満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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16-3.ギルマスの怒り(アーク視点)

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 ★・☆・★(アーク視点)







『血の内部調査』をしていたら、またもやビーツとミリアム君の会合をクリスタル越しに見ることが出来た。


「……やはり、ライネス君達が聞いてきたようにディスケット君が関連してましたか」


 クリスタル越しに聞こえた、ビーツからの証言。

 ミリアム君もあそこまで怒りを露わにする女性だと思わなかったが、ライネス君と検討しあってわかった事実だがビーツとミリアム君はディスケット君に操られている可能性が高い。

 魔法か魔術かなにか。

 だとしても、長期戦を覚悟してわざわざエーテル生成液をすり替えただけにしても爪が甘いような。

 今回ミリアム君が口にしたように、毒を混ぜ込むことだって可能だったはずだ。

 まだまだディスケット君が出て来ないので、憶測しか出来ないが……これは好機だ。

 少々悪い方向に向かってしまっているが、あちらがやっと動き出した。ここ半月はエーテル生成液を準備するのに時間がかかっていたせいか、特に動きがありませんでしたしね?


「とは言え、まさかエーテル生成液自体を作り出しているとは」


 国が管理して、国家錬金術師達が生成してくれる液とは別に用意出来るとは。いやはや、自分を犯罪者として堕ちた存在でも構わないと思って、クローム君を死に至らせたいのか。

 それほど、憎く思っているのはいったいなぜか?

 ここ最近は、ポーションの納品にも来ないので、ディスケットの様子を探ることは出来ていない。

 ならば、内部調査どころか外部調査にまでしなくては。


 コンコン、コンコン



 音のリズムから察するに、ライネス君だろう。返事をすると、彼女が入ってきた。


「!……内部調査を、また?」

「ええ。またチェスト君達がうっかり口を滑らせてしまってましたが。ビーツとミリアム君が動き出しました」

「……ほう」


 記録させたクリスタルの中身を見てもらうと、ライネス君はくいっと片眼鏡を上げた。


「ここまで感情を露わにさせるとは……。ディスケット=ライツの持つ術中に陥っているかもしれませんね?」

「ポーションの腕前はまずまず。実質天才に相応しいクローム君と張り合うのもおこがましいけれど。妬む相手が星の数ほどいるうちの一人。隠蓑はごまんといますからね?」

「では、生成液をマールドゥかチェストに持っていかせる前に、ミリアム達の洗脳を解かせる方法で?」

「それも考えてますが、ディスケット君が表に出て来ないと第二、第三のミリアム君達を派遣してきてもおかしくはありません」

「では、このままのうのうと待つだけですか?」

「内部調査だけでなく、外部調査もしようと思います。なので、ディスケット君の周辺を洗うのに協力してくれませんか?」

「了解致しました。クローム=アルケイディスも以前とは違い、いくらか穏やかな性格になりつつありますしね。今の彼のためでしたら、協力しましょう」

「チェスト君達から聞きましたが、君がクローム君とセリカさんの恋を見破ったと?」

「ええ……ええ! 見ていてこそばゆいと思うくらい、あの二人は想い合っていますよ!」


 ふむふむ、なるほど。

 ライネス君の恋愛察知レーダーのようなものは確実性が高いですからね?

 僕も約一年ぶりにクローム君には会いましたが、セリカさんを創ったお陰か、はたまた共に過ごしてきたお陰か? 一年前までとは違い、他人を思いやる性格に少しずつでも変化していた。

 それに、ビーツを少なからず信頼してた様子もありましたし。……そうそう、ビーツのことで新しい発見がありましたね?


「それは喜ばしいことですが。ライネス君、ビーツのことで新しい事実が解明されました」

「新しい、事実?」

「もう一度、このクリスタルを見てください」


 そして、もう一度クリスタルの記録を覗いたライネス君からは。

 執務室の外に出てしまうくらいの絶叫が出てしまうのだった。当然僕は叱りましたよ?


「こ、こここ、こんなことがあっていいんですか!?」

「ええ。おそらく、ディスケット君にはそこをつけ込まれて洗脳にかかってしまったかもしれません」

「……なんと、許すまじ!」

「ええ。許しがたいですねぇ、僕ら生産ギルドの人間を私用目的のために操るだなんて」

「……お怒りはごもっともですが。それで表に出ないでくださいね?」

「おやおや」


 僕も人の事は言えませんが、怒りが表に出るとそれはそれは怖いらしいですからね?

 仕方なく、新しいタバコを取り出してからひと息つけるのでした。
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