【完結】パンでパンでポン！！〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

第124話 おべんきょー編③

　最後は、スーパーのパン屋さんだった。

　スーパーの入り口の近くで、普通のパン屋さんのようになっているところ。

　おとうさんについて行って、どんなパンか見に行ったけど……普通のパン屋さん。ほんとうに普通の。

　色んなパンがあるけど……あたしはあんまりほしいと思わない？

　なんでだろう？


『……桜乃さくの、ほしくないのか？』


　おとうさんにちっちゃな声で聞かれたから、あたしはうんって首を動かした。だって……なんだかおいしそうに見えないんだもん。

　けど、今日来たのはおべんきょーだから。何個かえらんで、おとうさんが買ってくれた。車にもどったら、おとうさんになんでかなでなでされちゃった？


「おとうさん？」

「あそこな？　あんまりパンの評判が良くないところなんだよ」

「え？」

「コンビニのパンよりも美味しくない。とりあえず安い材料で作るとこで有名なんだ。味も材料の結果が丸わかり。……ひと口でいいから食べてみな？」


　っておとうさんがいうから、カレーパンだけ食べてみたんだけど……全然飲み込めない！？　ガムとか食べているようで、もぐもぐできない！！　おとうさんにペットボトルのお水をもらったから飲み込めたけど……どうしてこんなパンが今もあるの？？


「……なんで、スーパーにあるの？」


　こんなおいしくないパン……もう一回買おうとは思えないわ。


「まあ、そうだな。難しく言えば、パン屋さんの会社がきちんと成立しているからと聞いたことがある。ただ、その評判は結構広まっているから……そろそろ閉店するんじゃないか？　改善しようとしないし、客足も離れているから」

「……お店、なくなっちゃうの？」

「ダメな店はパン屋に限らない。桜乃もわからなくても覚えておいてほしい。ずっとを守るだけじゃ……店は続けられないんだ。今の時代っていうのは」

「……うん」


　ずっとじゃダメ。

　けど、あたしはずっとがいい。

　美濃みのさんとずっといっしょにパンを作っていきたい。

　だけど……おとなのじじょーはそれだけじゃダメ。

　今日少しだけど……あたしもおべんきょーしたから、わかったわ。

　子どものあたしでも、わかるおべんきょー。

　パン屋さんを続けるのは、学校以外にもたくさんおべんきょーしなくちゃいけないんだ。

　大きくなったらせんもん学校に行けるように……もっとおべんきょーしよう！

　帰ったら、美濃さんやおじいちゃんとまたお話するんだ！！