もう一度君と…

弥生 桜香

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第一章

第一章「リスタート」6

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「はー、緊張した~。」
「何処がだよ。」
「だって、あの帝グループの御曹司だよ。」
「……。」

 涼也は肩を竦める。

「おじさんに見つかった面倒だね。」
「そうだよね、絶対逃すなとかいいそう。」
「まあ、しょうがないよ。」
「それで、涼ちゃん敵には今日はどうだった?」
「いい人だと思うけど、俺や京也が入学する時はもういないんだし、あんまりあてにはならないかな。」
「だよね~。」

 雪美は背伸びをする。

「まあ、あれでも先輩になるんだし後輩の情報を流してもらえるように頑張って仲良くなってみるね。」
「……雪姉はそれでいいのか?」
「いいの、いいの、利用できるのなら何でも使うわよ。」

 セリフだけを聞いたらどこぞの悪女だと思いたくなるのだが、彼女は素でやっているので性質が悪いと涼也は胸でこっそりと呟く。

「そう言えば、CDショップ寄ろうか。」
「雪姉、時間は?」
「いいのよ、遅刻した方が印象悪いし。」
「……。」
「それじゃ、レッツゴーっ!」

 拳を突き上げ歩き出す雪美に涼也は苦笑する事しか出来なかった。
 そして、涼也はCDショップに入り目当てのCDを探し出す。

「涼ちゃんあった?」
「ああ、あった。」
「どんな曲なの?」
「うーん、バラード系かな、何というか歌詞が気に入ってて。」
「へー、どんな歌詞なの?」
「確か…。」

 それを失って初めて気づいた
 それが自分にとって大切なモノだったと
 どうして気づかなかったんだろう
 叫んでも
 泣いても
 それをもう一度手にする事はない
 砕け散ったモノは元には戻らない

「って感じだったかな。」
「涼ちゃん。」

 歌詞に自分の想いを重ねた涼也に雪美は何とも言えない気持ちになった。

「追い詰めてるの?」
「ち、違うよ。」
 本気で心配そうな顔をする雪美に涼也は慌てて首を振った。
「確かに一番の歌詞は共感していたけど、三番の歌詞は未来に対しての歌詞だからね。」
「二番は?」
「うーん、一番の事を引きずっているかな、あの時こうすれば、未来は変わっていたかな?みたいな。」
「……。」
「雪姉、俺は平気だから、あの時にならないように頑張るから。」
「分かった。」

 釈然としてません、という顔で頷く雪美に涼也は苦笑する。

「砕けた欠片から学んだ事は、忘れない、新しい未来を築くためにもその記憶は忘れないから。」
「何か言った?」
「何でもないよ。」

 涼也は笑って、CDをレジに持って行った。

「これで、涼ちゃんの買い物も終わり?」
「ああ。」
「そっか、帰るの?」
「そのつもり。」
「そっか。」

 涼也この時自分の判断を正しかったのか、分からなくなってしまう時が来てしまうのだが、この時の涼也は知る由もなかった。
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