満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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21-2.奴への報復のため(ディスケット視点)

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 ★・☆・★(ディスケット視点)








 近い……奴、クローム=アルケイディスを亡き者に出来る日は近いと私は自負しているのに。

 例のエーテル生成液がなかなか生成出来ずに、ただ待つしか出来ない日々を過ごしてしまっている。

 今日も今日とて、私は生産ギルドでポーションを納品しに行く地味な活動で身を潜めていたが。


「今日もアルケイディスさんのポーション完売だってよー?」

「街から出て行った方が質上がってるのって、すげぇな?」

「なんかでっけぇ屋敷購入して一人暮らししてるって聞いたよな?」

「納品は直に来ずに、幼馴染みの職員に取りに来てもらってんだろ?」

「わけーのに悠々自適な生活してんな? ま、ここに来る度にハーレムのような光景見させられるのよりゃマシだな?」

「だなー?」


 たしかに、クロームは街を去った。

 その理由はビーツからの情報によると、街は疲れるので少し辺境でのんびり過ごしたいとのことだったが。欲がないのかと、私には腹立たしかった。

 向こうは私を目にも入れていなかったようだが、私は違う。

 何故ああも容易く、高位のポーションを錬成出来るのかわからず、まだ奴がこの街にいた頃。妬む前に教授して欲しかったと純粋に憧れていたあの頃。

 クロームは私を見向きもせずに、『知らん』と一蹴しただけで話を終わらせた。

 それを機に、私は尊厳が高い奴をその地位から蹴倒したいと思った。最悪は、命を落とすことも。

 だから、ずっと機会を狙っていたのだ。

 それに、まさか第二王子殿下も、奴を妬んでいたとはな? 殿下にはサポーターになっていただき、クロームの研究する錬成料理とやらに……未完成どころか悪質な生成液を提供してくださるのを、本当に作ってくださるとは思わなかった。

 洗脳を、ミリアナやビーツら受付の職員に植え付けて、クロームを妬む感情も植え付けた。

 だから、このギルドでは実質的に牛耳っているのは、この私ディスケットだ。


(なのに……なのに!)


 例のエーテル生成液をうまく運ばせて、クロームを死ぬほど太らせて、服毒死させるつもりで計画は完璧だったはずなのに!

 奴がどんな気紛れか、エーテル生成液でホムンクルスを錬成させて、そいつのせいで逆に元に戻ってるかもしれないと言う始末。

 しかも、そのホムンクルスに懸想しているだと?

 いくら国が禁止していないとは言え、自ら生み出した生物と結ばれる?

 まったくもって、意味がわからない。だが……死に場所は同じにしてやる。ありがたく思え、クローム=アルケイディス!


「ふ、ふふふ、くくく!」


 ポーションを納品した後、とりあえずミリアナやビーツを呼び出すのに別の受付嬢に二人のことを頼んだ。

 そして、呼び出してもらった後に、私は二人を連れて使われていない倉庫の中に入った。


「さて、諸君。まもなく、新たなエーテル生成液作成が完了する。受け渡しは、もちろん諸君のどちらかに頼むつもりではいる。悟られないよう、心して取り掛かって欲しい」

「「……わかり、ました」」


 洗脳をかけた、私の前だと二人は感情をあらわにしない操り人形も同じ。

 もとより、騒ぎたくがないためにそう暗示をかけたのだ。我ながら惚れ惚れする腕前だ。


「ルーイス殿下から許可はいただき、例のエーテル生成液には毒が仕込んである。受け渡して、奴が例の錬成料理を作り出し、口にしたところで我々の目的は完遂するだろう」

「「……はい」」


 くくく、クローム=アルケイディスよ。

 自ら生み出した魔導具で、自分の命を断つのだ。悪く思うまい。

 とりあえず、ビーツの方に生成液がいつ届くか聞いてみると、あと二日後らしい。

 近い……私の時代が近づいてきている!

 いくら元に戻ったところで、もうお前に退路はないのだ! クローム=アルケイディスよ!
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