【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第29話 失敗しやすい理由

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 パンを冷ましている間に……次はコロッケ作り!

 美濃みのさんに、どんなコロッケだったのか……もう一回言うと、あたしと手をパンパン叩いて……色んな材料を出してくれたわ!

 駿しゅんもびっくり!!


「すごーい!」

『ほほほ。だいたいこんなところか?』


 たくさん出した材料だけど……いらないのは、美濃さんが手でポンっとさわったら消えたわ。


「使わないの?」

『選んでおるだけじゃ。すべてを使うと大変じゃからのぉ?』

「「たいへん??」」

『美味くないものが出来上がる』

「「……いやー」」


 おいしくないものは、いやだわ。

 あたしと駿はこくこくと首を縦に振った。


『そちらはまだないかもしれぬが……美味いものを色々混ぜたら、さらに美味くなると思ったことはないか?』


 美濃さんが言うのに、あたしはううんって横に首を振ったけど……駿は違ったわ。


「……………………ごめんなさい」


 何故か、美濃さんにごめんなさいしたの。


『……やってしもうたのかえ?』

「……とーさんのタレで」

「おじさんの?」

「おいしいと思って……つぎたしのタレを、いろいろ」

『……それは、加減を間違えたのか?』

「……………………はい」


 そう言えば、おじさんがしばらくおこってた時があったけど……駿のせいだったのね? 今はだいじょうぶなのかな?


『ふむ。継ぎ足しは特に加減が難しいゆえの。美味いとも思うが……自分の考えで、不必要に手を加えてはならん』

「「はーい」」


 おいしいご飯やお菓子を作るのには、ちゃんと決まりごとも守らなきゃなのね? 気をつけます!


『じゃからの? 今回、桜乃さくのが希望しておるコロッケも……ちと難しい。何をか……わかるか?』

「……なにを?」

「えー?」


 あたしは昨日おばあちゃんを手伝ったけど……むずかしい何か?

 気をつけてって、おばあちゃんに言われたのを……がんばって思い出してみたんだけど、ちょっとだけ思い出せたわ。
 
 あっ! って声を出して手をたたいたくらい!!

 美濃さんはわかってくれたのか、うんと首を縦に振ってくれた!


『わかったかえ?』

「とーもろこしとマヨネーズを入れ過ぎない!」

「……そうなの?」

『正解じゃ、桜乃』


 美濃さんがぱちぱち手をたたいてくれたから、あたしもうれしかったわ!

 ダメな理由も思い出したの!!


「タネがべちゃべちゃになるから!」

『そうじゃそうじゃ。揚げにくくもなるし、揚げても崩れてしまう』

「……そうなんだ?」

『駿は揚げものは好きかえ?』

「! 好きです!」

『今度、母御の料理を見りゃれ』

「はい」


 あたしも、もっとおばあちゃんやおかあさんのお料理作るとこ見なくちゃ!

 パンはおとうさんだけど……サンドイッチとかはおかあさんが得意なんだもん!
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