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第三章
《贈り物 4》
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「お帰りなさい、二人とも。」
「ただいま帰りました。」
「ただいまです。」
ひょっこりと少し顔が赤いセイラが双子の元に向かうと、二人はセイラの顔を見て同時に首を傾げる。
「どうしたの?」
「いえ、セイラ様髪形を変えられたのですね。」
「似合っています。」
怪訝な顔をするミラ。
手放しでほめるレラ。
セイラは苦笑して、双子に髪飾りを見せる。
「ええ、カルムから頂いて。」
「……。」
「……。」
カルムの名前を出すと、双子は顔を顰める。
「どうしたの?」
「……あの野郎に出し抜かれた。」
「ズルいです。」
「えっと…。」
不貞腐れる双子にセイラは困惑の表情を浮かべる。
「似合ってない…。」
「似合っています、似合っていますとも。」
「すっごく可愛いですし、綺麗です、でも…。」
「わたしたちが綺麗にしたかった。」
「うん。」
パチクリとセイラは目を大きく見開く。
「褒めてくれるのは嬉しいけど、私にはもったいないわ。」
「そんな事ありません。」
「そうです。」
「…………次は絶対にあの男よりも素敵なものをお贈りします。」
「ミラ…。」
「つけてくださいね。」
「レラ…。」
本当は断ろうとしたセイラだったが、目を輝かせる双子に名前を呼ぶだけで、否定の言葉を言う事が出来なかった。
「で、いつまで、見ているつもりなんですか?」
ミラはジトリと壁の向こうに隠れていたカルムを睨んでいた。
「タイミングを逃しただけだよ。」
ムッとした顔をしたままカルムは姿を見せる。
「どうでしょうね。」
プイッとミラはカルムから顔を背ける。
「もう、喧嘩しないの。」
「喧嘩などしておりません。」
「ああ。」
セイラが少し怒った声音を出すと、二人は一瞬顔を強張らせて否定する。
「もう。」
「セイラ様、セイラ様はどういうのが希望ですか?」
「正直、二人のだったらこういうのがいいと思うのがあるのだけれども、自分の事となると難しいわね。」
セイラは本当に困ったように眉を下げる。
「だったら、三人でお揃いにしませんか?」
パンと手を叩き嬉々とした声を出すレラにセイラは首を傾げる。
「セイラ様とお揃いの品を今まで持ったことがないのでいいと思ったんですけど、駄目ですか?」
「……。」
一人で突っ走りすぎた事に気づいたレラは急にしゅんと肩を落として、上目遣いでセイラを見る。
彼女は自分のその表情がセイラにとっての弱点だと気づいていない。
「分かったわ。」
「いいですか?」
「レラにそんな表情をされて否定の言葉なんて出ないわ。」
眉を下げ笑うセイラにレラは嬉しそうにミラの手を取った。
「ミラ、どんなのがいいかな。」
「レラ、セイラ様が困っているわ。」
「え、あっ、すみません。」
ミラの指摘にレラはハッとなるが、色々とすでに手遅れの事に彼女だけが気づかない。
「カルム、この髪飾りを作ってくれた職人さんを紹介してほしいのだけども、難しいかしら?」
「いや、大丈夫だと思うけど。」
「けど?」
「驚くなよ?」
「驚くような人なの?」
「……まあ、セイラなら大丈夫か。」
カルムはセイラを見て、ひとりで納得するものだから、セイラは色々と心配になる。
「こいつらは…絶対に大丈夫だな。」
「何か失礼なことを考えていませんか?」
「いや、お前らなら人の外見をとやかく言うような奴らじゃないし、泣き出すような奴らでもないからな。」
「……。」
セイラはその言葉を聞いてもしかして職人の人は強面だったりするのかと、内心首を傾げていた。
「都合のいい日を聞いとくな。」
「ええ、よろしくね。」
「……少し時間をいただける?」
珍しくミラはカルムにそう声をかけるものだから、カルムどころかミラまで驚嘆の声を上げる。
