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第一章
第一章「リスタート」5
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「きゃー、雪っ!」
「キサキさんっ!」
出会った瞬間に抱き合う美女と従姉に涼也は唖然となる。
「何、あのテンション……。」
「……。」
「涼ちゃん、この人がキサキさん。」
「あら、いい感じの受けじゃない。」
「そうかな?」
「そうそう、雫×涼也なんていいじゃない?」
「わたしは涼也×京也派なので。」
目を輝かせて話す二人に涼也は頭が痛くなった。
「俺何のためにここに来たんだ?」
「涼也くんはやっぱやんちゃ系?」
「そうじゃないですよ、過去有り、おかん属性のチャラ男になってもらおうと思っているんです。」
「何それ、おいしそうっ!」
「ですよね、絶対涼ちゃんには高校デビューで髪を染めてもらおうと思っているんですっ!」
「いいわね、それで、ワックスでいい感じにはねれば、確かに見た目はチャラ男風にはなるわね。」
「ですよねっ!」
「…………その辺にしてくれ。」
「えー。」
「こいつだって困っているだろうが。」
「あら、ごめんなさいね。」
「いえ…。」
「そう言えば、自己紹介がまだだったわね、帝、藍妃(あいひ)よ。」
「本城、涼也です。」
「さーて、ここじゃなんですから中に入って。」
「玄関で話しまくってた人には言われたくないな。」
「雫、何か言った?」
「イエ、ナンデモ。」
「そうよね。」
パワーバランスを見た涼也は絶対に藍妃には逆らわない方がいいと心の刻んだ。
「それにしても、キサキさん、すごいですね。」
「そうでしょ、オートロック式で安全が売りのマンションですから。」
「頭に高級がつきますよ。」
「あら、そうかしら?」
「そうですよ。」
けらけらと笑う雪美に涼也は何を言っていいものか考える。
「さーて、雫お茶。」
「自分で出せよ。」
「嫌よ。」
「あの、俺が淹れましょうか?」
「いいのよ、お客さんだし。」
「いえ、大丈夫ですから。」
あまりにも高そうなソファに座るのも忍びなかった涼也は台所に逃げて、お茶の準備を始める。
「悪いな。」
「いえ。」
どうやら涼也が心配で来たのか雫は申し訳なさそうな顔をしている。
「あの人結構自分勝手で。」
「マイペースな方なんですね。」
「いや、あれば自己中って言うんだ。」
「ははは…。」
涼也は乾いた笑みを浮かべる。
「それにしても、見た目の割にしっかりしているな。」
「そうですか?」
「ああ、小学生だろ?」
「……。」
雫の一言で涼也は本気で落ち込む。
「えっ、わ、悪い…。」
「いえ、確かに身長は高くないですけど……中学一年です。」
「わ、悪い。」
「いえ…。」
どんよりとした空気を発する涼也に雫は狼狽する。
「悪い…。」
「いやーん、雫が虐めてる。」
「うう、涼ちゃんはやっぱ受け?」
「……。」
「……。」
涼也はもう少し落ち込みたいという気持ちがあったが、こちらを覗き見する、と言っても姿は隠れていないのだが、取り敢えず姿を隠そうとしている二人に涼也は呆れを混じった顔をする。
「諦めろ、あいつらはああいう人種だ。」
「いつの間に。」
「何かつい何か月か前に雪がサイトを立ち上げてかららしい。」
「どんなサイトだよ。」
「普通に小説のつもりらしいが、内容が完全BLで姉が嵌った。」
「……。」
涼也は溜息を零し、そして、お茶の準備を終えるとお盆を持つ。
「雪姉ストレートでよかった?」
「ありがとう。」
「一応砂糖とミルク持ってきたんで。」
「ふふ、ありがとう。」
涼也はいつの間にかソファに座っている二人の目の前に紅茶を置く。
「涼ちゃん。」
「ん?」
「涼ちゃんが行きたい学校の先輩なんだって。」
「誰が?」
「アレ。」
雫を指さす。
「おい。」
「だって、本当の事でしょ?」
「人を指さすな。」
「大丈夫よ。」
「これでも、偉いんだぞ。」
「自称?」
「違うわっ!」
突然夫婦漫才みたいな事を始める二人に涼也は呆れ顔をする。
「初めて会うにしては本当に仲いいわね。」
