もう一度君と…

弥生 桜香

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第三章

第三章「焦りと出会い」4

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 楽しい時間というものは早く過ぎるもので、気づいたら二時になっていた。

「あー、腹減った。」
「まだ、昼食をすましてなかったな。」
「近くにいい店ってあったか?」
「さあ?」

 涼也は携帯を取り出し、近くの店を検索しようとしたところ、アキラに止められる。

「一番目に目についた店でいいんじゃないか?」
「えー、折角だからうまい店がいいじゃん。」
「直感の方がお前らしいと思うけど。」
「何だと。」

 貶されているような気がした涼也は眉を寄せる。

「何で怒っているんだ?」
「……。」

 涼也はこの男天然かよ、立ち悪いな、と思いながら顔を引きつらせる。

「はぁ、もういいよ、行こう。」
「怒ったり、冷めたり、忙しい奴だな。」
「誰の所為だ、誰の。」
「お前が勝手にやっているんだろう?」
「……。」

 涼也は恨めしそうにアキラを睨み、そして、諦めたのか、前に進む。
 そして、最初に目についたのは何故かたこ焼き屋だった。

「なあ、アキラ。」
「何だ?」
「目についたのあれだけど、あれにするのか?」
「いいんじゃないか?」
「お前がいいならいいけど、幾つ食う?」
「お任せする。」

 アキラの言葉に涼也は眉を寄せる。

「お前な~。」
「文句は言わないさ。」

 どこか楽しげな彼に涼也は諦めた表情をする。

「しゃーねーな、文句は絶対に言うなよ。」
「ああ。」

 涼也はたこ焼き屋に向かって歩き出す。

「らっしゃい。」
「たこ焼き二パック。」
「あいよ。」

 涼也は少し離れた場所で自分を見る彼の視線に呆れた顔をするが、すぐに、顔の整った彼がこんな場所にたこ焼きを買いに行く姿が思い浮かび笑いが込み上げてきた。

「似合わない。」

 肩を震わせる涼也に店員のおじさんは怪訝な顔をするが残念ながら涼也はその事に気づいていない。
 そして、お金と商品を交換した涼也は温かいそれをもってアキラの元に向かう。

「お待たせ。」
「幾らだ?」
「いいよ、大した金額じゃねぇし。」
「……。」

 アキラは顔を顰め、そして、財布からお札を二枚抜き出し、涼也に握らせる。

「いらねぇのに、つーか、多い………だろ……。」

 涼也は一枚の札を帰そうとして、それを見て固まる。
 てっきり千円札を二枚差し出されたのだと思ったのだが、彼が差し出してきたのは一万円札が二枚だった。

「多いっ!多すぎるからっ!」
「お前には世話になったからな。」

 ニヤリと笑うアキラに涼也の表情から一切の感情が消えた。

「リョウ?」

 涼也の表情が消えた事に戸惑うアキラは彼を覗き込もうとするが、それよりも早く涼也の蹴りがアキラの脛を狙う。

「俺は金が欲しくてお前の傍に居たんじゃない。」
「えっ……。」

 肩を震わせる涼也を見てアキラはようやく自分がした事に彼を怒らせてしまった事を悟る。

「リョウ。」
「俺とあんたは対等でいたい、なのに、あんたは俺の好意を金で帰る気かっ!」
「……。」
「もう、あんたなんて知らないっ!」

 涼也はたこ焼きの入ったビニール袋をアキラに投げつけ、身を翻し、走り出す。
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