今世ではのんびりしたいのですが…無理ですか…

弥生 桜香

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第二章

《学ぶ 3》

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「……。」

 セイラは包帯を綺麗に巻きながら顔を顰める。

「……離れてください。」
「はっ、くっつかないと教えられないじゃないか。」
「……。」

 医者の態度にセイラもミラもだんだんいら立ちを隠せないでいた。

「………あの、包帯の準備が終わりました。」

 セイラは綺麗に並べた包帯の入った籠を医者の前に持っていく。

「……まあまあ、だな。」
「そうですか。」
「それじゃ、この薬草を買ってこい。」

 セイラは紙だけ渡され、顔を顰める。

「何だ、その顔は。」
「買ってくるのは構いませんが、買ってくるには必要なものがあると思うのですが。」
「ああ?こっちは余計なお前を雇っているんだ、それくらい、自分で出せ。」
「…なっ!」

 医者の言葉にセイラは無言になり、ミラは思わず、怒鳴りそうになる。

「それが嫌だったらさっさと辞めるんだな。」
「その場合、ミラは。」
「ああ?こいつは役に立っているんだ、誰が手放すかよ。」
「……。」

 一週間、ここに働き出して一週間経って、治療の才能を持つミラに医者は彼女を気に入った。
 そこから何度か危険を感じたセイラは何とかして彼からミラを引き離そうと努力したのだが、その努力は無駄だった。
 何度か家族会議をしたが、結局いい案が思いつかず、ただただ、この男の言うとおりにしかできないでいた。

「分かりました。」
「セイラ様。」
「ミラ、少し待っててね。」

 絶対に何とかしてこの状況を変えて見せる。
   セイラはそう決意しながら頭を働かせる。
 ギルドの人たちはあの医者には弱かった、だから、助けを求めれば助けてはくれるけど、きっと、どんな手を使ってもミラを手に入れようとするだろう。
 他のセイラの知り合いの大人たちにしても同じだ、きっと彼よりももっと上の何かを持っていないと勝てない。
 無力な自分にセイラは唇をかむ。

「もっと、私が…大人だったら。」

 もし、大人だったらきっとミラたちを働かせなかったのに。
 どうして、自分は無力なんだろう。
 セイラの綺麗な瞳から一つの雫が零れ落ちる。

「駄目、泣いちゃ、ダメ……。」

 セイラは雫に気づくとすぐにそれを拭った。

「……大丈夫、今までも、これからだって。」

 セイラは深呼吸をして気持ちを切り替える。


 彼女たちの分岐点が変わるまであと少し……。
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