【完結】パンでパンでポン!!〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

櫛田こころ

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第55話 お土産を学校に

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 で、次の日から学校だったから……駿しゅんはおんなじクラスじゃいけど、登校は一緒に行ってバイバイしてから。

 あたしは、教室に行くと本を読んでたなっちゃんがいたからすぐにうれしくなった!!


「なっちゃん、おはよう!」

「あ。桜乃さくのちゃん、おはよう」


 あたしがあいさつすれば、なっちゃんも笑顔になってくれたわ。

 なんの本を読んでたかはわからないけど……今なら、なっちゃんだけだし。渡してもいいよね? って、持ってきた袋をはいって前に出した。

 なっちゃんは不思議そうにしてたけど、ちゃんと理由も話すわ。


「おすそ分け! パンのだけど」

「桜乃ちゃんのお家の!? いいの!!」

「うん。なっちゃんに食べてほしくって」


 駿やみおちゃんと一緒に作ったカレーパン。

 辛くないから、なっちゃんでも食べれると思って。なっちゃんも、たしかカレーが好きって言ってたし。

 袋を開けると、なっちゃんは『わぁ!』って言ってくれた。


「えっと……パン? だよね?」

「カレーパンだよ!」


 あたしがなんのパンか教えると、なっちゃんは青いお目目をキラキラしたの!


「カレーパン!! 大好き!! ほんとうにいいの?!」

「うん! いいよ!!」


 あたしとかが作ったのは言えないけど。

 おじいちゃんが思い出したように、なっちゃんのお料理への不器用さはすんごいから。

 いい子なんだけど……あたしも忘れかけてた、レンジがボンの時はもうやって欲しくないもん。

 なっちゃんは食べたそうにしてたけど、すぐに自分のロッカーに持ってっちゃった。


「帰ってから、お母さん達と食べるね?」

「うん」


 もうちょっとしたら、クラスの誰かが来るだろうし……カレーはみんな大好きだから、なっちゃんだけじゃなくてあたしまで質問だらけになっちゃう。

 それは……大変どころじゃないわ。美濃みのさんのことは、おじいちゃんとあたしたち幼なじみの秘密だから。

 だけど……皆が来て、じゅぎょーとかが始まったりして。

 間のきゅーけの時とかに、誰かがなっちゃんのロッカーの前を通ったら。


「……おいしそうなにおい?」

「なんかにおわない?」

「カレー?」

「パン?」

「だれかもってきた??」


 って、男子をメインにわいわい言うから。

 次は、お家になっちゃんを呼んで渡そうと決めたわ。


『ごめんね、なっちゃん』

『ううん、いいよ。桜乃ちゃんとこのパンおいしいんだもん』


 おとなみたいに言うなっちゃん、かっこいい!

 あたしとは全然違う!!

 澪ちゃんもおとなだけど……澪ちゃんは澪ちゃんで元気いっぱい。

 なっちゃんは……おしとやか? って言うのかな? なんか違うのよね!

 とにかく、学校にパンを持ってくるのは……みんなのめいわくになるからやめよう。

 とくに、カレーパンのようにいい匂いのするパンは。

 帰ってから、おじいちゃんに今日のことを離すと『ガハハ』って笑われちゃったわ。


「そりゃ仕方ねぇさ。カレーパンは、油とカレーのいい匂いがすぐするパンだからなあ? こっちになら伊澤いざわの嬢ちゃんは呼んであげな?」

「……はーい」


 おじいちゃんが昨日袋に入れている時、止めなかったのは学校のことがわかってたからね?

 あたしも、ちょっとべんきょーになりました。
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