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第17話 伝承の誤認
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「この『玉』の中に、ほんの少しだけエルディーヌ姫の魔力を吸わせてみようと思うのです」
ジェイク様へのお仕置きはナーディア様にしっかりしていただいたあと。シスファ様が本題の『対策』に必要なものを私に渡してくれました。『ギョク』というのは、植物の種より少し大きい粒のよう。つるつるしていて、色はオレンジのようだった。
「……これひとつ、でいいんですか?」
「まず、試験的に。神殿の泉の方は完了したので、ルリルア湖畔などの少し遠方などで行う予定です」
「……今、流してみても?」
「……ご無理、していませんか?」
「大丈夫です」
ほんの少し。
ほんの一滴。
それをイメージしつつ、顔にまだ移動したままの痣の前で魔力を流してみれば……たぷんと、身体が揺れる感覚があった。そこで『止まれ』を意識すれば、気を失うこともなかったが。
「……玉が光っていますね?」
そう、手に握ったままなのに玉が少し強く光っていた。手をひらいてみれば、オレンジではなく血のように真っ赤に染まっていたのだ。持っていていいかわからないでいると、シスファ様ではなくジェイク様がさっと指でつまんでいく。
「……うん。俺でもわかるくらいに、レティの魔力を受け入れているね?」
「触って……大丈夫ですか?」
「ん? 大丈夫大丈夫。一応素手ではないし」
「いえ、そうではなく」
呪詛に与えるという『食事』に等しい魔力であるのなら。とても悪いものでしかないと思っていたのだが。ジェイク様はひと通り眺めてからシスファ様に手渡した。シスファ様も手袋はつけていらっしゃるけれど……気持ち悪いようなものに見てはいなかった。大丈夫なのか心配だ。
「エルディーヌ姫、少し伺いたいのですが。『箱庭』の生活前に、あの豚王らから『言い聞かせれて』いたことはありましたよね? うろ覚えでもいいので、教えていただけませんか?」
「……父らから?」
「魔力脈の瘤ですが……本来、それは『無い』ものだったのです。脈は水と同じく地中に流れて世界全土に循環する魔力そのもの。なのに、ラジール王国の『箱庭』を中心にここ数年で一気に瘤が生じて肥大していたのです」
「一個だけ壊したけど、あれやばいね! あたしでもびびった」
「と、豪胆な性格のナーディアがいうほどの事態があったのですが。我々の聞く伝承と姫のとで違いは多いはずです。姫、あの豚王には『箱庭』にいるだけでいいと言われていたのでしょうか?」
「……あ、はい。精霊へ魔力を捧げるための、姫と」
はっきりと皆様は言わなかったが、物凄く怖い呪いのような『何か』を瘤で見たかもしれない。勝気な性格のナーディア様が少し怖いというくらいだから、返り討ちになりかけたような呪いでも発動したのだろうか。
私の受けてきた教育なんて、ほんの少しの養育以外は家畜の世話くらい。このお城に来るまで、知らない教育の方が多かったくらい何も与えられてなかった。与えてもらったのは、あの『箱庭』だけ。あそこはもう……帝国の侵攻によって壊されているのなら、それでいい。あんな場所、もう残す必要なんてないんだから。
とは思ったものの、瘤のためにはよろしくないことくらいは流石に理解できたが。贄姫を継承するにあたって言い聞かされてきたことは『生け贄』以外に『精霊への供物』程度しかない。こちらに来てジェイク様たちに『呪詛』の話を聞くまで、自分が悪いことに加担していたのも知らなかったくらいだ。
「……贄姫の代償。そして、魔力脈の途中にいくつか出来た瘤。そして、消滅方法は野蛮ですが姫の魔力を直接注ぎ込むかどうか。……初潮をあえて『止めて』いたのも、呪詛自体たとしたら……いえ、これ以上の憶測は」
「シスファ様。話してくれませんか?」
「「レティ?」」
「……姫。想像以上に怖い思いをしても?」
「痣のことで、既に怖いですから」
シスファ様が近くにいることで、今どこに移動しているかわからない呪詛の痣。それだけでも、私の身体に大きく影響を与えているのなら……消すために必要なことはなんだって知りたい。保護以上に、これから生きていくためにも。
