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第二章
《初めてのギルド》
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「ここが。」
「ギルド。」
呆気に取られている二人にセイラは苦笑し、カルムは彼女たちの次に言う言葉が分かるのか顔を背けている。
「ぼろいですね。」
「ボロボロだね。」
「……。」
「…………ぷっ。」
素直な二人の感想にセイラは何とも言えないような顔で笑い、カルムはとうとう噴出した。
「くくく。」
「何ですか。」
「いや、すなおだなー、と思ってな。」
「うっさいです。」
「……ああ、二人の言葉遣いが悪くなっていっている気がする…ルミナ…ごめんなさい。」
セイラはレラの言葉使いに天を仰ぐ。
「セイラさま、レラの言葉遣いが悪いのは元からです。」
「……。」
セイラの嘆きを聞いたミラは訂正を入れる。
「……。」
セイラはそれでも複雑な表情を浮かべる。
「はぁ、こんなところで何だ、入ろうぜ。」
「そうね。」
セイラが頷くとカルムは慣れたように扉を開ける。
ギギギと立て付けの悪い音がするが、カルムは気にする事無くカウンターに向かう。
「あら、カルムくんじゃない。」
受付の女性がカルムを見て不思議そうな顔をする。
「お父さんは?」
「いない。」
「あら…、もう一人立ち?」
「ああ。」
受付の女性は苦笑しながらそう言うと、カルムはしれッと頷いた。
「そうなの、早いわね。」
「そうか?」
「まあ、あの人の息子さんだもんね、異常…じゃなくて、普通じゃなくて……。」
受付の女性は言いなおすが、あまり変わらないと思ったのか、途中で言葉を詰まらせる。
「あのさ。」
「はいはい。」
「今日はこいつらの登録をしに来たんだ。」
受付の女性はようやくカルムが一人じゃなく三人の少女を引きつれてやって来たのを知る。
「あら、この子たちは…もしかして、カルムの彼女とか?」
「「……。」」
心底嫌そうな顔をする双子に、苦笑するセイラを見て、受付女性はセイラの方はもしかして、気があるのではないのかと楽しそうな顔をする。
「あの双子は絶対に違う。」
「ふーん。」
セイラの事を否定しないカルムに受付の女性はニヤニヤと笑う。
「あの…。」
「何かしら?」
「登録って大変なんですか?」
「そんな事ないわ、書類に名前書いて、プレートに拇印を押して終わりよ。」
「そうなんですか?」
「ええ、ちょっと待ってね今持ってくるから。」
そう言うと受付の女性は中に入り、紙を三枚、プレートを三枚持ってきた。
「えっと、名前は書ける?」
「はい、書けます。」
そう言うと、セイラはさらさらと自分の名前を書き、双子も同じように自分の名前を書く。
「へー、セイラちゃんって言うのね。」
「はい。」
「あれ…セイラちゃんって…。」
受付の女性はジッとセイラを見て、そして、ポンと手を叩く。
「あっ、顔色がよくなっていたからすぐに分からなかったけど、役所に来てた子よね?」
「えっ、あっ、はい。」
「あの時受付をしてたんだけど、覚えてないよね。」
「あっ、ごめんなさい。」
「いいのよ、わたしだって、偶然気づいたんだったし、顔色がよくなっていてよかったわ。」
純粋に喜んでいる受付の女性にセイラは微笑む。
「心配おかけしました。」
「いいのよ、元気なら。」
「あの、書き終わりました。」
「終わりましたー。」
「あっ。はいはい、ありがとうございます。」
受付の方は名前をしっかりと書いていると分かりニッコリと笑う。
「それではこちらの針に指をさしてください。」
「えっ?」
「……。」
「……。」
受付の人の言葉にセイラは絶句し、双子もまた強張った顔で受付の彼女を睨んでいる。
「ああ、ごめんなさいね、登録する上で血が必須なの。」
「……。」
本当に申し訳なさそうな彼女にセイラは苦笑しながら、そして、最初の戸惑いなど嘘なんかのように、勢いよく針に指をさす。
「――っ!」
痛みが走るが、セイラは一瞬顔を歪ませるだけで、プレートに血をつける。
プレートは一瞬虹色の光を光らせ、そして、セイラの名前の彫られたプレートとなった。
「こちらが、セイラちゃん専用のプレートになります、無くされれば罰金がありますので、ご注意してください。」
「罰金はいくらくらいになりますか?」
「ランクによって変わってくるけど、今のセイラちゃんたちなら500Gになるわね。」
「そうなんですか。」
「カルムくんは確かランクが上がったから1000Gよ。」
「あー、そう言えば上がったんだっけ。」
「だから、少し上のクエストも受けられるわよ。」
「んー、でも、今日はこいつらに合わせたいから薬草の収集とかあるかな?」
「ええ、って、あっ、先に双子ちゃんの登録をしてからね。」
「レラ、ミラ。」
「はい。」
「はーい。」
ミラは少し落ち着いているが、レラは恐る恐る針を見ている。
「大丈夫よ、わたし水属性だからすぐに治療するからね。」
腕まくりをする受付の彼女にセイラはフッと自分の指を見れば、いつの間にか傷が塞がっていた。
そんなに強く刺したわけではないけど、それでも、こんなにも怪我の直りが早いものかと少し疑問を抱く。
