僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

37

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「………。」

 僕は堂々と何もない部屋の真ん中で突っ立っている

 と言っても傍から見ればだけど。

 視線は絶えず動かす。

 そして、その時がやってきた。

 刹那、目の前から激しい炎が僕を飲み込む。

「やったっ!」
「喜ぶのは早いよ。」

 彼からしたら不意を突いて炎で僕を襲ったように見えただろうけど、違った。

 僕は彼が攻撃するタイミングをみえていたから、すぐさま右に避け同時に彼の後ろに回り込んだ。

「何だと――っ。」

 僕は驚き振り返る加賀くんの首に手刀を入れ気絶させる。

 崩れる体を受け止め、その場に寝かす。

 幸いにも彼の意識を奪ったからか、炎は消えており、彼を寝かしていても問題はないだろう。

 そして、僕の意識を別に逸らそうと思ったのか、ある方向から銃弾が放たれるが、僕は方向、速度、角度などを計算して、避ける。

 明らかに向こうは僕が避けるとは思っていなかったのか、驚いているが、その一瞬がもったいない。

 僕ならば引き分けを狙い、すぐに走り出す。

 だけど、彼は経験が浅いのか、考えが浅いのか、動こうとしない。

 僕は音を立てず、だけど、早く走る。

 彼が銃撃の為にその位置に着いた時から最短ルートは絞り込んでいる、だから、僕はそのルートにそって走ればよかった。

 彼が逃げようと思った時にはもう、彼らは詰んでいた。

「チェックメイト。」
「嘘だ、さっきまであそこに……。」

 彼にしたらいきなり僕が現れたように見えたのかもしれない、実際は違うし、よくよく見れば僕は息を切らしているだろう。

 はぁ、情けない、もっと体力をつけないと。

「君たちは最初に僕が放っていた追跡アイテムを壊さないといけなかったね。」
「えっ?」

 僕は手を伸ばせば、宇民くんを見張ってくれていた機械が僕の手のひらに乗る。

 宇民くんはこれを見て愕然としていた。

「それって、バイオレットの新作?」
「さあ?」

 どうやら、彼もバイオレットの信者のようだったが、今はどうでもいい事だ。

「さて、どうする?」
「……降参だ。」

 彼は両手を上げ、投降する。

『「A」VS「B」勝者、「A」』

 スピーカーが埋め込まれた場所から声が聞こえ、僕はもう一個の追跡アイテムを回収する。

 初戦はあっという間に決着がついてしまった。

 ……あっ、ひょうちゃんの活躍がない。

 僕とした事が~~~~~~~~~~~~~~~~っ!

 僕は思わず頭を抱えてその場に膝をつく。

「おい、大丈夫か?」
「うん、ちょっと、色々失敗したと思って。」
「はぁ!?何がだよ、あれだけ圧勝だったのにかっ!」

 ギョッとする宇民くんに僕は頷く。

「うん、最初僕があのように避けたけど、よくよく考えたら、これって、御神くんの所に誘導すればよかったんじゃないかなって。」
「いやいや、絶対やめてくれ。」
「えっ、でも、これって戦闘訓練だし、君たちは一通り攻撃したけど、こっちは僕しか動いてないから、不公平だったなって。」
「被害を考えたらこうでマジ助かったからな。」
「そうかな…。」

 僕としては不満があるけど、宇民くんは僕の考えを想像したのか、顔が真っ青だった。

「つーか、おれらはお前を潰したら、そうそうに降参する気だったんだよ。」
「そうなの?」
「あんな化け物相手に俺らが勝てるはずないし、つーか、あいつ怖くないか?」
「全然だよ。」

 あっけらかんという僕に宇民くんは絶句する。

「お前、見た目に反してすげーんだな。」
「そうかな、見た目通りだと思うけど。」
「いや、絶対違う。」
「うーん、そうかな。」
「そうだぞ。」
『おい、お前ら、さっさとこっちに戻ってこい、反省会をするぞ。』
「あっ、戻らないと。」
「ああ、そうだな、つーか、加賀回収しないとな。」
「うん、そうだね、僕が気絶させたから僕が背負うよ。」
「はぁ?お前小さいのに。」
「……標準より少し小さいだけだよ。」

 失礼な事にじっと見てくる宇民くんに僕は彼の足を踏んずける。

「いって~っ!」

 うん、痛く踏んだからね。

 僕は悶絶している彼を無視して加賀くんを拾いに歩き出した。
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