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20.とうとう?(セリカ視点)
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……本人以外とは言え、色んな人に自分の気持ちがバレていたとは。
(なんでよぉおおおおおお!!!!)
常日頃は、無愛想無表情(自分で言ってて哀しい)の私だから、表に感情が表れていないからシャイン以外知られていないと思ったのにぃいい!!
なんで、マールドゥにもだけどチェストにもバレバレなのよ!?
これじゃ、マスターに知られるのも時間の問題……けど、何故か彼らには応援されているし。
いいのか? と思っても二人には反対されるどころか『くっついちゃえ!』な勢いで応援してくるのだ。
嬉しいと言えば嬉しいが、マールドゥはまだしも挨拶以外そんなに多く言葉を交わしていないチェストにまで言われるとは。
私ってば、シャインの前以外でも表情が出るようになった?
いいことかもしれないけど、マスターの前ではほとんど出ていないから複雑だ!
「……シャインぅ」
困った時は、お母さんならぬ【恵の豊穣】に相談に乗ってもらうべし。
今日は稼働しているけど、管の片方はマスターの衣類。もう片方はまだまだ続けている糖質OFFの食材生成。ちなみに、今日はゼロ麺でもパスタタイプを作ってもらっている。
シャインは私が情けない声で呼びかけても、間を置いて声を発してくれた。
【……情けない声を出すな、セリカ】
「だって……だって、マスターにはまだ言ってないのに。マールドゥやチェストには、私の気持ちがバレたんだもーん」
【ほう? 反対されたのか?】
「ううん。……逆に応援された」
【なら、良いことではないか?】
「けどぉ。私シャイン以外には顔に出にくいのに、どこでバレちゃったんだろ~……」
【そうか? あなたは意外な部分で表情が出ていると思う。我の前だけだと思いがちだが、ヒトと言うのは意識していない部分でも表情は出るものだ】
「……それは、シャインに組み込まれた知識?」
【諾】
わずか三ヶ月の差とは言え、シャインには様々な人間の知識が組み込まれている。
それをうまく学習して、人間のように人格を持つ魔導具として稼働しているが。娘? である私が生まれてからは、特にお母さんのような世話焼きさんが出てる気がする。
まだ、私の錬成が完了していない、エーテル培養液の管の中にいた時はもうちょっと若々しかったような。これ以上言うのは、シャインを傷つけちゃうのでよしておこう。
「けど、マスターだいぶ痩せたね~? 記憶には組み込まれているけど、本当にあんなにも綺麗だなんて思わなかったよ~」
【ヒトの美醜については、我はあまりよくわかってはいないが。創造主の姿については、あなたのお陰であのように変貌したのだろう?】
「……私は自分に組み込まれた異世界のレシピを伝えただけだもん」
たしかに、自分のためでもあったが。今のマスターなら寿命はほぼ元通りだし、細胞がわずかでも組み込まれてリンクさせられている私も生き長らえる。
けど、最終目標の猫っ可愛いがられる方法も、素直になれていない性格じゃ、いきなりマスターに飛びついても驚かせるだけだ。
もうちょっと……もうちょっと、素直に今シャインに見せているような性格が出せればな……と思うけど。なんだか恥ずかしくて出来ない! 私のばか。
【しかし、以前にも言っていたが。創造主には笑顔を見せろと言われたのだろう? であれば、やはり自分の感情を表に出す練習をしておけと我は言ったが?】
「う……だけど、あなた以外の前では。こわばっちゃうの……」
【……であれば。親愛の情を見せるべく。やはり髪か頬に口づ】
「わーわー! あれはもう無理ぃいいいい!!」
【……だから、勢いが大切と言ったでしょうに】
「だってだって!!」
あれは本当に勢いからだったけど。次やれと言われてもできない!
私も出来過ぎた真似だったと思うし、もう一回やれと言われても恥ずかしくて無理!!
髪を撫でる程度は、まだ出来るけど……キス……キスは無理ぃいい!!
