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第一章
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「って、この衣装は何っ!」
「学園祭の撮影の衣装だよ。」
藤井さんたち数名の女子生徒が突然休み時間に押し寄せてきたと思ったら、僕にスカイブルーのひらひらの衣装を見せてきた。
それはまるでアニメの魔法少女とか変身ものの少女たちが着ていそうなそれだった。
「色は何色がいいかすごく迷ったんだよね。」
「そうそう、ピンクとか王道だしね。」
「黄色とかもいいよね。」
「緑もありよね~。」
「赤もいいと思うよ。」
「まあ、色々悩んで空野くんは御神くんのパートナーだし青系にしようって話になったんだよね。」
「……。」
絶句する僕に彼女たちは追い打ちをかけるように次々と衝撃的な言葉を言ってくる。
「大丈夫絶対に空野くんに似合うから。」
「あ、ありがとう……。」
本音を言えば着たくない。
着たくないけど…。
目を輝かせている彼女たちにそんな事を言えない。
「えっと、優子先輩から例の薬貰ってないし、試着はまだ先だよね?」
僕は出来るだけ問題を先延ばしにしたくてそんな事を言った。
だけど、それは間違いだったのかもしれない。
「大丈夫、薬はもらってきたから。」
「へ?」
「取り敢えず百錠ほど貰っているし好きな時に女の子になれるよ。」
「早速、着替えてもらおうか。」
「え、でも、これから実技があるし。」
「大丈夫、今日は空野くんたちのペアは見学だし。」
「平気、平気。」
僕はこれ以上逃げられない事を悟った。
「空き教室も押さえましたし、早速行きましょう。」
「そうだね。」
「さ、さ、さ。」
「………。」
逃げられない。
周りを見れば、クラスメートの女子は何故か面白がってそうな顔をしている。
男子は同情の眼差しを向けるが助けてくれようとはしてくれない。
林くんも困った顔をして、両手を合わせて目で謝っていた。
味方がいない。
その現実に僕は愕然としながらも、これを受け入れるしかないのだと諦めるしかないと冷静な部分では分かっていた。
ずるずると僕は本来ならばか弱いはずの彼女たちに引っ張られながら空き教室に押し込められる。
「それじゃ、空野くん、薬と衣装を渡しとくから着替え終わったら呼んでね。」
「う、うん…。」
僕は彼女たちか必要なものを受け取り、大人しく空き教室に閉じこもる。
「……はぁー。」
どうしたものか…。
「……と言っても、着替えないと駄目か…。」
僕は諦めて薬を口の中に入れる。
薬は即効性だったので、その効果はすぐに表れる。
体の痛みは我慢できる、だけど、それはきっと僕だから耐えられるだろう、きっと慣れない人ならば失神してしまう。
改善が必要だろう。
それにしても……。
「……何で僕が女の子にならないといけないんだ…。」
ふっくらとした胸。
男の時とは違ってくびれている腰。
さまざまなものが自分の知っている自分と異なり本当に嫌になる。
ごねていたとしても事態は進展する訳もないので、僕は渡された服を広げる。
持ち上げた服から何か白いものが落ちたのでそれを拾い上げる。
「何だ………っ!こ、こ、これっ!」
それは女性ものの下着だった。
白い生地に抑えめのレースで清楚な感じなそれだけども、男の僕が履くのは駄目だろう。
よく見れば、上下セットのそれも服の中にあり、僕は困惑する。
一体僕はどうすればいいんだ。
何も考えたくなくて、天井を見上げるが、答えは出ない。
そして、現実逃避をしていると、外からノックされる。
「空野くーん、着方分からない?」
「手伝おうか~?」
「――っ!大丈夫だから。」
高くなった自分の声に思わず喉を押さえる。
「きゃー、可愛い声。」
「悔しいけど、本当にいい声よね。」
