満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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10-1.心が折れそうな運動

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 ★・☆・★







 またさらに、半月後。



 ピピピ、ピピピ




「……99.5キロ」

「や、やったぞぉおおおおおお!!!!」


 とうとう、目標の一つである100キロ以下の減量に成功したのだ!

 ランニングマシーン、家事手伝い、ウォーキングにストレッチ、と色々やってきたが、大変な中にもたしかに楽しさを感じた。

 あとは、セリカの美味い減量生活用の食事のお陰もあり。

 排泄行為もだいぶ穏やかになってきたせいもあってか、最初の頃のような辛さは軽減されてきたのだ。

 であれば、俺様の努力も甲斐もあり、また半月で25キロ以上減ってもなんら不思議ではない!


「ん、マスターはよく頑張った。醜い肉や脂肪もだいぶ減ってきたし」

「な、なら、約束にパフェを」

「それはせめて午後。その前に、普通の朝ごはん」

「くぅ……」


 まだ相変わらずヨーグルトと果物だが、昼にたっぷり食べれるのだと思うとだいぶ慣れてきた。

 しかし、腹が膨れないといささか物足りない気がする。

 なら、その間に運動しろとセリカが言うので、今日も運動することにはなったのだが。


「肉も脂肪も落ちてきたのなら、今日から腹筋を割るための運動を少しだけ増やす」

「割る?」

「私はレシピやマスターの記憶でしか知らないけど。お腹が綺麗に割れるような状態を言う」

「腹が割れる……?」


 となれば、冒険者どものように肉体を資本に使う連中の身体が大抵引き締まっているのと同じ。

 俺様はたしかに、冒険者ではなく錬金術師であるが。

 が、見た目を気にし出した俺様は興味が湧いてきた。

 たとえ戦闘能力が低かろうと、腹を割れば見違えると言うもの。

 きちんと痩せれば、セリカを見返せるやもしれぬ。

 なら、受けて立つまで!


「けど、問題がある」

「む?」

「この運動は、すっごく短いけど。マスターでも多分すぐにバテてしまうから」

「そうなのか?」


 あと食事後、すぐにその運動とやらをするといつも以上にバテてしまうので。まずは、コンディションとやらを整えるのに、セリカの手伝いとポーション作りをこなして。

 そして、外の比較的柔らかい草の上で例の運動とやらをやることになったのだが。


「まずは、私が手本を見せるから」


 と言って見せてくれたはいいが。

 セリカは基本的に姿勢がいいからか、両脚を上げ下げしたり、前に教えてもらったような腹筋をするだけで、すぐに終わってしまった。

 が、最後は、いくらセリカでも疲れたのか、息を整えていたが。


「……大丈夫か?」

「ん。短いけど、効率よく脚とお腹周りが痩せる。続ければ、それが出来る」

「わ、わかった。やってみよう」


 どのタイミングで切り替えるのは、セリカが合図をしてくれるのでまずは動きの確認。

 が、これが思いの外辛かったのだ!


「んぎぎ、ぐぎぎ!」

「頑張って。一往復しただけ」

「ぐぎぎぎぎ! お前は簡単に出来てたのに!」

「私はマスターより身体が軽いから出来てるように見えただけ。まだお腹は正直言って痛い」

「うむむむむ!」


 両脚を揃えて、地面に落とさぬようにギリギリで耐えて、次は上へと伸ばすことこれを30秒。

 次は、腹筋とやら。これまでの腹筋とは違い、自分の足を曲げて上に浮かせて、左右に上半身をひねるのみ。

 これも30秒だが、ここまでが一番辛い!

 さらに、最後の30秒だが。腹筋とほぼ似てて、足を交互に前へ曲げたまま動かして。腕を後頭部で組んで左右にひねる。これも辛かった!

 汗もひどく出たが、腹がとにかく痛かった!


「……い、痛い!」


 セリカはどれだけ負担があったかはわからないが、まだまだ肉の多い俺様にとっては痛い以上に辛かった。

 わずかに、二分も経っていないのにこの辛さ。

 全身を使ったように体力が削がれて、筋肉とやらも悲鳴を上げている。

 これはすぐに立ち上がれなかった。


「けど、これを一日に一回すれば体型は変わってくる。耐えて」

「い、一日に一回……?」

「これに集中すれば、あとはウォーキングだけでいい。魔法でベッドに運ぶから寝てていい」


 お風呂は起きてから入って。午後には約束通りパフェ作ってあげるから。

 眠りに落ちる直前に、セリカはそう言って俺様を励ましてくれたが。

 次に起きた時は、もう昼過ぎだったのだ。


「……はあ。あれを一日一回。だと?」


 たったわずか二分ほどの運動だったのに、今まで何時間も苦労して運動してたのがバカらしくなるくらい。

 けれど、先に今回の運動をずっと繰り返していたら、俺様の心はすぐに折れただろう。

 でなければ、セリカはすぐにこの運動を進めたはず。

 俺様の心が折れにくいように、少しずつ負担を軽減してくれたのだ。俺様を気遣ってくれなければ、ここまで痩せることは出来なかった。


「……とりあえず、風呂に入るか」


 まだ多少腹は痛むが、昼を食べれるくらいには回復してきたので。

 汗だくの身体を清めるためにも、俺様はゆっくりと風呂場に向かうのだった。

 が、到着するまで、ほとんど身体を引きずるような姿勢で向かうしか出来なかった!


「ぐぬぬ……ま、負けぬぞ!」


 この天才錬金術師であるクローム=アルケイディスに、欠陥品である違法のエーテル培養液をなすりつけた犯人を見つけるためにも。

 俺様は元に……いや、元の姿以上に美しくなければならぬ!

 そのためにも、ここで折れるわけにはいかないのだ!
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