因みにセイラも少し目を見張っていたが、幸いにもミラはカルムやミラを怒鳴り、カルムたちは驚きが大きく、セイラの方には気づくことはなかった。
「ただいま帰りました。」
「ただいまです。」
ひょっこりと少し顔が赤いセイラが双子の元に向かうと、二人はセイラの顔を見て同時に首を傾げる。
「どうしたの?」
「いえ、セイラ様髪形を変えられたのですね。」
「似合っています。」
怪訝な顔をするミラ。
手放しでほめるレラ。
セイラは苦笑して、双子に髪飾りを見せる。
「ええ、カルムから頂いて。」
「……。」
「……。」
カルムの名前を出すと、双子は顔を顰める。
「どうしたの?」
「……あの野郎に出し抜かれた。」
「ズルいです。」
「えっと…。」
不貞腐れる双子にセイラは困惑の表情を浮かべる。
「似合ってない…。」
「似合っています、似合っていますとも。」
「すっごく可愛いですし、綺麗です、でも…。」
「わたしたちが綺麗にしたかった。」
「うん。」
パチクリとセイラは目を大きく見開く。
「褒めてくれるのは嬉しいけど、私にはもったいないわ。」
「そんな事ありません。」
「そうです。」
「…………次は絶対にあの男よりも素敵なものをお贈りします。」
「ミラ…。」
「つけてくださいね。」
「レラ…。」
本当は断ろうとしたセイラだったが、目を輝かせる双子に名前を呼ぶだけで、否定の言葉を言う事が出来なかった。
「で、いつまで、見ているつもりなんですか?」
ミラはジトリと壁の向こうに隠れていたカルムを睨んでいた。
「タイミングを逃しただけだよ。」
ムッとした顔をしたままカルムは姿を見せる。
「どうでしょうね。」
プイッとミラはカルムから顔を背ける。
「もう、喧嘩しないの。」
「喧嘩などしておりません。」
「ああ。」
セイラが少し怒った声音を出すと、二人は一瞬顔を強張らせて否定する。
「もう。」
「セイラ様、セイラ様はどういうのが希望ですか?」
「正直、二人のだったらこういうのがいいと思うのがあるのだけれども、自分の事となると難しいわね。」
セイラは本当に困ったように眉を下げる。
「だったら、三人でお揃いにしませんか?」
パンと手を叩き嬉々とした声を出すレラにセイラは首を傾げる。
「セイラ様とお揃いの品を今まで持ったことがないのでいいと思ったんですけど、駄目ですか?」
「……。」
一人で突っ走りすぎた事に気づいたレラは急にしゅんと肩を落として、上目遣いでセイラを見る。
彼女は自分のその表情がセイラにとっての弱点だと気づいていない。
「分かったわ。」
「いいですか?」
「レラにそんな表情をされて否定の言葉なんて出ないわ。」
眉を下げ笑うセイラにレラは嬉しそうにミラの手を取った。
「ミラ、どんなのがいいかな。」
「レラ、セイラ様が困っているわ。」
「え、あっ、すみません。」
ミラの指摘にレラはハッとなるが、色々とすでに手遅れの事に彼女だけが気づかない。
「カルム、この髪飾りを作ってくれた職人さんを紹介してほしいのだけども、難しいかしら?」
「いや、大丈夫だと思うけど。」
「けど?」
「驚くなよ?」
「驚くような人なの?」
「……まあ、セイラなら大丈夫か。」
カルムはセイラを見て、ひとりで納得するものだから、セイラは色々と心配になる。
「こいつらは…絶対に大丈夫だな。」
「何か失礼なことを考えていませんか?」
「いや、お前らなら人の外見をとやかく言うような奴らじゃないし、泣き出すような奴らでもないからな。」
「……。」
セイラはその言葉を聞いてもしかして職人の人は強面だったりするのかと、内心首を傾げていた。
「都合のいい日を聞いとくな。」
「ええ、よろしくね。」
「……少し時間をいただける?」
珍しくミラはカルムにそう声をかけるものだから、カルムどころかミラまで驚嘆の声を上げる。
因みにセイラも少し目を見張っていたが、幸いにもミラはカルムやミラを怒鳴り、カルムたちは驚きが大きく、セイラの方には気づくことはなかった。
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