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第19話 出店本番でも
しおりを挟む「なーんで、最近起こってないと思ったら!?」
「油断大敵ぃ~。助けてぇ」
「はいはい、動かない!」
今日はお祭り本番だというのに……久しぶりに綺洞さんが電柱に絡んだぁ!? 今日に限ってほどくの大変な絡み方。途中からジグソーパズル感覚で頑張ったあたしを誰か褒めてぇ。
「いやぁ。朝の陽気あとが気持ちよかったまではいいんだけど……つい、ふわぁっと」
「本性に戻っちゃったんだね、おばかさん! うちが食べ物屋さんじゃなくてよかったぁ……。陸音さんとこはアイスだし、仕込み終わってるらしいけどー」
「ごめんごめん。一個、好きな屋台のご飯奢るから」
「乗った!」
さてさて、今日のあたしの格好は……ソウちゃんがこの間着てた浴衣をレンタルしたのだよ!! カッコ可愛いから気になってたのが借りれるだなんて!! 半分は、この間酔っ払ってしまったことへのお詫びらしいけど……気にしなくていいのにな?
汚してもクリーニング代は気にしなくていいっていうのは、稼ぎ方の違いですな! 末恐ろしや、準トップアーティスト!!
「持ち場ついたかー?」
陸音さんは準備万端なのか、今日のためにレンタルした業務用冷凍庫をひょいと担いでいたんだぁ。あたしもだけど、純粋な種族って少ないから混じった種族に力持ちさんは多い。
綺洞さんは妖怪多めだけど、陸音さんは神様メインだからね。さすがはさすが。
「綺洞さんが絡まった以外は~。お互いフォローし合うって感じ?」
「んだな。どっちも、初出店内容だしよ」
「年々暑いから、アイスのほうが欲しがりそう」
「そーかもな。練習は何回かはしたが、やってみんとわからんし」
「がんばろー」
「おー」
「ほどほどにな」
って感じだったんだけど!! 体験型の横に冷たいアイス屋さんがあるってのがちょっと大変な自体になりました!?
「ピンクと黄色~」
「終わったら、横のアイス屋さん行こうかー?」
「しゃりしゃりおいしー!」
「きれいー!」
子どもたちが特に多く。体験が終わったら、乾かしている間にアイスへGOとか……かき氷よりも下手に人気出ちゃって、途中であたしが販売メインになって陸音さんがストック全部持ってきても売り切れ早かったぁ!?
おそるべし、夏の祭りマジック??
「やべーな。来年も似た組み合わせの噂出たら、客減るぞ」
「うちの売り上げもぼちぼちだしぃ、こっちは今度Tシャツ入れるよぉ。これなら、アイス多めに作っても元取れるし」
「んだな」
とはいえ、普段からお店の経営している人からしたら大丈夫な範囲だった。ちゃんちゃんで終わってよかったぁ。
お店は、だけど……。
「お祭り回れなかったぁ……」
そう、忙しくて露店周りが全然出来ず!! せっかく浴衣着てても涼しい以外の楽しみがなかったのぉ!? この間、ソウちゃんと擬似的に食べたけど……本番でこれはひどい!!
「……片付けやっとくし。金は渡す。俺らの分も色々買ってくんなら行ってこい!」
「え、いいの!?」
「ボクもお腹空いたしねぇ……」
「突撃してくる!!」
陸音さんの計らいで軍資金を手にしたけど……結局は気遣ってくれた商店街のみんなが取り置きを買わせてくれたのだったぁ。冷たいかき氷だけは、出来立て食べれたよ!!
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