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第五章
第五章「文化祭」40
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涼也は自分の出番を終えると、ホッと息を吐く。
「……終わった。」
脱力しながら涼也は舞台を眺める。
碧が王妃からリンゴを受け取っている。
本当に嬉しそうに笑う碧に観客たちは身を乗り出してみている。
そして、一口リンゴをかじった碧は糸が切れた人形のようにその場に倒れ込む。
「ふ、ふははははははは。」
涼也はその笑い声を聞いてげんなりする。
仁王立ちになり天に向かって笑い出す男らしい王妃に涼也は痛む頭を押さえる。
一応台本通りだが、ここまで豪快に笑っていないはずだった、でも、彼は体育館中に響き渡るがごとくに笑っている。
近くでその笑い声を聞かされる碧は観客席からは分からないけど、こちらからではばっちりと顔を顰めているのが見えた。
「これで、一番はこのおれだあああああっ!」
「……。」
最後のセリフが間違っている事に気づき、涼也は恐る恐る後ろを振り返れば満面の笑みを浮かべ、死ねっと指のサインを出す女子を見た。
涼也は見るんじゃなかったと冷や汗を掻きながら前を向く。
幕がいったん落ち、涼也も移動の手伝いに舞台に出る。
「これ、こっちでいいか?」
「あ、サンキュ。」
「おい、こっちに棺持ってこい。」
「了解。」
できるだけ声を押さえ、音を立てないように定位置に大道具や小道具を置いていく。
「オッケー、撤収。」
「了解。」
「分かった。」
「OK。」
「やべ、おれこっちじゃん。」
「馬鹿、早く定位置に行け。」
涼也も舞台袖に行き、すぐに幕が開く。
「ああ、まるで眠っているようだ。」
「まだ、若いというのに。」
「よよよ。」
個性的な小人たちの嘆きに観客が笑いをこらえていると、堂々と王子訳の樹が現れる。
「あれは、異国の王子じゃないか。」
「どうして、ここに。」
「……。」
樹は目を閉ざす碧を少し柔らかい目で見つめる。
それは演技ではないように涼也の目には映ってしまい、侵され始めている自分の頭を殴る。
そして、ふっと脳裏に何かが過った。
何なんだと、目を丸くしている涼也だったが、次の瞬間、固まる。
悪友の友人扮する木が揺れ動き、そして、樹の背中を強く押す。
後から分かったんだが、虫が彼の周りに飛び回っていて、それを払うために動いたのだが、彼は動きにくい衣装だという事を忘れ、手を振ろうとして、思いっきり体制を崩し、樹にぶつかってしまったそうだ。
そして、押された樹はその場に踏みとどまる事ができず、しかも、碧の寝ている棺までたどり着いている状態だった。
押された、樹。
寝ている、碧。
逃げられない二人が重なった。
「きゃあああああああっ!」
「うおおおおおおおおおおお。」
「いやあああああああああああ。」
「よっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
後ろから聞こえる雄たけび越えに涼也は一瞬体を強張らせる。
そして、辛うじて顔を離した二人。
固まる樹に対し、碧はニッコリと微笑む。
「ありがとうございます。」
やばいと思った涼也はナレーションに合図し、強制的に幕を下ろさせた瞬間、碧の平手が樹を襲う。
涼也は辛うじて幕は閉じているからいいのかと、項垂れながら考えた。
「……終わった。」
脱力しながら涼也は舞台を眺める。
碧が王妃からリンゴを受け取っている。
本当に嬉しそうに笑う碧に観客たちは身を乗り出してみている。
そして、一口リンゴをかじった碧は糸が切れた人形のようにその場に倒れ込む。
「ふ、ふははははははは。」
涼也はその笑い声を聞いてげんなりする。
仁王立ちになり天に向かって笑い出す男らしい王妃に涼也は痛む頭を押さえる。
一応台本通りだが、ここまで豪快に笑っていないはずだった、でも、彼は体育館中に響き渡るがごとくに笑っている。
近くでその笑い声を聞かされる碧は観客席からは分からないけど、こちらからではばっちりと顔を顰めているのが見えた。
「これで、一番はこのおれだあああああっ!」
「……。」
最後のセリフが間違っている事に気づき、涼也は恐る恐る後ろを振り返れば満面の笑みを浮かべ、死ねっと指のサインを出す女子を見た。
涼也は見るんじゃなかったと冷や汗を掻きながら前を向く。
幕がいったん落ち、涼也も移動の手伝いに舞台に出る。
「これ、こっちでいいか?」
「あ、サンキュ。」
「おい、こっちに棺持ってこい。」
「了解。」
できるだけ声を押さえ、音を立てないように定位置に大道具や小道具を置いていく。
「オッケー、撤収。」
「了解。」
「分かった。」
「OK。」
「やべ、おれこっちじゃん。」
「馬鹿、早く定位置に行け。」
涼也も舞台袖に行き、すぐに幕が開く。
「ああ、まるで眠っているようだ。」
「まだ、若いというのに。」
「よよよ。」
個性的な小人たちの嘆きに観客が笑いをこらえていると、堂々と王子訳の樹が現れる。
「あれは、異国の王子じゃないか。」
「どうして、ここに。」
「……。」
樹は目を閉ざす碧を少し柔らかい目で見つめる。
それは演技ではないように涼也の目には映ってしまい、侵され始めている自分の頭を殴る。
そして、ふっと脳裏に何かが過った。
何なんだと、目を丸くしている涼也だったが、次の瞬間、固まる。
悪友の友人扮する木が揺れ動き、そして、樹の背中を強く押す。
後から分かったんだが、虫が彼の周りに飛び回っていて、それを払うために動いたのだが、彼は動きにくい衣装だという事を忘れ、手を振ろうとして、思いっきり体制を崩し、樹にぶつかってしまったそうだ。
そして、押された樹はその場に踏みとどまる事ができず、しかも、碧の寝ている棺までたどり着いている状態だった。
押された、樹。
寝ている、碧。
逃げられない二人が重なった。
「きゃあああああああっ!」
「うおおおおおおおおおおお。」
「いやあああああああああああ。」
「よっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
後ろから聞こえる雄たけび越えに涼也は一瞬体を強張らせる。
そして、辛うじて顔を離した二人。
固まる樹に対し、碧はニッコリと微笑む。
「ありがとうございます。」
やばいと思った涼也はナレーションに合図し、強制的に幕を下ろさせた瞬間、碧の平手が樹を襲う。
涼也は辛うじて幕は閉じているからいいのかと、項垂れながら考えた。
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