「……わかりました。単刀直入に申し上げます。エルディーヌ姫の魔力は呪詛にとって相応な『糧』となり、瘤の中にある『悪魔の卵』への栄養源にさせられていました。歴代の贄姫たちよりも、姫の魔力が段違いにおいしいのか……神殿にあった瘤の中の卵は、ほとんど孵りそうになっていたのです」
「……あく、ま?」
「伝説上ではなく、本物でした。ラジールの豚王もおそらく知らなかったでしょうね。国の繁栄どころか世界の滅亡に加担していて、娘の魔力を『箱庭』から流していたことに」
「……それで、その玉を?」
「……ひとつで可能であれば、待機している破邪の家の者に託します」
「! 皆さん、死なないですか!?」
私の魔力が、悪いことに繋がるばかりだったのに。それを解決できる方向にちゃんと出来るのかがわからなくて怖かった。シスファ様は真剣な表情を緩めないでいる。それは、実際にやってみないとわからないということ。
おでかけとか、私のためとか。そんな事態ではないのはわかっても……心配だった。私なんかのために、ほかの人たちが死んでしまわないかということが。
「レティ。全部は保証出来ないのは俺たちも同じだ。ラジール王国がきっかけで、ほかの国々にも影響が出ているのは前からあったことなんだよ。だから、今度は逆に……ラジールの元王女である、君に力を貸してほしい。我が国の大きな火種はきちんと終わらせれたんだ。皇帝はとても喜んでくださったんだよ?」
「……え?」
焦った私に、ゆっくりと語ってくださったジェイク様の言葉にびっくりしたが。そのあとにシスファ様たちを見ると、同じように口を緩めていた。
「少し驚かせてしまいましたが、ご安心をと言えないのは私たちも同じです。しかし、姫の魔力はこれまで毒でしたが、薬にもなることがわかったのです。……ご協力お願いできますか?」
「あたしからも頼むよ、レティ」
「俺からも、改めて」
騎士の礼儀でひざまずく皆様。
元王女でも、価値のない私の前で、そんな大層な……と前なら、思っていたかもしれない。
だけど今は。逆に役に立てれるならと、座っていたが出来るだけ腰を折った。
「お受けします。皆様だけでなく、国内外のためにも」
贄姫としての役割を逆に利用なんて、いくらでも手を伸ばしてでも助けたかったからだ。そのため、作った玉を持ってルリルア湖畔へ向かうのことは『おでかけ』として再度秘密裏に動くことも決定した。
ジェイク様へのお仕置きはナーディア様にしっかりしていただいたあと。シスファ様が本題の『対策』に必要なものを私に渡してくれました。『ギョク』というのは、植物の種より少し大きい粒のよう。つるつるしていて、色はオレンジのようだった。
「……これひとつ、でいいんですか?」
「まず、試験的に。神殿の泉の方は完了したので、ルリルア湖畔などの少し遠方などで行う予定です」
「……今、流してみても?」
「……ご無理、していませんか?」
「大丈夫です」
ほんの少し。
ほんの一滴。
それをイメージしつつ、顔にまだ移動したままの痣の前で魔力を流してみれば……たぷんと、身体が揺れる感覚があった。そこで『止まれ』を意識すれば、気を失うこともなかったが。
「……玉が光っていますね?」
そう、手に握ったままなのに玉が少し強く光っていた。手をひらいてみれば、オレンジではなく血のように真っ赤に染まっていたのだ。持っていていいかわからないでいると、シスファ様ではなくジェイク様がさっと指でつまんでいく。
「……うん。俺でもわかるくらいに、レティの魔力を受け入れているね?」
「触って……大丈夫ですか?」
「ん? 大丈夫大丈夫。一応素手ではないし」
「いえ、そうではなく」
呪詛に与えるという『食事』に等しい魔力であるのなら。とても悪いものでしかないと思っていたのだが。ジェイク様はひと通り眺めてからシスファ様に手渡した。シスファ様も手袋はつけていらっしゃるけれど……気持ち悪いようなものに見てはいなかった。大丈夫なのか心配だ。
「エルディーヌ姫、少し伺いたいのですが。『箱庭』の生活前に、あの豚王らから『言い聞かせれて』いたことはありましたよね? うろ覚えでもいいので、教えていただけませんか?」
「……父らから?」
「魔力脈の瘤ですが……本来、それは『無い』ものだったのです。脈は水と同じく地中に流れて世界全土に循環する魔力そのもの。なのに、ラジール王国の『箱庭』を中心にここ数年で一気に瘤が生じて肥大していたのです」
「一個だけ壊したけど、あれやばいね! あたしでもびびった」
