【完結】CCクロニクル・バースト

櫛田こころ

文字の大きさ
44 / 73

第44話 さらに情報整理

しおりを挟む
 そもそもの発端は、並行世界でも『大人の自分』と対面したことからだ。

 奈月そっくりの大人の男性。名前を『クロニクル=バースト』と偽名で、アーティスト関連のクリエイターだと口にしていたが。

 奈月の病状が悪化していく中で、告げてくれたのだ。魂の核は同じで別人ではあっても『加東奈月』本人だったと。


『……ここでの、俺。死ぬの? 未来の俺に会ったから』
『そんなの理由にならない。俺が君を『生かす』ために、並行世界を飛び回っていたんだ。やっと見つけたんだぞ? 死なせるか』


 その記憶を『バースト』の犯行声明に仕立てるために、態と大人の奈月が敵側になって引き受けてくれたが。奈月自身が長期間の大手術に必要な費用を掻き集めるために……並行世界から十二年の月日をかけて、ここまでたどり着いたというのなら。

 どこの並行世界であれ、この崩壊された光景はそのままなのか。宗ちゃんのVRもどきはAIでしかないので、チャットbot形式で端末に質問を打ち続ける。

 口頭ではまだ気温に慣れず、別端末でのタップで室内の解凍を試みたが『外で工事中』となっていたため、耐えるしかなかった。


「くっそ、さっむ!? 紗夜はどこにいるかわかんないのに!! 生かされた俺が死ぬわけにはいかないだろ!!?」


 冷凍ポッドの中には、携帯食料も保管されていたが今食べる気にはなれなかった。紗夜の解凍される設備は何処なのか。それをまず探査しなければ落ち着かない。

 ギリギリまで、奈月の意識にコマンドを打ち続け。

 限界まで、奈月の脳波に安心出来る言葉をかけてくれたのは。幼い頃に、迎えに行くと約束したきり会っていなかった『幼馴染み』。だけど、一度とて忘れていない初恋だ。

 並行世界側で、『咲夜』に繋いでくれたのは彼女しか出来ない。自分のAIをあんな可愛い少女に仕立てるだなんて、してやられたとしか思えない。

 約束のために、自己犠牲をするだなんて……お互い様としか言えないじゃないかと。


『その気力が出てきたのなら、限界値まで冷凍していたお前さんなら大丈夫だ。目標地へのナビゲーターとしてボクを連れて行くといい』


 ホログラフィーが携帯の端末に自動的にアップデートされ、こっちだと言わんばかりに案内の記号を出してくれた。外の被害がどれだけ酷かろうが、誤差二ヶ月なら少しは救援物資が整いつつあるのか。

 ポケットに携帯食料を入れようとしたが、宗ちゃんが必要ないと言い切った。


「なんで?」
『向こうで揃っているからさ。影の英雄にそれくらいの設備は整えてくれたのだよ』
「……英雄?」
『今じゃ、君たちはそんな扱いだ』


 ディスプレイを勝手に展開されれば、見覚えのある制服で復興作業が続けられているのが見えた。記憶の一端が間違っていなければ、『大人の奈月』が遊びたいと言っていた『VRゲーム内の警備部隊』の制服と同じもの。

 もしかしなくても、こちらの意識が寝ている間に何をしたのか。訴えたいところだったが、紗夜優先だと切り替えて壊れた病院施設から脱出することにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...