った。
「なんてこった。」
両手で頭を抱える碧に藍妃がせっかくのメイクが崩れると怒るがそんな事を気にする余裕なんてなかった。
「あおちゃん、綺麗よ。」
「嬉しくない。」
「あら、何でよ。」
「何が悲しくて年に三回女装をしないといけないんだよ。」
「安心しなさい、まだクリスマスというイベントがあるわよ。」
「へ?」
不吉な言葉を吐き出す藍妃に碧は固まる。
「く、クリスマス。」
「ええ、そうよ。」
「ちょっとまって、何でクリスマスに女装が入ってくるわけ。」
「ミススカ女サンタ。」
「ちょっと…。」
色々と突っ込みたい事があるはずなのに、突っ込めない碧は顔を青くさせるだけで終わっている。
「さーて、最後の仕上げ。」
藍妃はパンパンと手を叩くと四人の少女が藍妃の前に立つ。
「まずは古いもの。」
「この施設創設者の妻のベール。」
スッと真っ白なベールを碧の頭にかぶせる。
「次は借りたもの。」
「藍妃さんのティアラ。」
ベールの上にそっと華奢だが高そうなティアラが乗っけられる。
「三つ目新しいもの。」
「雪美さんが新しくデザインしたイヤリング。」
碧色の涙型のイヤリングが碧の小さな耳に飾られる。
「最後に青いもの。」
「青いリボン。」
すべすべの生地のそれがスッと碧の首元に巻かれる。
「うん、良い感じ。」
「幸せになるんだぞ。」
「綺麗、綺麗。」
「名倉くん、幸せ者ね。」
うんうん、と自画自賛する彼女らを良く見ればクラスメートだった。
仮装が常の彼女ららしくなくて碧は気づかなかった。
「何なんだよ。」
「サムシングフォーよ。」
「さむ…なんだよ。」
「サムシングフォー。」
「簡単に言えば幸せな花嫁さんになれるって言われるおまじないかな。」
「いや、俺男だし。」
「大丈夫、美女にしか見えない。」
「うんうん。」
「あー、皆、時間だよ。」
「それじゃ、後でね。」
「いってきまーす。」
「それでは藍妃さん、失礼します。」
「「「失礼しまーす。」」」
あわただしく四人の少女は出ていく。
「何だったんだ。」
「お手伝いしてくれたんだから、後でお礼を言いなさいよ。」
「……。」
藍妃の言葉に碧は複雑そうな表情を浮かべる。
それもそうだろう、誰が好き好んで女装に手を貸した人にお礼を言うんだろう、もしこれが自分から望んでの事だったら別だろうが、今回は碧は望んではいないのだから当然だろう。
「あおちゃん、返事は?」
「はーい。」
「よろしい。」
満足そうに笑う藍妃に碧は敵わないな、と肩を落とすのだった。
否、藍妃にズルズルと引きずられるように碧は無理やり連れてこられた。
そこには何人もの同級生が着替えており、入って来た藍妃にギョッとしていたが、雪美やクラスメートの女子たちの迫力に似たこの美女に恐れを抱いたのか蜘蛛の子を散らす勢いで逃げ去っていく。
その度、碧は必死で助けを求める視線を投げかけるが、残念ながら自分の身が惜しい彼らは泣く泣く碧を置いて出ていった。
そして、新しく控室にやって来た人たちは碧の状況を見て、すぐに理解したのか、着替えの袋を掴んでどこかに消えていった。
後々に碧はこの時の記憶を思い出そうとするのだが、残念ながらその部分だけ綺麗に切り取られたかのように思い出せなかった。
強いていうのなら自分の悲鳴と、藍妃の楽しそうな高笑いだけが何故だか聞こえるような気がしたそうな。
そして、気づいたら金色の緩やかなウエーブのかかった美女が目の前にいた。
目の前には後ろにいるはずの楽しげな藍妃の姿があり、そこで、ようやく碧はこの美女が自分なのだと悟った。
「なんてこった。」
両手で頭を抱える碧に藍妃がせっかくのメイクが崩れると怒るがそんな事を気にする余裕なんてなかった。
「あおちゃん、綺麗よ。」
「嬉しくない。」
「あら、何でよ。」
「何が悲しくて年に三回女装をしないといけないんだよ。」
「安心しなさい、まだクリスマスというイベントがあるわよ。」
「へ?」
不吉な言葉を吐き出す藍妃に碧は固まる。
「く、クリスマス。」
「ええ、そうよ。」
「ちょっとまって、何でクリスマスに女装が入ってくるわけ。」
「ミススカ女サンタ。」
「ちょっと…。」
色々と突っ込みたい事があるはずなのに、突っ込めない碧は顔を青くさせるだけで終わっている。
「さーて、最後の仕上げ。」
藍妃はパンパンと手を叩くと四人の少女が藍妃の前に立つ。
「まずは古いもの。」
「この施設創設者の妻のベール。」
スッと真っ白なベールを碧の頭にかぶせる。
「次は借りたもの。」
「藍妃さんのティアラ。」
ベールの上にそっと華奢だが高そうなティアラが乗っけられる。
「三つ目新しいもの。」
「雪美さんが新しくデザインしたイヤリング。」
碧色の涙型のイヤリングが碧の小さな耳に飾られる。
「最後に青いもの。」
「青いリボン。」
すべすべの生地のそれがスッと碧の首元に巻かれる。
「うん、良い感じ。」
「幸せになるんだぞ。」
「綺麗、綺麗。」
「名倉くん、幸せ者ね。」
うんうん、と自画自賛する彼女らを良く見ればクラスメートだった。
仮装が常の彼女ららしくなくて碧は気づかなかった。
「何なんだよ。」
「サムシングフォーよ。」
「さむ…なんだよ。」
「サムシングフォー。」
「簡単に言えば幸せな花嫁さんになれるって言われるおまじないかな。」
「いや、俺男だし。」
「大丈夫、美女にしか見えない。」
「うんうん。」
「あー、皆、時間だよ。」
「それじゃ、後でね。」
「いってきまーす。」
「それでは藍妃さん、失礼します。」
「「「失礼しまーす。」」」
あわただしく四人の少女は出ていく。
「何だったんだ。」
「お手伝いしてくれたんだから、後でお礼を言いなさいよ。」
「……。」
藍妃の言葉に碧は複雑そうな表情を浮かべる。
それもそうだろう、誰が好き好んで女装に手を貸した人にお礼を言うんだろう、もしこれが自分から望んでの事だったら別だろうが、今回は碧は望んではいないのだから当然だろう。
「あおちゃん、返事は?」
「はーい。」
「よろしい。」
満足そうに笑う藍妃に碧は敵わないな、と肩を落とすのだった。
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