「会うのは初めてですけど、メールとかはよくやっているので、本当に悪友ですよ。」
「悪友……。」
雪美の言葉に落ち込む雫に涼太はこの人は従姉に惚れているのだと悟るが、何となく面白くないので黙っておく。
「それで、行きたいところの先輩だとしても俺が入る頃には卒業していると思うんだけど。」
「こいつはね。」
「?」
「こいつって、中三の時にオレ様会長だったらしいんだけど。」
「オレ様?」
「うん、それで、どうやらその時中一だった子たちで高校でも生徒会に入りそうな子がいるらしいんだ。」
「へー。」
中一の時に生徒会の話が出るなんて今の中学では考えられないな、と思いながらも、面倒臭そうと涼也は思う。
「そうそう、多分涼ちゃんが思っているような生徒会じゃないよ。」
「ん?」
「何というか普通の学校の生徒会って学校をよりよくする為に活動するっていうものだけど、あの学校は違ってその中等部なら中等部の運営をすべて任されて、高等学校も高等学校で運営やら始末書とかも捌いているんだって。」
「何だよ…それ……。」
すごく別次元の話に涼也は呆気にとられる。
「まあ、そんなんだから変な方向に走る生徒会役員が多いんだよな。」
「そうなんですか…。」
「だからさ、涼ちゃん。」
「ん?」
「そこの学校に本気で行こうと思うなら色々覚悟した方がいいよ。」
涼也は雪美の目を見て彼女が本気で自分の身を案じているのを知ってホッとする。
「大丈夫、俺は一人じゃないし、雪姉が相談のってくれるんだろ?」
「そうだけど、なかなかこっちには帰って来れないらしいし。」
「あれ?それなら雫さんは?」
「実家の都合と言って、出て来た。」
「へぇ。」
「と言ってもこれは帝の家だから出来るけど他の生徒会役員でもそこんところの申請は難しいけどな。」
涼也はその言葉に顔を歪める。
多分自由に出入りが出来なかった京也は助けを呼ぶ事も出来ず自らの命を絶つことで負の連鎖を断とうとしたのだろう、だけど、それは彼の掬いにも他の人にも救いを与える事の出来ない自己満足であるだろう。
「つーか、お前って頭いいのか?」
「さあ?」
「よくそんな事言えるなあの学校の入学試験は難しいぞ。」
「それでも、やらないといけないからな。」
「何か訳ありか?」
「そんな所。」
「それにしても、雫。」
「何だよ。」
「あんたのどこがオレ様会長なのよ、全然別モノじゃない。」
「知るかっ!」
「まあ、雪がいるから仕方ないか。」
「なっ!」
藍妃の言葉に雫は顔を真っ赤にさせるが、雪美はその事に全く気付いていなく、涼也は憐みの籠った目で雫を見つめた。
「あっ!」
「な、何だよ雪姉。」
「そろそろ行かないと。」
「……。」
あまりにも急な言葉に涼也は呆気に取られる。
「何だよ、時間は…。」
「ごめん、今日行きしなに三時までに帰って来いって言われちゃって。」
「おじさん?」
「うん、なんかさお見合いさせるとかって。」
雪美の言葉に雫がギョッとなるが涼也は肩を竦める。
「頑張って壊してきてください。」
「勿論よ。」
「あら、どういう事?」
「雪姉って、恋愛結婚したいからっておじさんのお見合いを潰しまくっているから。」
「高1なのに?」
「雪姉が五歳の頃からの攻防だから。」
あまりの事に藍妃ですら驚いているが、涼也は事実なので苦笑しか出来ないでいた。
「おじさんさ、雪姉が大好きすぎて可笑しな方向に突っ走ってしまってね。」
「だからって大切な一人娘に許嫁を作ってやるって考えは何なのよ。」
「それはおじさんの考えだから…。」
「まっ、涼ちゃんに文句を言っても仕方ないか。」
「ゆ、雪っ!」
「何?」
突然大きな声を出す雫に雪美は目を見開く。
「オレが彼氏役をして潰してやろうか?」
「面倒だから嫌。」
「め、面倒。」
「そうよ、嘘の彼氏なんて追及されたらボロが出るに決まっているじゃない。」
「うぐ…。」
「大丈夫よ、いつもの事だしね。」
明るく笑う雪美に涼也は肩を竦める。
前の時は京也が亡くなってから雪美の父は彼女にお見合いを突き付ける事はなかったが、涼也が知る所では彼女が彼氏を作った事は一度もなかった。
「それじゃ、涼ちゃん帰りましょう。」