「と、豪胆な性格のナーディアがいうほどの事態があったのですが。我々の聞く伝承と姫のとで違いは多いはずです。姫、あの豚王には『箱庭』にいるだけでいいと言われていたのでしょうか?」
「……あ、はい。精霊へ魔力を捧げるための、姫と」
はっきりと皆様は言わなかったが、物凄く怖い呪いのような『何か』を瘤で見たかもしれない。勝気な性格のナーディア様が少し怖いというくらいだから、返り討ちになりかけたような呪いでも発動したのだろうか。
私の受けてきた教育なんて、ほんの少しの養育以外は家畜の世話くらい。このお城に来るまで、知らない教育の方が多かったくらい何も与えられてなかった。与えてもらったのは、あの『箱庭』だけ。あそこはもう……帝国の侵攻によって壊されているのなら、それでいい。あんな場所、もう残す必要なんてないんだから。
とは思ったものの、瘤のためにはよろしくないことくらいは流石に理解できたが。贄姫を継承するにあたって言い聞かされてきたことは『生け贄』以外に『精霊への供物』程度しかない。こちらに来てジェイク様たちに『呪詛』の話を聞くまで、自分が悪いことに加担していたのも知らなかったくらいだ。
「……贄姫の代償。そして、魔力脈の途中にいくつか出来た瘤。そして、消滅方法は野蛮ですが姫の魔力を直接注ぎ込むかどうか。……初潮をあえて『止めて』いたのも、呪詛自体たとしたら……いえ、これ以上の憶測は」
「シスファ様。話してくれませんか?」
「「レティ?」」
「……姫。想像以上に怖い思いをしても?」
「痣のことで、既に怖いですから」
シスファ様が近くにいることで、今どこに移動しているかわからない呪詛の痣。それだけでも、私の身体に大きく影響を与えているのなら……消すために必要なことはなんだって知りたい。保護以上に、これから生きていくためにも。
「……わかりました。単刀直入に申し上げます。エルディーヌ姫の魔力は呪詛にとって相応な『糧』となり、瘤の中にある『悪魔の卵』への栄養源にさせられていました。歴代の贄姫たちよりも、姫の魔力が段違いにおいしいのか……神殿にあった瘤の中の卵は、ほとんど孵りそうになっていたのです」
「……あく、ま?」
「伝説上ではなく、本物でした。ラジールの豚王もおそらく知らなかったでしょうね。国の繁栄どころか世界の滅亡に加担していて、娘の魔力を『箱庭』から流していたことに」
「……それで、その玉を?」
「……ひとつで可能であれば、待機している破邪の家の者に託します」
「! 皆さん、死なないですか!?」
私の魔力が、悪いことに繋がるばかりだったのに。それを解決できる方向にちゃんと出来るのかがわからなくて怖かった。シスファ様は真剣な表情を緩めないでいる。それは、実際にやってみないとわからないということ。
おでかけとか、私のためとか。そんな事態ではないのはわかっても……心配だった。私なんかのために、ほかの人たちが死んでしまわないかということが。
「レティ。全部は保証出来ないのは俺たちも同じだ。ラジール王国がきっかけで、ほかの国々にも影響が出ているのは前からあったことなんだよ。だから、今度は逆に……ラジールの元王女である、君に力を貸してほしい。我が国の大きな火種はきちんと終わらせれたんだ。皇帝はとても喜んでくださったんだよ?」
「……え?」
焦った私に、ゆっくりと語ってくださったジェイク様の言葉にびっくりしたが。そのあとにシスファ様たちを見ると、同じように口を緩めていた。
「少し驚かせてしまいましたが、ご安心をと言えないのは私たちも同じです。しかし、姫の魔力はこれまで毒でしたが、薬にもなることがわかったのです。……ご協力お願いできますか?」
「あたしからも頼むよ、レティ」
「俺からも、改めて」
騎士の礼儀でひざまずく皆様。
元王女でも、価値のない私の前で、そんな大層な……と前なら、思っていたかもしれない。
だけど今は。逆に役に立てれるならと、座っていたが出来るだけ腰を折った。
「お受けします。皆様だけでなく、国内外のためにも」
贄姫としての役割を逆に利用なんて、いくらでも手を伸ばしてでも助けたかったからだ。そのため、作った玉を持ってルリルア湖畔へ向かうのことは『おでかけ』として再度秘密裏に動くことも決定した。
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