【完結】ただただ、ボクらは日常に居るだけ

櫛田こころ

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第50話 友だちの恋人

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 海外の人っぽいが、共通語の方がいいかな?

 あたしは話せないけど、アプリでなら翻訳機能があるんで問題ないはず。すぐに起動してそのスマホを見せれば、『あ』と声を上げて。


「あ、大丈夫。日本語は恋人とかに習ったから」


 習ったにしては、結構うまい。恋人って単語と見た目の雰囲気で……該当するのは、ひとりしかいない!!


「……奏歌ちゃん、の?」
「あ、じゃあ。君が友だちの?」
「那湖です」
「ヒューです。住所は聞いてたけど、部屋番号が消えてたんだよね……」
「……案内しましょうか?」
「ほんと? あ、敬語いーよ」
「あ、ども」


 なんと言うか、『しっかりしてる』ってイメージの強い男性だ。背も高いし、包容力のあるさっぱりした雰囲気。あたしの綺洞さんも包容力高いけど……こっちは、場合によっては甘々な。

 誠に勝手ながら、このあと仕事にしようとしてた『しっとり甘い雰囲気』にちょっと使えそうと……イメージだけ借りましたぁ。

 メッセージとか電話したらしいヒューくんだけど、既読も何もないから困ってたみたい。たしかに、今日は何しているのかこっちも聞いてなかった。

 合鍵はもらってないし、普通に部屋前まで来てインターフォン鳴らしたら。


『ふぁい?』


 どーやら、部屋に戻って来るなり寝落ちしていたらしい。

 どうしようか、とヒューくんに聞こうとしたらまだ繋がってたそれに外国語でぽそぽそと何か呟いていた。

 そして、一分もしないうちに。


 ドン、ガッ!?



 って、大きな音が聞こえるくらいに玄関の音が聞こえ……ソウちゃんが雑だけど、モコモコのルームウェアでのご登場だった。顔は予想以上に真っ赤っか。



『ひ、ヒュー!? なんでそんな台詞をナッチの前で!!?』
『俺らんとこの言葉だからいいだろ?』


 地元のお国言葉で話しているから、全然さっぱりだ。ギリギリ共通語のアメリカ英語はヒヤリング出来ても……他はからっきしなんだよねぇ?

 とりあえず、二人でゆっくりしてもらおうとあたしは退散しようとしたら……ソウちゃんに待ったと言われた。


「…………今、オナノコの日……だから、助けて」
「……ハイハイ」


 何年も付き合っているのなら……とか、恥ずかしいのと症状の重さは関係ないもんね? とりあえず、ヒューくんにも簡単に伝えたら荷物は自分で運ぶからと先に部屋の中へ行ってくれた。


「……超甘くなるから、間イテほしい」
「羨ましいのぉ。デザインのイメージトレーニングに借りていいならー」
「……存分に」
「そんなに」


 日本はちょい控えめだから、オープンにしているお国柄は凄いなあとしか思えない。

 二人でゆっくり中に入れば、ヒューくんはちょっと散らかってたベッドとかを整えていた。
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