涼也は雪美に手を引かれ、ふっと振り返ると愕然と膝をつく情けない姿をさらす男がそこにあった。
「キサキさんっ!」
出会った瞬間に抱き合う美女と従姉に涼也は唖然となる。
「何、あのテンション……。」
「……。」
「涼ちゃん、この人がキサキさん。」
「あら、いい感じの受けじゃない。」
「そうかな?」
「そうそう、雫×涼也なんていいじゃない?」
「わたしは涼也×京也派なので。」
目を輝かせて話す二人に涼也は頭が痛くなった。
「俺何のためにここに来たんだ?」
「涼也くんはやっぱやんちゃ系?」
「そうじゃないですよ、過去有り、おかん属性のチャラ男になってもらおうと思っているんです。」
「何それ、おいしそうっ!」
「ですよね、絶対涼ちゃんには高校デビューで髪を染めてもらおうと思っているんですっ!」
「いいわね、それで、ワックスでいい感じにはねれば、確かに見た目はチャラ男風にはなるわね。」
「ですよねっ!」
「…………その辺にしてくれ。」
「えー。」
「こいつだって困っているだろうが。」
「あら、ごめんなさいね。」
「いえ…。」
「そう言えば、自己紹介がまだだったわね、帝、藍妃(あいひ)よ。」
「本城、涼也です。」
「さーて、ここじゃなんですから中に入って。」
「玄関で話しまくってた人には言われたくないな。」
「雫、何か言った?」
「イエ、ナンデモ。」
「そうよね。」
パワーバランスを見た涼也は絶対に藍妃には逆らわない方がいいと心の刻んだ。
「それにしても、キサキさん、すごいですね。」
「そうでしょ、オートロック式で安全が売りのマンションですから。」
「頭に高級がつきますよ。」
「あら、そうかしら?」
「そうですよ。」
けらけらと笑う雪美に涼也は何を言っていいものか考える。
「さーて、雫お茶。」
「自分で出せよ。」
「嫌よ。」
「あの、俺が淹れましょうか?」
「いいのよ、お客さんだし。」
「いえ、大丈夫ですから。」
あまりにも高そうなソファに座るのも忍びなかった涼也は台所に逃げて、お茶の準備を始める。
「悪いな。」
「いえ。」
どうやら涼也が心配で来たのか雫は申し訳なさそうな顔をしている。
「あの人結構自分勝手で。」
「マイペースな方なんですね。」
「いや、あれば自己中って言うんだ。」
「ははは…。」
涼也は乾いた笑みを浮かべる。
「それにしても、見た目の割にしっかりしているな。」
「そうですか?」
「ああ、小学生だろ?」
「……。」
雫の一言で涼也は本気で落ち込む。
「えっ、わ、悪い…。」
「いえ、確かに身長は高くないですけど……中学一年です。」
「わ、悪い。」
「いえ…。」
どんよりとした空気を発する涼也に雫は狼狽する。
「悪い…。」
「いやーん、雫が虐めてる。」
「うう、涼ちゃんはやっぱ受け?」
「……。」
「……。」
涼也はもう少し落ち込みたいという気持ちがあったが、こちらを覗き見する、と言っても姿は隠れていないのだが、取り敢えず姿を隠そうとしている二人に涼也は呆れを混じった顔をする。
「諦めろ、あいつらはああいう人種だ。」
「いつの間に。」
「何かつい何か月か前に雪がサイトを立ち上げてかららしい。」
「どんなサイトだよ。」
「普通に小説のつもりらしいが、内容が完全BLで姉が嵌った。」
「……。」
涼也は溜息を零し、そして、お茶の準備を終えるとお盆を持つ。
「雪姉ストレートでよかった?」
「ありがとう。」
「一応砂糖とミルク持ってきたんで。」
「ふふ、ありがとう。」
涼也はいつの間にかソファに座っている二人の目の前に紅茶を置く。
「涼ちゃん。」
「ん?」
「涼ちゃんが行きたい学校の先輩なんだって。」
「誰が?」
「アレ。」
雫を指さす。
「おい。」
「だって、本当の事でしょ?」
「人を指さすな。」
「大丈夫よ。」
「これでも、偉いんだぞ。」
「自称?」
「違うわっ!」
突然夫婦漫才みたいな事を始める二人に涼也は呆れ顔をする。
「初めて会うにしては本当に仲いいわね。」
「会うのは初めてですけど、メールとかはよくやっているので、本当に悪友ですよ。」
「悪友……。」
雪美の言葉に落ち込む雫に涼太はこの人は従姉に惚れているのだと悟るが、何となく面白くないので黙っておく。
