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第81話 複雑な身内の心境
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仲睦まじいには程遠いが、祖父さんとしてはいくらか複雑な気分となっていた。
孫娘は絶対気づいていないだろうが、幼馴染みである坊主は自分をただの女友達には見ていないと言うことに。そして、その駿に勇気づけてまで、桜乃にパンをプレゼントしたのは、あいつの意思だけじゃない。
『美濃さんに、助けられちゃったねぇ?』
俺もだが、樹さんも気づいとった。美濃が蔵の中から……今風に言えば、通信魔法かなんかで祭りを覗いていて、駿になんかアドバイスしてやったんだろう。それくらいは簡単に予想が出来る。運動は出来るが、ちょいと臆病なところがある駿に、いきなり桜乃へプレゼントを渡すだなんて姿勢、今までなかったからなあ? 俊坊からのおつかいはともかくとして。
【……おい。美濃。この声聴こえてんだろ?】
内側でテレパシーみたいなのを、ガキ以来久しぶりにやってみたが、思ったより早く頭の中に女の声が響いてきた。
【ほほほ。気づいておったか?】
【俺もだが、樹さんもだな。……留守番しとくだけだったんじゃないのか?】
【ほほ。たまたまじゃよ。式神に見回りをさせておったが、駿が一生懸命じゃったからのお? 健気なものじゃ】
【……まあ、な】
まだガキンチョだが、いっぱしに初恋とは思わないでいたが。まさか、うちの孫娘がその相手だとは予想外だった。てっきり、懐き具合から豆腐屋の澪ちゃんだと思ったが……振り回され具合と懐の大きさは桜乃も負けてはいない。そこに、幼心でも惚れたんだろうなあ? ガキと侮っちゃいかんかった。
今も、桜乃に手を繋がれて、スピーカーから流れる曲に合わせて間違えないように一緒に盆踊りを楽しんでいた。
お互い笑顔で、実に将来が楽しみな組み合わせに見えなくないが……うちの涼太もだろうが、男の身内としちゃ、ガキのうちに相手が決まるかもしれないのは複雑だった。まだたったの八つだぞ? 俺は昭和の生まれだったから、ばあさんと結婚するのは早かった……とかは野暮なことだろうなあ?
俺が黙ってても、頭の中に聞こえてくる元相棒の笑い声は楽しげだった。
【良いことじゃ。あちきも、駿であれば任せてよいと思う】
【……となると、夫婦で別々の店継ぐのか?】
【おかしくはなかろう? その子らの未来までは、あちきも読めぬが】
【気ぃ早い。俺生きてっか?】
【ほほほ】
樹さんほど歳は食ってないが、ひ孫がどれだけデカくなるまで生きているかだなんて。
美濃と桜乃がどれだけ絆を深めているかも……その時になってみないと分からなくとも。俺はきっと、この目で見ることは出来ないだろう。悔しくもあるが、次世代への道は……ちょっとずつ進んでいるんだ。
桜乃が、美濃を復活させたことによって。
俺がだんまりしていると、美濃もしばらく話しかけてこなかった。俺の考えを読んだかもしれないが、ちょうど桜乃らが戻ってきたので、行くかと手招きして合図してやった。
孫娘は絶対気づいていないだろうが、幼馴染みである坊主は自分をただの女友達には見ていないと言うことに。そして、その駿に勇気づけてまで、桜乃にパンをプレゼントしたのは、あいつの意思だけじゃない。
『美濃さんに、助けられちゃったねぇ?』
俺もだが、樹さんも気づいとった。美濃が蔵の中から……今風に言えば、通信魔法かなんかで祭りを覗いていて、駿になんかアドバイスしてやったんだろう。それくらいは簡単に予想が出来る。運動は出来るが、ちょいと臆病なところがある駿に、いきなり桜乃へプレゼントを渡すだなんて姿勢、今までなかったからなあ? 俊坊からのおつかいはともかくとして。
【……おい。美濃。この声聴こえてんだろ?】
内側でテレパシーみたいなのを、ガキ以来久しぶりにやってみたが、思ったより早く頭の中に女の声が響いてきた。
【ほほほ。気づいておったか?】
【俺もだが、樹さんもだな。……留守番しとくだけだったんじゃないのか?】
【ほほ。たまたまじゃよ。式神に見回りをさせておったが、駿が一生懸命じゃったからのお? 健気なものじゃ】
【……まあ、な】
まだガキンチョだが、いっぱしに初恋とは思わないでいたが。まさか、うちの孫娘がその相手だとは予想外だった。てっきり、懐き具合から豆腐屋の澪ちゃんだと思ったが……振り回され具合と懐の大きさは桜乃も負けてはいない。そこに、幼心でも惚れたんだろうなあ? ガキと侮っちゃいかんかった。
今も、桜乃に手を繋がれて、スピーカーから流れる曲に合わせて間違えないように一緒に盆踊りを楽しんでいた。
お互い笑顔で、実に将来が楽しみな組み合わせに見えなくないが……うちの涼太もだろうが、男の身内としちゃ、ガキのうちに相手が決まるかもしれないのは複雑だった。まだたったの八つだぞ? 俺は昭和の生まれだったから、ばあさんと結婚するのは早かった……とかは野暮なことだろうなあ?
俺が黙ってても、頭の中に聞こえてくる元相棒の笑い声は楽しげだった。
【良いことじゃ。あちきも、駿であれば任せてよいと思う】
【……となると、夫婦で別々の店継ぐのか?】
【おかしくはなかろう? その子らの未来までは、あちきも読めぬが】
【気ぃ早い。俺生きてっか?】
【ほほほ】
樹さんほど歳は食ってないが、ひ孫がどれだけデカくなるまで生きているかだなんて。
美濃と桜乃がどれだけ絆を深めているかも……その時になってみないと分からなくとも。俺はきっと、この目で見ることは出来ないだろう。悔しくもあるが、次世代への道は……ちょっとずつ進んでいるんだ。
桜乃が、美濃を復活させたことによって。
俺がだんまりしていると、美濃もしばらく話しかけてこなかった。俺の考えを読んだかもしれないが、ちょうど桜乃らが戻ってきたので、行くかと手招きして合図してやった。
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