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第一章

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「……はぁ……はぁ…はぁ。」

 僕は三キロの走り込みを終え、家の前に着くころには六時になっていた。

「やっぱ三時間睡眠はまずかったかな。」

 いつもよりも疲れ具合が増しており、僕は息を整える。

「でも、最近ちゃんと走れていなかったし、走れるときには知らないと。」

 息を整えながらクールダウンして、僕は今日の予定を考える。

 取り敢えず。

 シャワーを浴びて、朝食を食べて…。

 七時から図書館が開いているから、ショートホームルームまでそこにいて。

 放課後は体力が持ちそうならトレーニングルームを借りて、新作の調節をしてもいいかな。

 体力が持たなかったら、家に帰ってアイテムづくりと予習復習ってところで。

 絶対済ませたいのは、予習、復習。

 後、アイテムづくりはあそこまで進めて…。

「紫織、ちゃんと食べなさいっ!」

 びしゃりと母に言われ、僕は苦笑いを浮かべる。

「あはは。」
「もう、いい加減よそ見をしながら食べるのはやめなさい。」
「ごめんなさい。」

 眉を吊り上げる母に僕は身を縮める。

「もう、よそ様でそんなことをしていると思ったら、お母さんは本当心配だわ。」
「気を付けているよ。」
「嘘おっしゃい。」
「……。」

 このままではまずいと思った僕はすぐに朝食を胃に入れる。

「紫織。」
「ごめん、ちょっと調べものがあるから。」

 僕は母の言葉を無視してカバンを持って逃げるように学校に向かった。
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