僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

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「やっぱり強かったわね。」
「そうだね。」

 体操服から着替えて、僕たちは教室に向かう。

「それにしても、空野くんって意外の塊ね。」
「えっ?どういう事?」
「そのままの意味よ。」

 僕は意味が分からずに首を傾げる。

「正直はじめは普通の子だと思ったわ。」
「…平凡だとよく言われるから間違いないと思うよ?」
「……どこが平凡なのかしら?」
「えっ?」
「何というかびっくり箱のようね、貴方って人は。」
「びっくり箱?」

 つまりは何が出てくるか分からない。
 いや、そう言う意味じゃないのか?

「ええ、しかもたちが悪い事に開けるごとに爆弾級の何かが入っているのがすごいわね。」
「……え?」

 物凄い事を言われて言うのは分かっている、分かっているけど。

「僕普通だよ?」
「……どうかしらね?」
「えっ?えっ?えっ?」

 どこか遠い目をする林くんに僕は慌てる。

「いやいやいや、どこからどう見てもモブな僕には過分な言葉だよね。」
「モブだけどチートって事かしら?」
「僕のどこがチートなのっ!」
「あのテストで余裕だったところとか。」
「普通だよ。」
「今回の普通の体力テストだって上位だったじゃない。」
「そりゃ、運動やってたし。」
「部活?」
「ううん、趣味だけど。」
「趣味で何でアスリート並みの成績が出せるのよ。」

 アスリート並み?そうかな、今回は皆能力禁止だから僕にはかなり有利な条件だったからな。

「僕よりもすごい人はいっぱいいるよ。」
「そうじゃなくて…。」

 もう、と溜息を吐く林くんに僕は首を傾げる。

「本当に自己評価が低いというか、卑屈というか。」
「そうかな?」
「そうよ、貴方だって負けてないのだから。」
「でも…。」
「上には上がいるわ、確かに井の中の蛙大海を知らずということわざだってあるけれど、貴方の場合大海を知っている蛙己を知らず、って感じよ。」
「そんなことわざないよね?」
「ないわよ。」

 林くんは溜息を零し、ほんとに呆れたような顔を僕にする。

「何でそこまで低いのかしらね。」
「そんなつもりはないんだけどね。」
「まあ、卑屈だけで終わらず向上心を持って色々している所は素直にすごいと思うけど、一体何を目指しているのよ。」
「大切な人の相棒になるだよ。」

 僕がそう言うと林くんは何故か驚いた顔をしている。

「どうかした?」
「いえ、貴方ってそんな顔もするのね。」
「そんなって、どんな顔?」

 そんな驚かれるほど変な顔をしてしまったか、と微妙にショックになる。

「ああ、変な意味じゃないわよ。」
「うーん?」

 いったいどんな意味なのかと首を傾げると、林くんはくすくすと笑う。

「何というか貴方って普段は小動物みたいなのに、さっきはまるで野性味の帯びた獣って感じだったわ。」
「野性味って。」
「だって、目を爛々と輝かせてまるで獲物を取りにゆかんという感じの顔だったのよ?」
「……。」

 全然想像もできない言葉たちに僕は頬を掻く。

「うーん、林くんの見間違いじゃないかな?」
「ふぅ…。」

 何故か溜息を吐く彼に僕は首を傾げる。

「確かに今の貴方を見ているとさっきのが嘘のように思えるわね。」
「見間違いだからだよね?」
「残念ながらわたしの目は正常よ。」
「……。」
「それにしても、本当に不思議よね。」
「何がかな?」
「貴方ってぱっと見は中の上の見た目をしているし。」
「いや、僕は下の中くらいだよ?」
「何処がよ。」
「他人から言われたけどな。」
「そいつの目は腐っているわ。」
「……。」

 そこまで言い切る林くんに僕は苦笑いを浮かべる。

「その人はギフトを持っていたしね。」
「それだけじゃない。」
「……。」

 林くんの言葉に僕は笑みを浮かべる。

 彼のその言葉は持っている者だけが言える言葉だ。

 何も持たないものからしたら、「それだけ」という言葉で終わる事がないのだ。

 何にだって、優劣が付きまとう。

 容姿。

 体力。

 技能。

 知力。

 そして、能力。

 僕はそのどれも劣っている。

 どうしようもない事実、努力で補えるのならどこまでも補おう、でも、補えない生まれ持っている資質はどうやって手に入れればいいんだろう。

 それは永遠に僕の手元に手に張る事は出来ない。
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