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第三章
《贈り物 5》
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「何だよ。」
「あの髪飾り幾らしたのですか?」
「……。」
裏庭に呼び出されたカルムは顔を顰めていたが、その言葉を聞いて納得する。
「……。」
「あまりにも高価な物でしたら、セイラ様が気にされるでしょう、でしたら先に手を回しておく必要があると思ったので。」
「確かにそうだな…。」
あの時の場ではカルムはお金の事なんてすっかりと抜けていたが、セイラならば確実に無理をしてでも双子の為に買い与えるだろう。
そうなると全員が何となく居心地悪くなる。
「かといって手を回しすぎたらあいつ疑うだろうな。」
「ええ、必ず。」
「……明日、それも含めて相談しておく。」
「そうしていただけると助かります。」
「絶対にあいつには負担をかけないようにしておく。」
「ええ、こちらも幾らか貯金がありますから先には出せまずが。」
「いや、いい、どうせお前らの事だからあいつの髪飾りより少し小さくても文句は言わないだろう。」
「本音を言いますと腹立たしい事ですが、セイラ様の為ですのでそこは譲歩いたします。」
「……ぶれねぇな。」
「当たり前です。」
「色々と言っておけば多分何とかしてもらえると思うからな。」
「貴方に頼るのはものすごく嫌ですが、よろしくお願いします。」
滅多に頭を下げないミラはカルムに頭を下げる。
「………あいつの為だからな。」
「ええ、セイラ様の為に。」
何とも居心地の悪そうな顔をするカルムはそっぽを向いてそれを見ないようにした。
ミラはカルムの態度に若干腹を立てるが、逆の立場になれば自分も素直にそれを受け入れられない事に気づき、誤魔化すようにセイラの名前を出す。
「それにしても、貴方にしては趣味がいいですね。」
「あっ?何がだ。」
「セイラ様の髪飾りです。」
「ああ、色々苦労したけど、あれは絶対にあいつの良さを引き立たせると思った。」
「まあ、それは否定はしません。」
悔し気にミラは顔を歪める。
「あれは確かにセイラ様の美しさを際立てます。」
「だろう。」
「ですが、負けませんからね。」
「ああ、受けて立つ。」
「二人とも、お昼にするわよ~。」
家の中からセイラの声が響く。
「……。」
「……。」
「二人とも早く来てよ、お腹すいた。」
場の空気を最終的にレラにぶち壊されて、二人は同時にため息を吐く。
「セイラを待たせるわけにはいかないからな。」
「ええ。」
二人は同時に狭い扉に向かい、睨みあう。
「レディーファーストという言葉はご存じありませんの?」
「はっ、俺はセイラの護衛だ、先に行くべきだろう?」
「あら、護衛がセイラ様から離れるだなんてしっかくじゃありませんか?」
「そういうてめぇだって同じだろう。」
「……。」
「……。」
睨む両者は全く譲ろうとしない。
「…………………………………二人ともなにしてるの?」
呆れたような声がして、声のする方を見れば、顔を引きつらせているレラがそこにいた。
「れ、レラ…。」
「……。」
流石に身内に無理やり二人が同時に扉を通ろうとしている姿を見られてしまい、ミラは顔を真っ赤にしている。
「うん、二人の仲が悪いのは知っているけどさ、扉くらい譲ればいいじゃん。」
「そ、それは。」
「本当に二人ってバカだよね。」
「てめぇには言われたくねぇ。」
「はいはい、それじゃ、行くけど、二人もちゃんとどちらかが譲ってから来てよね。」
あきれ顔のレラは二人を見捨ててそのままセイラの元に向かった。
「…譲りなさい。」
「いや、お前が譲れよ。」
「「……。」」
二人の喧嘩はまだやみそうになかった。
「あの髪飾り幾らしたのですか?」
「……。」
裏庭に呼び出されたカルムは顔を顰めていたが、その言葉を聞いて納得する。
「……。」
「あまりにも高価な物でしたら、セイラ様が気にされるでしょう、でしたら先に手を回しておく必要があると思ったので。」
「確かにそうだな…。」
あの時の場ではカルムはお金の事なんてすっかりと抜けていたが、セイラならば確実に無理をしてでも双子の為に買い与えるだろう。
そうなると全員が何となく居心地悪くなる。
「かといって手を回しすぎたらあいつ疑うだろうな。」
「ええ、必ず。」
「……明日、それも含めて相談しておく。」
「そうしていただけると助かります。」
「絶対にあいつには負担をかけないようにしておく。」
「ええ、こちらも幾らか貯金がありますから先には出せまずが。」
「いや、いい、どうせお前らの事だからあいつの髪飾りより少し小さくても文句は言わないだろう。」
「本音を言いますと腹立たしい事ですが、セイラ様の為ですのでそこは譲歩いたします。」
「……ぶれねぇな。」
「当たり前です。」
「色々と言っておけば多分何とかしてもらえると思うからな。」
「貴方に頼るのはものすごく嫌ですが、よろしくお願いします。」
滅多に頭を下げないミラはカルムに頭を下げる。
「………あいつの為だからな。」
「ええ、セイラ様の為に。」
何とも居心地の悪そうな顔をするカルムはそっぽを向いてそれを見ないようにした。
ミラはカルムの態度に若干腹を立てるが、逆の立場になれば自分も素直にそれを受け入れられない事に気づき、誤魔化すようにセイラの名前を出す。
「それにしても、貴方にしては趣味がいいですね。」
「あっ?何がだ。」
「セイラ様の髪飾りです。」
「ああ、色々苦労したけど、あれは絶対にあいつの良さを引き立たせると思った。」
「まあ、それは否定はしません。」
悔し気にミラは顔を歪める。
「あれは確かにセイラ様の美しさを際立てます。」
「だろう。」
「ですが、負けませんからね。」
「ああ、受けて立つ。」
「二人とも、お昼にするわよ~。」
家の中からセイラの声が響く。
「……。」
「……。」
「二人とも早く来てよ、お腹すいた。」
場の空気を最終的にレラにぶち壊されて、二人は同時にため息を吐く。
「セイラを待たせるわけにはいかないからな。」
「ええ。」
二人は同時に狭い扉に向かい、睨みあう。
「レディーファーストという言葉はご存じありませんの?」
「はっ、俺はセイラの護衛だ、先に行くべきだろう?」
「あら、護衛がセイラ様から離れるだなんてしっかくじゃありませんか?」
「そういうてめぇだって同じだろう。」
「……。」
「……。」
睨む両者は全く譲ろうとしない。
「…………………………………二人ともなにしてるの?」
呆れたような声がして、声のする方を見れば、顔を引きつらせているレラがそこにいた。
「れ、レラ…。」
「……。」
流石に身内に無理やり二人が同時に扉を通ろうとしている姿を見られてしまい、ミラは顔を真っ赤にしている。
「うん、二人の仲が悪いのは知っているけどさ、扉くらい譲ればいいじゃん。」
「そ、それは。」
「本当に二人ってバカだよね。」
「てめぇには言われたくねぇ。」
「はいはい、それじゃ、行くけど、二人もちゃんとどちらかが譲ってから来てよね。」
あきれ顔のレラは二人を見捨ててそのままセイラの元に向かった。
「…譲りなさい。」
「いや、お前が譲れよ。」
「「……。」」
二人の喧嘩はまだやみそうになかった。
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