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10-2.幻覚?(セリカ視点)
しおりを挟む★・☆・★(セリカ視点)
あの運動を始めたのは、少し早過ぎたかもしれない……。
「……あんなにも寝込むまでになるだなんて」
急ぎ過ぎてしまったか?
けれど、今日取り入れた運動以外のパターンを取り入れたところで、結果は似たりよったり。
だから、比較的軽めの運動を選んで実践はしたけれど。健康体に近い私ですら少し辛く感じたのに、マスターはまだ起き上がってこない。
少し前に、ちょっと寝室をのぞいてみたけど、いつもなら聞こえるいびきすらかかずに、深く深く眠ってしまってた。
よっぽど辛い運動をさせてしまったかと後悔し、もっと軽めの腹筋などにしようと思ったが。すぐに、マスターの意見を聞いてからにしようと考えを改めた。
あのプライドの高いマスターが、根を上げるのは早いが、続ける方向にするのはほぼ間違いない、
シャインに使っている、欠陥エーテル培養液を押し付けてきた業者……犯人を捕まえて文句を言いつけるまでは、マスターはきっと諦めない。
本気で痩せると行動しない人が、いやでもこの半年近くであれほどにまで痩せないからだ。
だから、今日はマスターの目標の一つが叶ったと言うことで、思いっきり美味しいパフェを作ってあげよう。
「下準備はあとでもいいから。先にお昼ご飯の用意して」
それから、マスターはなんとか起き上がって無理矢理にでもお風呂に入ってくれたので。
お昼ご飯を出しても、まだ身体が悲鳴を上げているせいか、うまく食べられなかった。
「……大丈夫?」
「くぅ……まだ腹が痛い! 排便の時よりも腹回りが締め付けられるようだ!」
「……パフェ、またにする?」
「それは勘弁してくれ!」
「……わかった」
なら、より一層パフェを作るのに精を出していくしかない。
今日は休息日にすることにして、マスターは出来上がるまで寝室で休んで、それまでに私はパフェを作ることにした。
「糖質制限抜きの、ちゃんとしたパフェ!」
生乳の生クリーム。
いちごなどの新鮮なベリー類。
チョコレートソースにクランチ。
チョコレートソース。
普通のクッキーをクランチにしたものや。
夏も終わりを迎えてきたので、旬のフルーツを贅沢に。
そして、生乳の生クリームから作ったバニラアイス。
「……まずはクリーム作りから」
チョコは牛乳と一緒に湯煎にかけて溶かしたものを、適温に冷ましてホイップクリームと混ぜ込んで。
普通のホイップは白のまま作ることに。
「チョコを刻んだの、クランチにクリームを交互に重ねて」
花瓶のようなグラスの中に、交互に重ねていけば土台が完成。
そこに、綺麗にカットしたフルーツやホイップ、クランチにチョコソースなどをこれまた細工のように盛り付ければ。
「チョコレートパフェの完成!」
私の分も出来上がったけれど、なかなかの出来栄えではばいだろうか?
ほとんど、私の中に組み込まれている異世界のレシピによるものだけれど。
さて、不純物の少ないパフェなのでアイスは特に溶けやすいからマスターを呼びに行こう。
あと片付けを簡単にしてから、寝室に向かえば。
窓の日差しに照らされたマスターは……一瞬とても美しかった。
「え……え?」
何かの幻覚? と思いかけたが、すぐに目を凝らせば昼に見たままのマスターがベッドに寝てるだけだった。
「……今のは?」
精霊か何かの悪戯かと思いかけたが、この屋敷を含める敷地内にはひとつも気配がない。
おそらくだけど、神の偉業が如く、生命体を生み出したマスターを敬遠してのことかもしれない。
だけど、今のは……私の見たのが、幻覚でなければ。
あの神々しいまでの美しい男性の姿はいったい。
「……あれが、元のマスター?」
昼前と同じく、いびきをかかずにすやすやと眠っているだけだが、さっき見間違えたような神々しさはどこにもない。
ただ、肥えた一人の男性でしかなかった。
「……神の、私への悪戯?」
森羅万象の冒涜とも言える存在の私に対してのことかもしれないが。魔法などが存在するこの世界に神がいないわけがない。
なら、神が私にちょっとした悪戯を仕掛けてきてもなんらおかしくはない。
けど、少し悔しかった。
「……元のマスターは、私のものにするんだから」
ベッドの脇に腰を下ろして、少し腰を曲げて、久しぶりにマスターの髪に口づけを落とした。
が、マスターは起きなかったので、いつも通りの私の起こし方をするのに、亜空間収納を開いてレードルとフライパンを叩いて起こすのだった。
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