「羨ましいわ。」
そんなこと言われても…。
駄々を捏ねたところで彼女たちはすぐにでも乗り込んでくるだろう。
僕は意を決して服に手をかける。
まずは自分の着ていた制服を脱ぐ。
女になった事で全体的にダボついていたが、それでも、胸元が少しきつかった。
色々複雑な感情が蠢く。
それを何とか抑えながら僕はボタンを一つずつ外す。
真っ白な肌が見える。
シミ一つない肌。
もし、これが本当の女性ならばどんなによかったのだろうか。
だけど、自分のだと思うとどうしても、複雑な感情に代わってしまう。
いよいよ女性の服を着ると、複雑だった。
「……。」
鏡がないから似合うかどうかなんか分からない。
気が遠くなりそうだ。
たった一枚の服を着るだけでどうしてこんなにも体力も気力もゴリゴリにすり減るんだろう。
これならば戦闘訓練を十回連続でした方がマシだ。
「空野くん。まだ?」
「いい加減開けるわよ。」
「って、言いながら空けるのはなしですよ。」
「大丈夫よ、わたしたちしかいないし。」
「で、でも…。」
「あら、凄く似合っているわね。」
「可愛いっ!」
「悔しいけど、凄くいい。」
口々に褒められるが、褒められるたびに僕の中の何かが壊れている。
それは多分僕の中の男と言うプライドだろう。
「そっか……。」
「うんうん、そうだ、この場でくるっと回ってくれる?」
「……。」
僕は仕方なくその場でくるっと回る。
「……。」
「……ないわ。」
「せっかく、用意したのに。」
何故か不満たらたらの言葉に僕は首を捻る。
「空野くんって普段、そんな下着付けているんだね。」
「らしいと言えば、らしいね。」
「……………っ!」
彼女たちが一体何を見たのか理解して僕はスカートを押さえそのまま座り込む。
「そうしてると、普通の女の子なのにな~。」
「ですね。」
「本番は嫌でも女物を付けてね。」
「……。」
色々と不服だが、もし、記録媒体に自分の男物の下着が映るのと、女性ものが映るの、一体どっちがマシだろうか…。
「学園祭の撮影の衣装だよ。」
藤井さんたち数名の女子生徒が突然休み時間に押し寄せてきたと思ったら、僕にスカイブルーのひらひらの衣装を見せてきた。
それはまるでアニメの魔法少女とか変身ものの少女たちが着ていそうなそれだった。
「色は何色がいいかすごく迷ったんだよね。」
「そうそう、ピンクとか王道だしね。」
「黄色とかもいいよね。」
「緑もありよね~。」
「赤もいいと思うよ。」
「まあ、色々悩んで空野くんは御神くんのパートナーだし青系にしようって話になったんだよね。」
「……。」
絶句する僕に彼女たちは追い打ちをかけるように次々と衝撃的な言葉を言ってくる。
「大丈夫絶対に空野くんに似合うから。」
「あ、ありがとう……。」
本音を言えば着たくない。
着たくないけど…。
目を輝かせている彼女たちにそんな事を言えない。
「えっと、優子先輩から例の薬貰ってないし、試着はまだ先だよね?」
僕は出来るだけ問題を先延ばしにしたくてそんな事を言った。
だけど、それは間違いだったのかもしれない。
「大丈夫、薬はもらってきたから。」
「へ?」
「取り敢えず百錠ほど貰っているし好きな時に女の子になれるよ。」
「早速、着替えてもらおうか。」
「え、でも、これから実技があるし。」
「大丈夫、今日は空野くんたちのペアは見学だし。」
「平気、平気。」
僕はこれ以上逃げられない事を悟った。
「空き教室も押さえましたし、早速行きましょう。」
「そうだね。」
「さ、さ、さ。」
「………。」
逃げられない。
周りを見れば、クラスメートの女子は何故か面白がってそうな顔をしている。
男子は同情の眼差しを向けるが助けてくれようとはしてくれない。
林くんも困った顔をして、両手を合わせて目で謝っていた。
味方がいない。
