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第二章
《初めてのクエスト》
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「ご登録ありがとうございます。」
受付の彼女はニッコリと微笑み、いつの間に用意したのかカルムが言っていた薬草のクエストを三つほど見せる。
「こちらの二つが常時募集している薬草です。」
「痛み止めと魔草ね。」
「で、こちらはあと一週間しか納期期限がない分になるわ。」
「カルム。」
「何だ?」
「こういうクエストって、複数同時に受けられるの?」
「ああ、そうだな、出来る奴なら同時にやっている奴らもいる。」
「そうなんだ。」
「どうする?」
「えっ?」
聞いてくるカルムにセイラはキョトンとなる。
「もし、必要なら俺だけ討伐クエストをとってもいい、懐寒くないか?」
「……。」
セイラは無性に泣きたくなってしまった。
何故、こんな幼い子供が自分の懐具合を心配しているのだと。
「大丈夫、こっちの常時クエストだけでも、一日分のご飯になるし、それに、森に入るのなら食べられる何かをとってもいいでしょ?」
「まあな。」
「あっ、ペナルティとかあるのかな?」
「ランクが上がればあるけど、セイラと俺のランクならペナルティはないぞ。」
「そうなんだ。」
「ああ、Bランクからはペナルティがあるけど、そこまで上がるには功績とか講習とか色々とかかるんだ。」
「へー。」
「セイラ様。」
「セイラ様。」
突然双子がセイラを呼ぶ。
「どうしたの?」
「お話を伺うのなら受付嬢に多い記した方がいいんではないでしょうか。」
「でも、簡単なお話しなのよ。」
「もし、こいつが間違ってたらまずいんじゃないですか?」
「……。」
レラの言葉にセイラは思わず苦笑し、カルムはどうして自分をそこまで目の敵にするのだと呆れたような顔をしている。
「あの、カルムくんの話は間違ってないわよ。」
「……。」
「……。」
受付の彼女は苦笑気味にそう言えば、双子は面白くなさそうな顔をする。
「えっと、ごめんなさい。」
「大丈夫、大丈夫、双子ちゃんはカルムくんに嫉妬しているんだね。」
「シット?」
「……。」
レラは意味が分からないのか、首を傾げ、ミラはきまり悪そうな顔をしている。
「うーん、やきもち……、セイラちゃんを取られたくないとか、あと、セイラちゃんがカルムくんばっかりに目を向けているからむかむかするとかかな?」
「それをシットって言うんだ。」
「ええ、そうね。」
「なら、シットしています。」
「ちょっと、レラ。」
ミラは少し焦ったような顔をしながらレラの服を引っ張る。
「何で言うのよ。」
「だって、本当の事だもの。」
「それは…。」
「ふふふ。」
こそこそとしているけども、完全にバレバレの二人の会話に受付の彼女は微笑ましそうに見ている。
「えっと、あの、クエスト受けたいんですけど。」
セイラは遠慮がちにそう言い、紙をギュッと握っている。
「あっ、ごめんなさいね。」
「いえ。」
セイラは苦笑しながら、紙を並べる。
「こちらの二つを受けられるんですか?」
「はい、お願いします。」
「では、こちらの方にサインをしてください。」
セイラは紙に自分の名前を記入する。
「そう言えば、パーティを組んでおきますか?」
「パーティですか?」
「はい、ソロ受注でも構いませんが、パーティでしたら代表者の名前とパーティ名を書けばそれで大丈夫です。」
「……。」
セイラは困ったような顔をして、カルムを見る。
「いいんじゃねぇか、組んでも。」
「そんな軽く言わなくても…。」
困惑しているセイラにカルムは笑う。
「だって、傍に居るって決めているし、それなら始めから決めとけばいいじゃねぇか。」
「……。」
「セイラ様、わたしたちも構いません。」
「むしろ、組んでください。」
「ミラ、レラ。」
双子の後押しもあり、セイラは決めたのか、ニッコリと笑う。
「そうね。それなら、パーティ名どうする?」
「セイラ様大好き同盟。」
「セイラ様お守りします隊。」
「……。」
「……。」
「……。」
双子のネーミングセンスに受付の彼女も含め黙り込む。
「カルムは何かある?」
「………………お嬢と愉快な仲間たち?」
「……。」
「ダサい。」
「無いわ。」
なけなしの知恵を振り絞ったカルムだったが、セイラは苦笑い、双子はバッサリと切り伏せた。
「だから、嫌だったんだよ……俺もないな、とは思ったけど。」
「そうね………「キセキ」かしら。」
「キセキ?」
「私たちが出会えた「奇跡」、私たちという「貴石」の原石、そして、未来を紡ぎ出来る「軌跡」それぞれを総合して「キセキ」かな。」
「いいです。」
「素敵です」
「いいんじゃねぇか。」
絶賛する二人に、肯定する一人にセイラは慌てだす。
「え、でも私も安直に考えているんだよ。」
「他の奴らよりましだからな。」
「……一番変な人が。」
「俺は変じゃない、ネーミングセンスがないだけだ。」
「いっしょじゃん。」
「一緒じゃねぇ。」
「えっと……。」
「セイラちゃん、他の人もダメって言ってないし、記入しちゃおう、どうせ、止まらないと思うし。」
受付の彼女は苦笑しながらセイラに紙を差し出す。
セイラは一瞬戸惑うがそれでも、彼らを見て溜息を零し、苦笑する。
「そうですね。」
セイラから見ても、彼らは止まらないだろう、それならば、記入した方が時間を無駄にしなくても済むだろう。
