僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

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「おい、空野、放課後、職員室に来い。」
「……。」

 実技が終わった後、僕は扇先生に呼び止められてしまう。

「どうしたの?」
「ううん、何でもないよ。」

 心配そうに見てくる林くんに僕は何とか笑みを浮かべる。

 えっと、何かしたっけ?

 心当たりしかいない。

 どれだ、ひょうちゃんの事?

 それとも、自習室のあれ?

 いや、もしかしたら、あれかも。

 いやいや、やっぱり、あっちかもしれない。

「ねー、本当にどうしたのよ。」
「何でもないよ。」
「そんなにうんうん、唸っているんだから説得力なんて皆無よ。」
「……。」

 林くんの指摘に僕は罰が悪い顔をする。

 確かに何もないって言っているのに、うんうん、唸っているのは明らかに何かありますという事だよね…。

 僕とした事が…。

 ここはひょうちゃんみたいにポーカーフェイスでかわすところだ。

「……そんなキリリとした顔作ろうと頑張っても、空野くんには全く似合わないわよ。」
「……。」

 ショックだ。

「空野くんにカッコいい顔は似合わないわ。」
「……。」
「おい、林、それは言い過ぎだろう。」

 たまたま近くを歩いていた宇民くんが突っ込みを入れる。

「でも。」
「………言いたい事は分かるけどさ。」

 分かってほしくなかった。

「でもな、本人は絶対に気にしている事なんだ、そっとしておくのが一番だ。」
「……あんた、それ、とどめ指しているわよ。」
「へ?」
「あはは…。」
「悪いっ!」

 僕の乾いた笑みを見た瞬間、宇民くんは自分の失言に気づいたようだ。

「つい、本音がっ!」
「ちょっと、あんた、本当に何をしているのよっ!」

 宇民くんの言葉に僕はとうとう耐えきれなくなり膝をつく。

「おい、空野、どうしたんだよ。」
「あんたが致命傷を負わしたんでしょうがっ!」
「いや、チートな空野がそんなはずは。」
「いいから、あんたは黙りなさいよっ!」
「………ははは。」

 僕は遠い目をしながら乾いた笑い声を出す。

 もういいよ。

 というか、君たちは一体僕を見ているんだよ。

 確かに僕はかっこよくない平凡な一般人だよ。

 だけど、それを口に出されるのは流石にきついかな…。

 それに、チートってなにそれ?

 僕は凡人だよ。

 チートとかはひょうちゃんだからね。

 僕はごくごくありふれた学生Aとかがお似合いだよ?

「もー、あんたの所為で、空野くんが壊れたじゃないっ!」
「こっちの所為かっ!」
「そうじゃなければ誰の所為よっ!」
「お前だろうっ!」
「何でそうなるのよっ!」
「やるか、カマ野郎。」
「んだとっ!」

 本気で切れる林くんに僕はハッとする。

「二人とも、急がないとショートホームルームが始まるからね。」
「「……。」」
「空野くんに感謝するのね。」
「そっちこそ、空野のお陰で命拾いしたな。」
「……ほら、二人とも急ぐ。」

 僕は深くため息を零し、二人をせかした。

 それにしても、本当に職員室に呼び出されるほどの事なんて僕したっけな。

 うーん…。

 何事もなければいいんだけど…。
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