僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

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 フィールドに足を踏み入れた瞬間、耳鳴りのような酷い音が僕たちに襲い掛かる。

「……っ…。」

 僕は予想以上のそれに顔を顰める。
 一方、ひょうちゃんは平気そうに立っている。

「まさか、歌花さんのこれが効かないとは。」
「……お前は簡単に姿を見せてよかったのか?」
「ええ、下手にビルを倒されたら危険ですもの。」
「そんな事はしない。」
「どうでしょうね?」

 くすくすと笑っている武上さんだけど、その目は笑っていない。

「さて、頼みの綱である彼は膝をついておりますよ?」
「……。」

 武上さんはにっこりと微笑みながら自分の周りに光の槍を作って浮かべる。

「さて、御神さんとこうして相まみえる事となるとは思ってもみませんでしたが、こちらも負ける気はしませんので、よろしくお願いいたしますね。」
「勝手に言っとけ。」

 ひょうちゃんはそう言うと光の槍と同じだけの氷の槍を作る。

「それでは、行きなさい。」

 武上さんは手をひょうちゃんの方にかざし、槍を放つ。
 ひょうちゃんは眉一つ動かさず、そのまま槍を迎え撃つ。
 光の槍はひょうちゃんの放つ氷の槍に当たり霧散する。
 そして、武上さんは光の槍が消える度に補充し、ひょうちゃんも同じように作り潰しい掛かる。
 一見派手に見える戦いだけど、無駄ばかりが目立つ。

 さて、そろそろかな?

 近づく足音に僕は距離を測る。

「まーさか、こんなにも楽に空野が倒せるなんて。」

 睦月さんの属性は風となっているが、どちらかと言えば、音に近いかもしれない。
 音を相手にぶつけ、戦意や意識を奪う。
 ここまでの威力があるのは驚きだけれども、それは彼女だけが特別と言うわけではない。

 だって。

「それじゃ、この縄で。」

 睦月さんが僕に触れようとした瞬間僕は右手で彼女の手を掴み、左手で、機械を構える。
 小さな機械から出は考えられないほどの音の暴力が吐き出される。

「なっ!」

 反射的に音を音でかき消そうとした彼女だったが、むしろ状況を悪化させてしまう。

「何が……。」

 ひょうちゃんと戦っていた武上さんが膝をつき、信じられない顔で表ちゃんを見上げる。

「何故、貴方はこれほどの音でも、立っていられるのですか…。」
「……。」

 ひょうちゃんは冷めた目で武上さんを見ていたが、すぐに僕を見る。

 僕は苦笑をして、音を止める。

 ちょうど、睦月さんも膝をついたところだった。

「信じられない…。」

 まるで化け物を見るように睦月さんは僕とひょうちゃんを見る。

「何で、あたしの音が…。」
「簡単な事だよ。」

 僕は自分の耳からそれを外す。

「耳栓?」

 僕の手のひらにのっているのは確かに耳栓だ。
 だけど、ただの耳栓じゃない。

「そんなんじゃ、音が聞こえなくなるわけ――。」
「聞こえなくなる訳ないって?」
「……。」
「君の音は能力だ、そして、その特殊なコードを打ち消す耳栓だから君のその攻撃は無効化される。」
「そんな事出来る訳が。」
「出来るから、やってのけたんだよ。」
「……。」
「あんた、なにもん?」
「僕はただの学生だよ、君たちと同じ。」

 睦月さんは怪訝な顔で僕を見るが、なぜそこまで疑うのだろう。

「で、どうする?まだ、やる?」
「……。」
「降参します。」
「杏里、いいの?」
「ええ、わたくしの全力をもってしても、御神さんには敵いそうもありませんから。」

 残念そうに微笑む武上さんに僕は何とも言えない気持ちになる。

「空野さんに、おひとつお聞きしてもよろしいですか?」
「何ですか?」
「空野さんは何故サポーターになろうと思ったのですか?」
「僕は支えたい人がいます、その人の為にサポーターになるのが一番理にかなっていると思ったからです。」
「そうですか、その人は果報者ですね。」
「そうだといいんですけど。」

 武上さんの言葉に僕は苦笑するしかなかった。
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