「それで、行きたいところの先輩だとしても俺が入る頃には卒業していると思うんだけど。」
「こいつはね。」
「?」
「こいつって、中三の時にオレ様会長だったらしいんだけど。」
「オレ様?」
「うん、それで、どうやらその時中一だった子たちで高校でも生徒会に入りそうな子がいるらしいんだ。」
「へー。」
中一の時に生徒会の話が出るなんて今の中学では考えられないな、と思いながらも、面倒臭そうと涼也は思う。
「そうそう、多分涼ちゃんが思っているような生徒会じゃないよ。」
「ん?」
「何というか普通の学校の生徒会って学校をよりよくする為に活動するっていうものだけど、あの学校は違ってその中等部なら中等部の運営をすべて任されて、高等学校も高等学校で運営やら始末書とかも捌いているんだって。」
「何だよ…それ……。」
すごく別次元の話に涼也は呆気にとられる。
「まあ、そんなんだから変な方向に走る生徒会役員が多いんだよな。」
「そうなんですか…。」
「だからさ、涼ちゃん。」
「ん?」
「そこの学校に本気で行こうと思うなら色々覚悟した方がいいよ。」
涼也は雪美の目を見て彼女が本気で自分の身を案じているのを知ってホッとする。
「大丈夫、俺は一人じゃないし、雪姉が相談のってくれるんだろ?」
「そうだけど、なかなかこっちには帰って来れないらしいし。」
「あれ?それなら雫さんは?」
「実家の都合と言って、出て来た。」
「へぇ。」
「と言ってもこれは帝の家だから出来るけど他の生徒会役員でもそこんところの申請は難しいけどな。」
涼也はその言葉に顔を歪める。
多分自由に出入りが出来なかった京也は助けを呼ぶ事も出来ず自らの命を絶つことで負の連鎖を断とうとしたのだろう、だけど、それは彼の掬いにも他の人にも救いを与える事の出来ない自己満足であるだろう。
「つーか、お前って頭いいのか?」
「さあ?」
「よくそんな事言えるなあの学校の入学試験は難しいぞ。」
「それでも、やらないといけないからな。」
「何か訳ありか?」
「そんな所。」
「それにしても、雫。」
「何だよ。」
「あんたのどこがオレ様会長なのよ、全然別モノじゃない。」
「知るかっ!」
「まあ、雪がいるから仕方ないか。」
「なっ!」
藍妃の言葉に雫は顔を真っ赤にさせるが、雪美はその事に全く気付いていなく、涼也は憐みの籠った目で雫を見つめた。
「あっ!」
「な、何だよ雪姉。」
「そろそろ行かないと。」
「……。」
あまりにも急な言葉に涼也は呆気に取られる。
「何だよ、時間は…。」
「ごめん、今日行きしなに三時までに帰って来いって言われちゃって。」
「おじさん?」
「うん、なんかさお見合いさせるとかって。」
雪美の言葉に雫がギョッとなるが涼也は肩を竦める。
「頑張って壊してきてください。」
「勿論よ。」
「あら、どういう事?」
「雪姉って、恋愛結婚したいからっておじさんのお見合いを潰しまくっているから。」
「高1なのに?」
「雪姉が五歳の頃からの攻防だから。」
あまりの事に藍妃ですら驚いているが、涼也は事実なので苦笑しか出来ないでいた。
「おじさんさ、雪姉が大好きすぎて可笑しな方向に突っ走ってしまってね。」
「だからって大切な一人娘に許嫁を作ってやるって考えは何なのよ。」
「それはおじさんの考えだから…。」
「まっ、涼ちゃんに文句を言っても仕方ないか。」
「ゆ、雪っ!」
「何?」
突然大きな声を出す雫に雪美は目を見開く。
「オレが彼氏役をして潰してやろうか?」
「面倒だから嫌。」
「め、面倒。」
「そうよ、嘘の彼氏なんて追及されたらボロが出るに決まっているじゃない。」
「うぐ…。」
「大丈夫よ、いつもの事だしね。」
明るく笑う雪美に涼也は肩を竦める。
前の時は京也が亡くなってから雪美の父は彼女にお見合いを突き付ける事はなかったが、涼也が知る所では彼女が彼氏を作った事は一度もなかった。
「それじゃ、涼ちゃん帰りましょう。」
涼也は雪美に手を引かれ、ふっと振り返ると愕然と膝をつく情けない姿をさらす男がそこにあった。
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