セイラはしっかりとした字で、「キセキ」と記入した。
受付の彼女はニッコリと微笑み、いつの間に用意したのかカルムが言っていた薬草のクエストを三つほど見せる。
「こちらの二つが常時募集している薬草です。」
「痛み止めと魔草ね。」
「で、こちらはあと一週間しか納期期限がない分になるわ。」
「カルム。」
「何だ?」
「こういうクエストって、複数同時に受けられるの?」
「ああ、そうだな、出来る奴なら同時にやっている奴らもいる。」
「そうなんだ。」
「どうする?」
「えっ?」
聞いてくるカルムにセイラはキョトンとなる。
「もし、必要なら俺だけ討伐クエストをとってもいい、懐寒くないか?」
「……。」
セイラは無性に泣きたくなってしまった。
何故、こんな幼い子供が自分の懐具合を心配しているのだと。
「大丈夫、こっちの常時クエストだけでも、一日分のご飯になるし、それに、森に入るのなら食べられる何かをとってもいいでしょ?」
「まあな。」
「あっ、ペナルティとかあるのかな?」
「ランクが上がればあるけど、セイラと俺のランクならペナルティはないぞ。」
「そうなんだ。」
「ああ、Bランクからはペナルティがあるけど、そこまで上がるには功績とか講習とか色々とかかるんだ。」
「へー。」
「セイラ様。」
「セイラ様。」
突然双子がセイラを呼ぶ。
「どうしたの?」
「お話を伺うのなら受付嬢に多い記した方がいいんではないでしょうか。」
「でも、簡単なお話しなのよ。」
「もし、こいつが間違ってたらまずいんじゃないですか?」
「……。」
レラの言葉にセイラは思わず苦笑し、カルムはどうして自分をそこまで目の敵にするのだと呆れたような顔をしている。
「あの、カルムくんの話は間違ってないわよ。」
「……。」
「……。」
受付の彼女は苦笑気味にそう言えば、双子は面白くなさそうな顔をする。
「えっと、ごめんなさい。」
「大丈夫、大丈夫、双子ちゃんはカルムくんに嫉妬しているんだね。」
「シット?」
「……。」
レラは意味が分からないのか、首を傾げ、ミラはきまり悪そうな顔をしている。
「うーん、やきもち……、セイラちゃんを取られたくないとか、あと、セイラちゃんがカルムくんばっかりに目を向けているからむかむかするとかかな?」
「それをシットって言うんだ。」
「ええ、そうね。」
「なら、シットしています。」
「ちょっと、レラ。」
ミラは少し焦ったような顔をしながらレラの服を引っ張る。
「何で言うのよ。」
「だって、本当の事だもの。」
「それは…。」
「ふふふ。」
こそこそとしているけども、完全にバレバレの二人の会話に受付の彼女は微笑ましそうに見ている。
「えっと、あの、クエスト受けたいんですけど。」
セイラは遠慮がちにそう言い、紙をギュッと握っている。
「あっ、ごめんなさいね。」
「いえ。」
セイラは苦笑しながら、紙を並べる。
「こちらの二つを受けられるんですか?」
「はい、お願いします。」
「では、こちらの方にサインをしてください。」
セイラは紙に自分の名前を記入する。
「そう言えば、パーティを組んでおきますか?」
「パーティですか?」
「はい、ソロ受注でも構いませんが、パーティでしたら代表者の名前とパーティ名を書けばそれで大丈夫です。」
「……。」
セイラは困ったような顔をして、カルムを見る。
「いいんじゃねぇか、組んでも。」
「そんな軽く言わなくても…。」
困惑しているセイラにカルムは笑う。
「だって、傍に居るって決めているし、それなら始めから決めとけばいいじゃねぇか。」
「……。」
「セイラ様、わたしたちも構いません。」
「むしろ、組んでください。」
「ミラ、レラ。」
双子の後押しもあり、セイラは決めたのか、ニッコリと笑う。
「そうね。それなら、パーティ名どうする?」
「セイラ様大好き同盟。」
「セイラ様お守りします隊。」
「……。」
「……。」
「……。」
双子のネーミングセンスに受付の彼女も含め黙り込む。
「カルムは何かある?」
「………………お嬢と愉快な仲間たち?」
「……。」
「ダサい。」
「無いわ。」
なけなしの知恵を振り絞ったカルムだったが、セイラは苦笑い、双子はバッサリと切り伏せた。
「だから、嫌だったんだよ……俺もないな、とは思ったけど。」
「そうね………「キセキ」かしら。」
「キセキ?」
「私たちが出会えた「奇跡」、私たちという「貴石」の原石、そして、未来を紡ぎ出来る「軌跡」それぞれを総合して「キセキ」かな。」
「いいです。」
「素敵です」
「いいんじゃねぇか。」
絶賛する二人に、肯定する一人にセイラは慌てだす。
「え、でも私も安直に考えているんだよ。」
「他の奴らよりましだからな。」
「……一番変な人が。」
「俺は変じゃない、ネーミングセンスがないだけだ。」
「いっしょじゃん。」
「一緒じゃねぇ。」
「えっと……。」
「セイラちゃん、他の人もダメって言ってないし、記入しちゃおう、どうせ、止まらないと思うし。」
受付の彼女は苦笑しながらセイラに紙を差し出す。
セイラは一瞬戸惑うがそれでも、彼らを見て溜息を零し、苦笑する。
「そうですね。」
セイラから見ても、彼らは止まらないだろう、それならば、記入した方が時間を無駄にしなくても済むだろう。
セイラはしっかりとした字で、「キセキ」と記入した。
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