僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

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「空野、お前隠す気あんのか?」
「えっ?」

 えっと、どれの事だろう…。

「分からないのか。」
「は、はい。」

 放課後言われた通り僕は職員室に行けば、何故か防音となっている部屋に通された。
 そして、扇先生はどしりと黒いソファに腰掛けた。

「お前のアイテム。」
「アイテムですか?」
「作ったにしたら、あまりにも実践的なものだな?」
「………ごく普通に売られている奴もありますけど?」
「ほお、新卒の月給よりも高いアイテムをごろごろ出しといてか?」
「……。」
「作ったと言い張るのならせめて高校生が作れるような性能に落とさないといけないだろう。」
「……。」
「なあ、正体不明のバイオレットさんよ?」
「なっ!」

 先生の口から洩れたその名前に僕は思わず声を漏らす。

「安心しろよ、ここには監視カメラもないからな。」
「……。」
「んで、お前は隠したいのか、隠したくないのか教えろ。」
「隠したいに決まっているじゃないですか。」
「だったらもっとうまく隠せ。」
「……。」
「お前なら今まで使った武器で統一するとかできただろう。」
「ですが、皆全力で挑んでいるのに。」
「全力でつぶしにかかるのか。」

 先生は額に手を当てて呆れたようにため息を零した。

「……。」
「お前は本当は阿呆なのか?」
「…確かに、御神くんに比べればバカですけど。」
「そうじゃない。」

 ああ、こいつはマジで阿呆だ、阿呆で決まりだ。とそんな事を呟きながら扇先生は前髪を掻き上げる。

「本当に面倒ごとばかりだな。」
「申し訳ございません。」
「はあ、まあ、センコーになる時点である程度は覚悟していたが、今回のガキは大当たり過ぎてマジで泣きそうだ。」
「……。」
「まあ、いい、んで、てめえはどうする、今はまだ物珍しいアイテムにあいつらは目を輝かせているが、そのまま使っていけば確実にばれるぞ。」
「……親戚家にバイオレットがいるという事にします。」
「正体不明だろう。」
「不幸か幸いか、バイオレットを女性として表舞台に出す段取りが取られているので。」
「……。」

 扇先生は何とも言えない顔で僕を見る。

「またあんな怪しげな薬を飲むのか?」
「女装という話です。」
「まあ、表舞台に姿を見せるのなら確かにお前と顔の作りが似ている事に誰かしら気づくだろうが、それはそれで面倒だと思うぞ。」
「……ここまで来てしまったので、これは自分がバイオレットして働くための対価だと思う事にします。」
「そうか。」
「はい。」
「……まあ、こちらもお前がいつかバイオレットだとばれる前提で色々しておくから、だが、だからと言って自粛だけは忘れるなよ。」
「はい。」
「……。」

 僕は先生の目を見てはっきりと頷くが、先生は何故が何とも言えない顔をする。

「何ですか?」
「これからの事を思うと胃がな…。」
「えっと、いい胃薬探しておきましょうか?」
「いや、大丈夫だ。」

 扇先生はゆるゆると首を振った。

「今日の所はここまでにしておく、さっさと帰れ。」
「分かりました、それでは失礼します。」

 僕は大人しく部屋から出て行ったので、知らなかったが、僕が出た後先生はソファに深く腰掛け、頭を抱えていたという。
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