もう一度君と…

弥生 桜香

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第一章

第一章「リスタート」4

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 日にちは涼也が思っているよりも早く過ぎていき、あっという間に日曜日なった。
 彼はワイシャツにジーパンというかなりラフな格好をして待ち合わせの駅前に突っ立っていた。

「えっと…君、本城くん?」

 見知らぬ人に声を掛けられ、涼也は怪訝な顔をする。

「そうですけど、貴方は?」
「ああ、雪から聞いていないか。」
「……。」

 馴れ馴れしく雪美の愛称を呼ぶ彼が何者か考える。

「オレは帝(みかど)雫(しずく)って言うんだ。」
「帝さん?」
「ああ、俺の姉がお前の従姉と意気投合してさ、何か知らないがオレまで駆り出されたという訳だ。」
「……。」

 涼也は憐みの籠った目で彼を見つめる。
 どうやら彼も女性に振り回されるタイプなので親近感が湧いてしまったようだ。

「大変ですね。」
「ああ、アレがなきゃいい姉なんだがな。」
「アレ?」
「ああ、姉が自称貴腐人だからな。」
「貴婦人?」

 どこかのお偉いさんの事かと涼也は首を傾げた。

「ああ、知らないんだな。」
「何がですか?」
「いや……。その……多分…いや…絶対に知ることになるよな…でも、オレの口からは出したくないし…。すまないがすぐには分かると思う。」
「そうですか…。」
「雪が腐女子なのは知らないのか…。」
「雪姉は婦女子ですけど?」
「うん、違う腐女子だから。」
「婦女子に違うも何もないと思うですけど。」

 もし、涼也に漢字が見えていたのなら彼らの話が微妙に食い違っているのが分かっただろうが、残念ながら彼にはそんな能力はない。

「涼ちゃーん。」
「雪姉。」

 雪美の声がしてそちらに顔を向けると、ふんわりとしたワンピースに薄い黄色のカーデガンを羽織った雪美がそこにいた。

「ごめんね、少し遅くなって。」
「いや、大丈夫。」
「えっと…どちら様?」

 雪美は雫を見た瞬間首を傾げた。

「……キサキの弟のシズだ。」
「ああ!シズ、始めまして?」
「ああ。」

 初対面なのかそうでないのか分からない会話をする二人に涼也は首を傾げた。

「雪姉、どういう意味?」
「ああ、涼ちゃんには説明してなかったね。」
「何が?」
「うん、キサキさんと待ち合わせしている場所まで少し歩くからその間に説明するね。」
「ああ、うん。」
「それじゃ行きましょうか。」
「案内する。」

 先頭にたち彼は案内を始める。

「涼ちゃん。」
「何?」
「わたしね、BLに嵌ってしまったの。」
「……?」

 雪美の言いたい意味が分からず涼也は首を傾げる。

「もしかして、BLの意味分からない?」
「いや、それは分かるけど……って、あれ、もしかして、あの時の「ふじょし」って言葉って……。」

 ようやくそこで雫が言った意味を正しく理解した。

「……そう言う意味だったのか。」
「涼ちゃん?」
「何でもない、話は変わるけど帝さんとの関係って?」
「うん、シズのお姉さんのキサキさんとはわたしが立ち上げたサイトで腐レンドになったんだ。」
「それはキサキさんという人だろ。」
「せっかちだな。」
「当然だろ、男なんて全く匂わせなかった雪姉が行き成り男の人を捕まえるなんてっ!」

 前の自分でもそんな人を見た事なかった、と涼也はまるで彼女の父親のように彼女の事を心配する。

「捕まえてないよ、ただ、シズの通っている学校に興味があってね。」
「学校?」
「そう、京ちゃんが通うはずの学校の事ね。」
「――っ!」

 雪美の言いたい意味が分かったのか涼也は目を見張る。

「それって、うん、キサキさんとの話をちゃんと聞いてからになるけど、後でちゃんと説明するね。」
「結局後回しになるのかよ。」
「ごめんね、でも、今は何の情報もなく聞いて欲しいと思って。」
「どういう意味だ?」
「一応、シズってわたしと同い年だから直接は京ちゃんには関わらなかったと思うけど、まだ分からないでしょ、だから、彼がいい人かどうか見て居て欲しいの。」
「……。」
「わたしはさ、キサキさんから色々きいちゃってるからさ、何の情報を持っていない涼ちゃんの意見も聞きたいと思うの。」
「了解。」
「ありがとうね。」
「こっちこそ、あの学校の情報なんてあの本の知識と周りの評価しか知らないからな。」
「エリートが集まる学校だもんね。」
「そうそう、妙に閉鎖的だから情報が少ないんだよな。」
「だから、今日は色々よろしくね。」

 雪美がウインクをすると涼也は苦笑して頷いた。
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