僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

文字の大きさ
12 / 128
第一章

10

しおりを挟む
 あの戦いの後、何が大変だったかというと、僕の怪我の手当てだった。

 いや…。

 まあ、火に素手を突っ込んだわけだからね。

 そりゃ、ね……。

 いや…あの後の林くんの絶句具合。

 先生の呆然とした姿。

「何笑っているのよっ!」
「このくらいの怪我日常茶飯事だから大丈夫だよ?」
「日常茶飯事っていつもなにやっているのよっ!」
「同感だな。」
「先生は黙っててください。」

 うーむ、本当にこのくらい大丈夫なんだけどな。

「あっ、先生、僕の成績ってやっぱダメなんですか?」
「ここで聞く話じゃないでしょう。」
「あー…。」

 ぴしゃりと言う林くんに先生は何故か何とも言えない顔をする。

「いくつか質問してもいいか?」
「はい。」
「お前の自己申告では体術をやっていたと書いてあったが、あの構えどこかで見た事があるのだが思い出せなくてな。」
「金剛師範に教わっていました。」
「こ、金剛さんって、あの金剛さんか?」
「あの、とは少しわかりませんが、警察を辞められ自分の技を伝える為に道場を作られた方です。」
「……道理で、攻撃の一つ一つが重いはずだ。」
「ええ、あの方は技の美しさよりも技の清廉さを求めた方ですから。」
「どう違う訳?」
「今体術の道場ってさ、能力でどう美しく見せ、かつ威力を上げるかを競っている所があるんだ、だけど、金剛師範は能力ではなく技の威力を重視しているんだ。」
「あー。」

 林くんは何故か僕を見て納得をしている。

「確かに、一つ一つの動きに切れがあって凄かったわね。」
「僕はまだまだだよ。」
「そんな事はないと思うわよ。」
「あるよ、師範みたいに瓦を百枚割るなんてできないし、僕はせいぜい五十枚だしね。」
「……。」
「無駄を省くように動くようにしているけど、威力はやっぱり人より劣るし、別の物で補うしかないよな。」

 やっぱり速さを重視するか。

 すごく認めたくはないけど、僕ってどちらかと言えば小柄な分類に入るしね。

 これ以上筋肉をつけて敏捷性を落とすよりも、きっとある程度の筋肉で敏捷性を上げた方が僕のスタイルに合うと思うだよね。

 僕はどうしても極めるには何か足らない部分がある。

 体力。

 筋肉。

 もともとの素質。

 努力でカバーできるものも多いけど、生まれ持っての素質というのはかなり大きい。

 普通の人が百ならば僕は五十しか身に着けることができない。

 それならば他で補うしかない。

 その為にはもっと、考えないと。

「……い…おーい。」
「えっ!」

 目の前に振られている手に僕はハッとなる。

「ようやく戻って来たわね。」
「えっと。」
「ほら、治療完了よ。」
「あ、ありがとう。」
「林、やれるか。」
「やれます。」

 何か覚悟を決めた林くんは真っ直ぐな眼差しで先生を見て、そして、中央に立つ。
 その後の林くんと先生の戦闘は五分で決着がついた。
 林くんは影で分身を作り、攪乱させようとするが、先生は一体ずつ攻撃をしてそして、本体をあっという間に攻撃を仕掛ける。
 林くんは粘ったが、それでも、流石は元プロ、林くんの隙をついて勝利をもぎ取った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

笑って下さい、シンデレラ

椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。 面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。 ツンデレは振り回されるべき。

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。

水鳴諒
BL
 目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。

或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。 自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい! そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。 瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。 圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって…… ̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶ 【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ 番外編、牛歩更新です🙇‍♀️ ※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。 少しですが百合要素があります。 ☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました! 第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!

処理中です...