満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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18-3.若鶏の竜田揚げ②

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 ★・☆・★







 まったくもって、異世界の料理は美味い!

 俺様が偶然に召喚させたレシピ集を、思いついた時にセリカを錬成させるのに組み込んだとは言え。

 それを記憶として使いこなしているセリカもだが、作り出される料理はどれもが美味い!

 そして、普段は俺様だけが堪能出来ることに、この上ない幸せを感じている。

 今日の、タツタアゲとやらも物凄く期待していた。

 何せ、俺様とセリカが作ったこのタルタルソースとやらが活かされるのだから。


「じゃ、今から揚げていく」


 と言って、セリカは何かに漬け込んだ肉を素手で持ち、白い小麦粉らしき粉のバットの中に入れて、粉をまんべんなく肉にかぶせていく。

 それが終わったら、粉をつけた肉を揚げ物用に作った厚手の黒い鍋の中にある油へと滑り込ませれば、ジュワッと音を立てて、肉の周りに気泡が立っていく。

 セリカの調理の手伝いをするまで気づかなかったが、揚げ物とはこう言うものらしい。


「少し気泡が小さくなるまで揚げていく。時間はだいたい三分くらい」

「ほう」


 揚げ物とやらは、揚げすぎてもいけないが早過ぎてもいけないらしい。

 それと、踊るような油鍋の中に入れてても上下をひっくり返しておくと、均一に火が通るそうだ。

 やがて、カラッと綺麗な茶色に揚がった肉を、トングで引き上げて網を敷いたバットに載せた。

 そして、どんどん揚げていく。


「これは冷めても美味しいから、明日のお昼のサンドイッチにもしてあげる」

「おお! 嬉しいぞ!」


 また明日も食べれるのなら嬉しくないわけがない!

 このまま、ほかに準備した皿に盛り付けると思いきや、ブロックのままでは食べにくいからかセリカが包丁でスライスしてから皿に載せた。

 ザクっ、ザク、と小気味の良い音が心地よい。

 すぐにでも食べたくなるが、まだまだ我慢だと仕上げを手伝う。と言っても、サラダやスープを卓上に載せていくだけだが。


「ん、出来た」



 そう言って、二人分の皿を持ってきたセリカがこちらにやってきた。

 手作りのタルタルソースを載せたそれは、とても美しかった!


「これが、ワカドリのタツタアゲ?」

「基本のよりは、アレンジしてるけど。他に甘酸っぱいソースを使っていないからチキン南蛮とも違う」

「チキンはわかるが、ナンバン? 数字とは違う発音をしていたが」

「また今度作ってあげるから」

「そうか、わかった」


 揚げ物らしいが、甘酸っぱいのは余計に気になる。

 前に一度、魚の甘酢あんかけと言う少し甘酸っぱいタレをかけた魚の揚げ物とやらは実に美味かった。

 あれに近いものであれば期待はおのずと高まっていく。

 だが、まずは目の前にある至高の料理をいただこう。


「「いただきます」」


 手を合わせてから、まずはスープで胃袋を温める。そうすると、少し満腹感を得て、食べ過ぎ防止になるらしい。今日のスープはキノコがダメな俺様を気遣ってか、以前も作ってくれたキノコのペーストたっぷりのポタージュだ。

 そのあと、少し口の中を冷やすために、新鮮な野菜で作ったリーフとプチトマトのサラダ。プチトマトだけは自家製で、これまたシャインで生成したものだ。

 そして、セリカ手製のふすまブレッドを少し食べてから、いよいよメインのタツタアゲにフォークを寄せる。


 サク……。


 少し時間が経っているにも関わらず、揚げた肉にフォークを刺すとカラッとした感触が伝わってくる。

 味付けをしてるかはわからないが、せっかくたっぷりかけたソースがもったいないので、しっかりつけてから口に運んだ。



 ザクッ!



 噛むと、粉を揚げた部分はカリッとするどころかザクザクしていて、油で揚げたせいかとても軽い食感だった。

 なのに、肉はジューシーで柔らかく、粉を揚げた部分とよく合う。が、それよりもこのタルタルソースとの組み合わせが絶妙だった。

 俺様は、肉、ソースをよく味わってから飲み込んだ。


「セリカ、美味いぞ!」

「よかった。肉に醤油で下味をつけるのもあるけど、マスターの好みだとこっちがいいと思ったから」

「なに? まだあるのか?」

「ニホンのレシピだと、アレンジが多種多様あるらしい」

「ふむ、奥深いな!」


 全部食べてみたいが、食べすぎるとまた太るから頻繁には無理だろう。絶対セリカに叱られるに違いない。

 なので、今ある分をしっかり味わなければ。明日もサンドイッチで食べられるしな!


(……ん? 視線を感じる?)


 当然、セリカだろうと前を見てみれば……!?

 この上なく、美しい微笑みを浮かべたセリカが俺様の方を見ていたのだった。

 その微笑みを自分で浮かべていることに気づいていないのか、セリカは食事の手を止めて俺様を見続けてきていた。


(セリカ……お前、まさか)


 俺様のことを好いてくれているのか?

 そう思い立つくらい、その微笑みは美しかった。

 が、俺様に気づくと、ハッと意識を切り替えたのか、元の無表情に戻ってしまい、俺様にも食事を続けるように促した様子はいつものセリカだったが。


(だ、誰にこれを相談すればいいんだ!?)


 シャインには、さっさと言えと背中を押されたが、まだ目標体重と体型に戻っていないので愛を告げるのは無理だ。

 であれば、チェストやマール……そういえば、明日はチェストが納品の来る日だ。その時に聞いてみよう。

 持つべきは幼馴染みだ、とこの日思わずにいられなかった。
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