その現実に僕は愕然としながらも、これを受け入れるしかないのだと諦めるしかないと冷静な部分では分かっていた。
ずるずると僕は本来ならばか弱いはずの彼女たちに引っ張られながら空き教室に押し込められる。
「それじゃ、空野くん、薬と衣装を渡しとくから着替え終わったら呼んでね。」
「う、うん…。」
僕は彼女たちか必要なものを受け取り、大人しく空き教室に閉じこもる。
「……はぁー。」
どうしたものか…。
「……と言っても、着替えないと駄目か…。」
僕は諦めて薬を口の中に入れる。
薬は即効性だったので、その効果はすぐに表れる。
体の痛みは我慢できる、だけど、それはきっと僕だから耐えられるだろう、きっと慣れない人ならば失神してしまう。
改善が必要だろう。
それにしても……。
「……何で僕が女の子にならないといけないんだ…。」
ふっくらとした胸。
男の時とは違ってくびれている腰。
さまざまなものが自分の知っている自分と異なり本当に嫌になる。
ごねていたとしても事態は進展する訳もないので、僕は渡された服を広げる。
持ち上げた服から何か白いものが落ちたのでそれを拾い上げる。
「何だ………っ!こ、こ、これっ!」
それは女性ものの下着だった。
白い生地に抑えめのレースで清楚な感じなそれだけども、男の僕が履くのは駄目だろう。
よく見れば、上下セットのそれも服の中にあり、僕は困惑する。
一体僕はどうすればいいんだ。
何も考えたくなくて、天井を見上げるが、答えは出ない。
そして、現実逃避をしていると、外からノックされる。
「空野くーん、着方分からない?」
「手伝おうか~?」
「――っ!大丈夫だから。」
高くなった自分の声に思わず喉を押さえる。
「きゃー、可愛い声。」
「悔しいけど、本当にいい声よね。」
「羨ましいわ。」
そんなこと言われても…。
駄々を捏ねたところで彼女たちはすぐにでも乗り込んでくるだろう。
僕は意を決して服に手をかける。
まずは自分の着ていた制服を脱ぐ。
女になった事で全体的にダボついていたが、それでも、胸元が少しきつかった。
色々複雑な感情が蠢く。
それを何とか抑えながら僕はボタンを一つずつ外す。
真っ白な肌が見える。
シミ一つない肌。
もし、これが本当の女性ならばどんなによかったのだろうか。
だけど、自分のだと思うとどうしても、複雑な感情に代わってしまう。
いよいよ女性の服を着ると、複雑だった。
「……。」
鏡がないから似合うかどうかなんか分からない。
気が遠くなりそうだ。
たった一枚の服を着るだけでどうしてこんなにも体力も気力もゴリゴリにすり減るんだろう。
これならば戦闘訓練を十回連続でした方がマシだ。
「空野くん。まだ?」
「いい加減開けるわよ。」
「って、言いながら空けるのはなしですよ。」
「大丈夫よ、わたしたちしかいないし。」
「で、でも…。」
「あら、凄く似合っているわね。」
「可愛いっ!」
「悔しいけど、凄くいい。」
口々に褒められるが、褒められるたびに僕の中の何かが壊れている。
それは多分僕の中の男と言うプライドだろう。
「そっか……。」
「うんうん、そうだ、この場でくるっと回ってくれる?」
「……。」
僕は仕方なくその場でくるっと回る。
「……。」
「……ないわ。」
「せっかく、用意したのに。」
何故か不満たらたらの言葉に僕は首を捻る。
「空野くんって普段、そんな下着付けているんだね。」
「らしいと言えば、らしいね。」
「……………っ!」
彼女たちが一体何を見たのか理解して僕はスカートを押さえそのまま座り込む。
「そうしてると、普通の女の子なのにな~。」
「ですね。」
「本番は嫌でも女物を付けてね。」
「……。」
色々と不服だが、もし、記録媒体に自分の男物の下着が映るのと、女性ものが映るの、一体どっちがマシだろうか…。
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