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第37話 滅多にない案件
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滅多にないことが起きましたぁ!!
「助けて、綺洞さん!!」
その連絡が来た端末を持って、綺洞さんのお店に突撃したんだけど。綺洞さんは手が離せないのか……マーブルの染め液に手を入れたから、顔を上げてはくれたよ。
「那湖ちゃん?」
「滅多にないことが! たちけて!!」
「へ? どうしたの??」
「手、それだけど! ちょっとこれ見て!!」
端末のディスプレイをなるたけ触らないようにして、問題の項目を見せてあげれば。ごーん、ってあごが外れないかってくらいに……口を開けてた。
やっぱり、そんな反応になってしまうよね!!
「ど、ど、どーしよう!? デザインの著作権相続って!!?」
あたしには、遠縁の親戚で。仕事では幹部クラスくらいの上司でもある人。最近連絡取ってなかったけど、珍しくメール寄越してきたかと思えば!!?
『このデザインに関する著作権、あんたに相続するわー』
とか、いきなり突拍子もない言い方で、プレゼントあげるってノリ。
著作権相続って、大昔だと著者が亡くなった場合で手続き頑張るんだけど。混じりの異種婚で長命になるからお金貯まり過ぎて。
早いうちに、身内や部下に託すって言い方で譲渡はするが!? こんなあっさりじゃないはずでしょうに!!?
「ま、マニカさんのデザイン……しかも、ボクたちがよく参考するタイプを??」
「……気にしてはくれてたけど。おばちゃん……せっかくならって」
「……どーぞ。君が受けてください」
「けどけど! ちょっとここ見て?」
ズームでスワイドした箇所には『ひとりじゃ多いから、共同分割でもいいよー』とも書いてあった!!
「……えーと」
綺洞さんは中断していた作業をさっと終わらせて、洗浄液で手を消毒してから見直した。これには、流石に無視出来ないと思ったのだろうね。おばさんと面識あるし。
「……どする?」
契約書をひと通り見てた、綺洞さんに声を掛ければ……軽くため息を吐いてから、何故か新しい個人用の名刺を渡された??
「この著作権相続……分割としていただくけど。共同ブランドとして引き継ぐのはどうだろう?」
真剣に考えてくれたのか、あたしも考えてなかったわけじゃないので。きちんと名刺を受け取ったよ!!
「ブランド名……引き継ぐけど、書体変える??」
「僕らはエスニック調もあるから、間とってローマ字にしようか?」
「いいねいいね! 『HAMON』!! おばちゃんに言ってこよう!!」
だけど、とっつきにくいブランド名に見えるので元々の漢字も加えた新ロゴは自分で考えなさいと指摘をいただきましたぁ!? 相変わらず手厳ちぃ!!
『あたしのブランド、引き継ぐ意味を……あんたたちなら、ちゃんとわかってくれるだろう?』
さっぱりしてるけど、豪胆な性格のおばちゃん……さすがは二百年も続いた『波紋』ってデザインをひとつ受け継いだだけある!!
子孫としても、デザイナーとしても……あたしだって、頑張らなきゃ!!
「助けて、綺洞さん!!」
その連絡が来た端末を持って、綺洞さんのお店に突撃したんだけど。綺洞さんは手が離せないのか……マーブルの染め液に手を入れたから、顔を上げてはくれたよ。
「那湖ちゃん?」
「滅多にないことが! たちけて!!」
「へ? どうしたの??」
「手、それだけど! ちょっとこれ見て!!」
端末のディスプレイをなるたけ触らないようにして、問題の項目を見せてあげれば。ごーん、ってあごが外れないかってくらいに……口を開けてた。
やっぱり、そんな反応になってしまうよね!!
「ど、ど、どーしよう!? デザインの著作権相続って!!?」
あたしには、遠縁の親戚で。仕事では幹部クラスくらいの上司でもある人。最近連絡取ってなかったけど、珍しくメール寄越してきたかと思えば!!?
『このデザインに関する著作権、あんたに相続するわー』
とか、いきなり突拍子もない言い方で、プレゼントあげるってノリ。
著作権相続って、大昔だと著者が亡くなった場合で手続き頑張るんだけど。混じりの異種婚で長命になるからお金貯まり過ぎて。
早いうちに、身内や部下に託すって言い方で譲渡はするが!? こんなあっさりじゃないはずでしょうに!!?
「ま、マニカさんのデザイン……しかも、ボクたちがよく参考するタイプを??」
「……気にしてはくれてたけど。おばちゃん……せっかくならって」
「……どーぞ。君が受けてください」
「けどけど! ちょっとここ見て?」
ズームでスワイドした箇所には『ひとりじゃ多いから、共同分割でもいいよー』とも書いてあった!!
「……えーと」
綺洞さんは中断していた作業をさっと終わらせて、洗浄液で手を消毒してから見直した。これには、流石に無視出来ないと思ったのだろうね。おばさんと面識あるし。
「……どする?」
契約書をひと通り見てた、綺洞さんに声を掛ければ……軽くため息を吐いてから、何故か新しい個人用の名刺を渡された??
「この著作権相続……分割としていただくけど。共同ブランドとして引き継ぐのはどうだろう?」
真剣に考えてくれたのか、あたしも考えてなかったわけじゃないので。きちんと名刺を受け取ったよ!!
「ブランド名……引き継ぐけど、書体変える??」
「僕らはエスニック調もあるから、間とってローマ字にしようか?」
「いいねいいね! 『HAMON』!! おばちゃんに言ってこよう!!」
だけど、とっつきにくいブランド名に見えるので元々の漢字も加えた新ロゴは自分で考えなさいと指摘をいただきましたぁ!? 相変わらず手厳ちぃ!!
『あたしのブランド、引き継ぐ意味を……あんたたちなら、ちゃんとわかってくれるだろう?』
さっぱりしてるけど、豪胆な性格のおばちゃん……さすがは二百年も続いた『波紋』ってデザインをひとつ受け継いだだけある!!
子孫としても、デザイナーとしても……あたしだって、頑張らなきゃ!!
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