【完結】ただただ、ボクらは日常に居るだけ

第51話 救援信号？

　那湖ちゃんから、ちょっと助けてってメッセが来た。

　内容をさらっと確認すれば、奏歌ちゃんの彼氏くんが来訪したのはいいものの……ちょっと甘みが強くて、板挟みが耐えられないんだって。

　どんな雰囲気なのか、ちょっと気になったし。恋人の頼みは叶えれる範囲で聞いてあげたいから、もちろん承諾の返事はした。仕事も急ぎはないし、下の古着屋は不定期営業でもいいしね？　もともと、ネット通販が多いのと風通しメインで置いてる在庫だからだ。

　せっかく、噂の彼氏くんとのご対面なら……と、コンビニで限定スイーツも買ってきて。


「……ちゃんとお邪魔するの、初めてかも？」


　那湖ちゃんの部屋にも、そんなに来てないような……あとで、お邪魔しようかな？　そんな楽しみを抱えて、インターフォンを鳴らせば。


「あ、ども。ヒューです」
「綺洞です。……日本語、上手いね？」


　出てきたのは、いきなり奏歌ちゃんの彼氏くんだったけど……なかなかの美青年。普段はスープ屋さんとは聞いてても、下手すると陸音さんより繁盛してそうなお店持ってそう。


「ソウカとか、彼女の親から習ってたんで。あと、その話し相手してたら……共通語はもともと日常会話にも使えるんで、トライリンガルくらいに楽です」
「敬語いーよ？　ボクの方が歳上かもだけど」
「そうなの？　んじゃ、遠慮なく」


　爽やか、かつサッパリした性格。これはモテモテだろうなあ……奏歌ちゃんが一途に想い続けているのも、納得の彼氏くんだ。で、ボクの彼女ちゃんは……奥で、その奏歌ちゃんにハグされてた。ヒューくんとの板挟みはまだ続いているみたい？


「あ、綺洞さぁん」
「色々買ってきたけど、奏歌ちゃん大丈夫？」
「……例の日」
「……あーね？」


　つまりは、女性の日。ボクも女の姉妹はいるし、長く生きているもんで知識的にはちゃんと知っているからね？　那湖ちゃんのも、今までなんとなくで対応してきた。ズッ友とは言え、普通言うか？とか陸音さんには言われたけど……たしかに、付き合ってないのに言うかな？

　でも、今は大丈夫だし……いいよね？


「俺は退散出来ないし、で。キドーさん呼んでもらったんだよ」


　提案は、逆にヒューくんからか。うーん、さらに好感度UPな発言がいいね。とりあえず、美男美女カップルがここにあるのも目の保養だ。最高に可愛いのは、ボクの那湖ちゃんだけど。


「とりあえず、カフェインは控えて……ハーブティーとかであっためようか？」
「ソウカ、キッチン借りていい？　ミントとかカモミールはお前常備してんだろ？」
「……ウン」


　北欧だと、フィーカって文化があるくらい浅煎りコーヒーが多いけど。同じくらい、ハーブも使うから常備しているんだね？　那湖ちゃんのはあとで聞こうっと。