いずれは口に……って、馬鹿馬鹿絶対絶対無理ぃいいい!!
とりあえず、シャインには無理!! ともう一度言うと、ため息を吐いたかと思うくらい長い間を置かれた。
【あなたは創造主に恋をしているのでしょう? 好いている相手に親愛の情を見せなくては、気持ちも伝わらないのでは?】
「け、けど……可愛くないとこばっかり見せているし。見た目は置いとくにしても、マスターは私に振り向いてもらえないよぉ……」
【……その素直さを創造主にも見せればいいのに】
「だってぇ……」
【…………で、どうします? 創造主?】
「…………………………え?」
シャインが呼びかけた、と言うことは……と、入り口の方に振り替えってみると。
これまで以上に、湯気が立つんじゃないかってくらいに、顔を赤くさせていたマスターが立っていたのだった。
「……………………ま、マスター?」
「……八つ時の時間になってもいないから、探し、たのだが」
もしか、しなくとも、聞かれていた?
私の素の性格や、他諸々。
さらには、私がマスターを想っていることも……?
「…………い、いやああああああ!!!! 穴があったら入りたいぃいいいいい!!!!」
「お、おおお、落ち着け、セリカ!?」
【許容範囲、の限界値。創造主、セリカを止められるのはあなただけです】
「は、俺様!?」
「いやあああああああああ!!!! もう嫌!! マスターに知られたぁああああああ!!!!」
「と、とにかく落ち着け、セリカ!!?」
「ふぇ!?」
ごろごろ転がりながら、身悶えていた私の体を。
マスターは抱きとめて、子供をあやすような感じで髪を撫でてくれた。……これは、夢?
「ちゃんと、俺様にも言わせろ! お前が実はここまで感情の起伏が激しいホムンクルスだとは思わなかったが」
「……ごめんなさい」
「誰も悪いとは言っていないぞ?」
すると、髪を撫でてた手で顎に手を添えられた。
なんで? と思っていると上向きにさせられて、マスターの綺麗なドアップが間近に見えた。すっごくすっごく綺麗な笑顔!! じゃなくて!?
「え、え?」
「まさか……と昨日思ってたことが当たってはいたとはな?」
「当たって、た?」
「お前が、一昨日の夕飯で俺様に向けてきた微笑み……あれでなんとなく勘付いた」
「ふぇ!?」
「まさか。お前の素がこんなにも愛らしいとは思わなかったぞ?」
そして、額に……まさかまさか口づけられてしまった。
そのまま、私は感情が追いつかずに、気絶してしまい、マスターを大いに慌てさせることになってしまったが。
気がついた時は、私は自分の部屋のベッドで寝かしつけられていて、マスターは椅子に座りながら私の顔を覗き込んでいた。
おまけに手を握ってて!?
「ま、マスター!?」
「起きたか。まだ告げてもいないのに、気を失うとはな?」
けど、マスターは言葉と裏腹にとても楽しそうな表情でいた。
空いている方の手を私に伸ばすと、髪を梳いてくれた。
「つ、げてない……?」
「俺様が、お前を好いていることだ」
「す!?」
う、嘘だ嘘だ!? と口にしても、マスターは首を軽く横に振った。
「いいや、本当だ。セリカ、俺様はお前が好きだ」
「ふぇ……!?」
もう昇天してもいいんじゃ……と思いかけたが、マスターが無理に布団ごと私を抱きしめてきて返事を催促してきたのだった。
「直接聞きたい。それに、なぜその愛らしい性格を隠していた?」
「わ、わかん、ない!……シャインの前だと、素直になれてただけで!?」
「今後は出来るだけそうしてくれ。返事は?」
「ほ、ホムンクルスだけ、どいいの?」
「問題ない。国から禁止されてるわけではないからな?」
「……わ、私……も、マスターが…………す、き!」
「よし!」
そうして限界ギリギリの力まで抱きしめられて。
キスはなかったが、マスターではなく『クローム』と呼ぶように許可されたのだった。
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