満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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19-2.秘密裏に(???視点)

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 ★・☆・★(???視点)






 我が息子らとはいえ、長男と次男でえらい違いで育ってしまった。

 子供らの中に娘はいるが、次男とはあまり仲が良くない。

 と言うのも、長男の方が多方面で出来が良過ぎるせいで、王位継承権が低い次男は並み以上に出来ていても、将来王位継承する予定である長男には引け目以上に妬みを強く抱いていた。

 それを気づかぬ父親の私でがあったが、王ゆえに、私と公を分けるわけにも行かず。

 どうしたものか、と長年悩んではいたのだが。

 ついに、次男が罪を犯してしまったと聞いた時は落胆しそうになってしまった。

 だが、王ゆえに、長男である王太子の言葉と知己である生産ギルドのマスターからの報告を聞いて、意識を失うわけにはいかなかった。


「……以上が。ルーイス王子を首謀に企てられている、クローム=アルケイディスへの殺害未遂ならびに、不完全なエーテル生成液の極秘錬成へのご報告になります」


 ギルドマスターの、アークが報告してくれた内容は、自身が得意とする『血の内部調査』並びに『外部調査』で記録されたクリスタルボールを通じて見せてもらった。

 王家にも会得が難しいとされる技能スキル。私が若い頃、城下でお忍びでやんちゃしていた時に出会った友人でもある。

 当時、王子とはいえ、分け隔てない付き合いをしてくれたかけがえのない友人だ。

 だが、その友人の口から、私の息子が罪を犯してしまった真実を告げられるとは思ってもみなかった。


「……そうか。君の血の能力は、他に可能な者でも群を抜いているからな? 不正はない。第二王子の件は信じよう」

「陛下。捕縛は陛下自らではなく、この王太子である私にさせてください。元はと言えば、アレは私を妬んで……朋友ともであるクローム=アルケイディスを亡き者にしようとしたのですから」

「その事実は私も知ってはいる。が、ここは王として処罰は与えなくてはならん。捕縛直後に、この謁見の間に連れてきなさい」

「はっ」


 勅命を出した直後、エーテル生成液の製造並びに国家錬金術師でなくとも優秀である錬金術師への殺害未遂。しかも、長期に渡ってとなると、ただ謹慎の処罰を与えただけでは生温い。

 肉親とは言え、王は王だ。

 血を、肉を与えた父親であろうとも、王ゆえに情けをかけては行けない。

 罪は罪。エーテル生成液についてもだが、それを利用して殺害を企てていたのなら、本来なら死罪だが王族ゆえに、そこだけは軽減出来る。

 だが、実行犯らしき、ディスケットとやらの錬金術師はそうもいかんがな?


「……公的な謁見はここまでだ。ここからは、いつも通りで構わん。近侍らも退席させているからな?」

「「わかりました」」

「……ったく。お前もお前だが、ルーイスの奴め。何を阿呆なことをしているんだか」


 王の仮面を取った、は内心かなり憤っていた。

 次男がけしかけたこととはいえ、長男の友人である錬金術師を殺そうとは?

 その程度で王位継承権を揺さぶることなど不可能だ。

 逆に、この長男の方が動いて報復を蹴下とされるだけだろうに。

 妬む相手とは言え、相手が悪い。我が息子だが、王太子である長男のガイウスは色々・・特殊だからな?


「ひっどいなー、父上・・。僕は王太子として日々動いているだけだよー?」

「俺とアークの前だからとはいえ、を出し過ぎるなよ? 弟の前でもほとんど出していないのに」

「そりゃぁね? 家族とは言え、父上の前でしか出すつもりなかったからさー? 僕が、『転生者』であることは」

「はは、僕が最初聞いた時は驚きましたよ殿下」

「ふふ。アークさん今はそんな驚いてないよねー?」

「まあ、あなたが今では子供ではありませんから」

「和んでいる場合か、馬鹿ども」

「「はーい」」


 この二人を組ませたら、面白い以上に事件が解決してしまう。

 それはいいんだが、今回は身内の身内。しかも、俺の子供ときた。

 王としては幽閉を考えているが、これを機に王太子の正体をバラした上でルーイスの内面を絶望に落としてもいいかもしれない。

 生まれてわずか一年で、基本的な作法に加えて言葉を巧みにしてきたこの転生者は、ニホンと呼ばれる異国どころか異世界出身者。

 性格はもともとなのか、それとも俺に似たのかわからないが、掴みどころがない雲のような感じだ。

 だが、転生者ゆえなのか、利発で内政にも詳しい。

 ちょうど長男だったから、王太子に据えたまでだ。英才教育の方もうまく飲み込んで、外面を俺のように作ったらあっと言う間に社交界の華とまで呼ばれた。

 その真実を知っているのは、家族でも俺だけだ。

 母親である王妃は薄々気付いているだろうが、特になにも言わずにニコニコ微笑むだけ。

 他の子供らには、長男のような転生者としての技能スキルなどはなかったが。俺はこの長男を自分の子供と言うよりは、仕事上での相棒のような不思議な立ち位置として見ている。

 アークとも性格はやや似ているし、組ませたら組ませたで意気投合しているし。

 ああ、俺が王位をこいつに譲っても安泰かもな……と思ってたら、もう一人の息子がやっちまったんだよ、まったく!

 暗殺対象ならまだしも、私的な私怨を煮えたぎらせている相手の友人を、って馬鹿か?

 クローム=アルケイディスは俺の方だと特に面識はないが、ガイウスの口からは王家に匹敵するくらいの美貌なのに性格に難有り、だが面白い! としか聞いていない。

 だが、気に入っているガイウスの友人だからこそ、痛手を負わせるために……と普通なら考えるが、クリスタルボールから得た情報と照らし合わせるとそれだけではないようだ。


「アーク、ルーイスとクロームとの接点。血の内部調査でさかのぼって探れるか?」

「可能ですね~。僕としても、殿下のご友人と言うだけで、クローム君を殺すだけでは理由が少し弱いと思っていましたしー? けど、どうやら個人的に報復したい相手にもなっているようです」

「あ、僕も、この間以上にもっと詳しく知りたいでーす」

「お前は自分の執務を終えたのか?」

「やだなー、父上~? 僕の処理能力知ってるくせにー?」

「……はあ」


 優秀なんだが、こいつの性格はやっぱり親と言うより同じ性別の人間としてしか見れん……。

 ひとまず、経過報告は報せろと二人に告げてから謁見の間を退室させた。

 俺だけ残ってから、ひとりごちた、が。


「何故王家ゆえに、穏便に事は運ばねーんだよ……」


 もうだいぶおっさんな俺だが、息子一人の育て方を間違ってしまったんじゃないかと憂えずにはいられなかった。
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