「まあ、そんなものかも知れないわね。」
セイラは結局深く考えず、双子の登録を待つ。
「ギルド。」
呆気に取られている二人にセイラは苦笑し、カルムは彼女たちの次に言う言葉が分かるのか顔を背けている。
「ぼろいですね。」
「ボロボロだね。」
「……。」
「…………ぷっ。」
素直な二人の感想にセイラは何とも言えないような顔で笑い、カルムはとうとう噴出した。
「くくく。」
「何ですか。」
「いや、すなおだなー、と思ってな。」
「うっさいです。」
「……ああ、二人の言葉遣いが悪くなっていっている気がする…ルミナ…ごめんなさい。」
セイラはレラの言葉使いに天を仰ぐ。
「セイラさま、レラの言葉遣いが悪いのは元からです。」
「……。」
セイラの嘆きを聞いたミラは訂正を入れる。
「……。」
セイラはそれでも複雑な表情を浮かべる。
「はぁ、こんなところで何だ、入ろうぜ。」
「そうね。」
セイラが頷くとカルムは慣れたように扉を開ける。
ギギギと立て付けの悪い音がするが、カルムは気にする事無くカウンターに向かう。
「あら、カルムくんじゃない。」
受付の女性がカルムを見て不思議そうな顔をする。
「お父さんは?」
「いない。」
「あら…、もう一人立ち?」
「ああ。」
受付の女性は苦笑しながらそう言うと、カルムはしれッと頷いた。
「そうなの、早いわね。」
「そうか?」
「まあ、あの人の息子さんだもんね、異常…じゃなくて、普通じゃなくて……。」
受付の女性は言いなおすが、あまり変わらないと思ったのか、途中で言葉を詰まらせる。
「あのさ。」
「はいはい。」
「今日はこいつらの登録をしに来たんだ。」
受付の女性はようやくカルムが一人じゃなく三人の少女を引きつれてやって来たのを知る。
「あら、この子たちは…もしかして、カルムの彼女とか?」
「「……。」」
心底嫌そうな顔をする双子に、苦笑するセイラを見て、受付女性はセイラの方はもしかして、気があるのではないのかと楽しそうな顔をする。
「あの双子は絶対に違う。」
「ふーん。」
セイラの事を否定しないカルムに受付の女性はニヤニヤと笑う。
「あの…。」
「何かしら?」
「登録って大変なんですか?」
「そんな事ないわ、書類に名前書いて、プレートに拇印を押して終わりよ。」
「そうなんですか?」
「ええ、ちょっと待ってね今持ってくるから。」
そう言うと受付の女性は中に入り、紙を三枚、プレートを三枚持ってきた。
「えっと、名前は書ける?」
「はい、書けます。」
そう言うと、セイラはさらさらと自分の名前を書き、双子も同じように自分の名前を書く。
「へー、セイラちゃんって言うのね。」
「はい。」
「あれ…セイラちゃんって…。」
受付の女性はジッとセイラを見て、そして、ポンと手を叩く。
「あっ、顔色がよくなっていたからすぐに分からなかったけど、役所に来てた子よね?」
「えっ、あっ、はい。」
「あの時受付をしてたんだけど、覚えてないよね。」
「あっ、ごめんなさい。」
「いいのよ、わたしだって、偶然気づいたんだったし、顔色がよくなっていてよかったわ。」
純粋に喜んでいる受付の女性にセイラは微笑む。
「心配おかけしました。」
「いいのよ、元気なら。」
「あの、書き終わりました。」
「終わりましたー。」
「あっ。はいはい、ありがとうございます。」
受付の方は名前をしっかりと書いていると分かりニッコリと笑う。
「それではこちらの針に指をさしてください。」
「えっ?」
「……。」
「……。」
受付の人の言葉にセイラは絶句し、双子もまた強張った顔で受付の彼女を睨んでいる。
「ああ、ごめんなさいね、登録する上で血が必須なの。」
「……。」
本当に申し訳なさそうな彼女にセイラは苦笑しながら、そして、最初の戸惑いなど嘘なんかのように、勢いよく針に指をさす。
「――っ!」
痛みが走るが、セイラは一瞬顔を歪ませるだけで、プレートに血をつける。
プレートは一瞬虹色の光を光らせ、そして、セイラの名前の彫られたプレートとなった。
「こちらが、セイラちゃん専用のプレートになります、無くされれば罰金がありますので、ご注意してください。」
「罰金はいくらくらいになりますか?」
「ランクによって変わってくるけど、今のセイラちゃんたちなら500Gになるわね。」
「そうなんですか。」
「カルムくんは確かランクが上がったから1000Gよ。」
「あー、そう言えば上がったんだっけ。」
「だから、少し上のクエストも受けられるわよ。」
「んー、でも、今日はこいつらに合わせたいから薬草の収集とかあるかな?」
「ええ、って、あっ、先に双子ちゃんの登録をしてからね。」
「レラ、ミラ。」
「はい。」
「はーい。」
ミラは少し落ち着いているが、レラは恐る恐る針を見ている。
「大丈夫よ、わたし水属性だからすぐに治療するからね。」
腕まくりをする受付の彼女にセイラはフッと自分の指を見れば、いつの間にか傷が塞がっていた。
そんなに強く刺したわけではないけど、それでも、こんなにも怪我の直りが早いものかと少し疑問を抱く。
「まあ、そんなものかも知れないわね。」
セイラは結局深く考えず、双子の登録を待つ。
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