満腹マッドサイエンティストはガリガリホムンクルスを満足させたい!〜錬金術の食事を美味いと言わせたいだけのスローライフ〜

櫛田こころ

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24-2.ガイウス王子(ガイウス視点)

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 ★・☆・★(ガイウス視点)







「ふ、ふふふ……」


 いやいやまあまあ、今の弟の成長がおかしくておかしくて。

 イクス以外いないと分かってから、僕は堪えてた笑いを止められなかった。


「く、くくく……あっはっはっは!」


 ただ、まだイクスには僕が転生者とは伝えていないので、王太子らしく振る舞うことにした。もう遅いかもしれないけども?


「……殿下。失礼ですが、そこまで……?」


 イクスには、結構協力してくれてるから、もうバラしてもいいかもしれないけど。先日、生産ギルドのチェストと、クロームの恋人になったセリカちゃんにバラしたばっかだから、あんまり広め過ぎてはいけない。

 将来の国王が、チャランポランな男だって社交界にバレても面倒だし?

 僕だって、転生したからには将来クロームのように、セリカちゃんみたいな良い子と結婚したいんだもーん?

 気になる子は最近出来たけどさ?


「ふふ。おかしいと思わないかい? 私の朋友ともを私怨で殺そうとしている我が弟は、爪が甘過ぎやしないかとか?」

「……正直に申しても?」

「私しかいないから、構わないよ?」

「……では」


 ふふ、腹心の部下から聞く我が弟の情報も面白いに違いない。


「お年の割には、発想が子供っぽいですね? 執務は特に問題がないようですが、私情となると……その」

「だいぶ、馬鹿っぽい?」

「分かっていらっしゃるではないですか……」

「うん。あれの性格は王には向かないからね? 将来の王弟や公爵としても、向かないだろう」


 その前に、クローム暗殺未遂と不正のエーテル生成液製造の罪で幽閉確定だけどさ?

 いくら、今の家族でも、僕はあれには情けをかけない。

 かつて、ルーイスのダイエット生活のコーチを務めたとは言え、彼から感謝の言葉はほとんどなかった。だから、家族とは言えども、僕とは異質な人間でしかなかった。

 それゆえに、好かれてもいないし、相容れない。

 畏怖のような感情はあるらしいが、結局は他人でしかなかった。

 であれば、罪を犯した彼には、相応の罰を与えなくちゃいけないのだ。


「……しかも、今回の件で優秀とも言い難い宮廷錬金術師のあぶり出しも出来てしまいますからね?」

「不要な輩は、王宮にはいらないからね? 良いきっかけだったと思ってるくらいでいいよ?」

「……その後に、クローム=アルケイディスを推薦されるのですか?」

「おや、我が朋友ともにそこまでの強制は出来ないよ?」

「ですが。不正のとは言え、エーテル生成液を培養液にして……優秀なホムンクルスを錬成されたのでしょう? 殿下がご推薦されれば、地位も名誉も」

「彼は、そんなしがらみに囚われたくない人間なのさ」


 セリカちゃんを錬成出来たのは、きっと偶然かもしれないけど。彼は今の生活に満足しているどころか生き生きとしている。

 王宮に召喚させて、宮廷錬金術師としての地位やセリカちゃんを助手にすることは簡単だ。

 だけど、クロームには自由でいて欲しい。

 僕が、七歳の頃に出会った時のままでいて欲しいんだ。


「十五年前のように、とはいかないけれど。クロームには自由でいて欲しい。でなければ、生産ギルドも冒険者ギルドも、うまく立ち回らないだろうから」

「……市民のためでもですが?」

「聞こえはいいかもしれないけれど、彼は……自由を手にしたいと言ってたのが昔の口癖だった。この前会いに行ってきた時は、まったくと言っていいくらい口にしなかったんだ」

「自由を……?」

「街にいる時は、人混みが煩わしいと言っていた。王宮にしか居場所がなかった私と同意見。そこから共通点を得て、次第に友になっていったが」

「……クローム=アルケイディスの噂は多々ありますが。殿下はそれでも、朋友ともとおっしゃっていましたね?」

「彼ほど、興味深い人間はいないさ」


 僕の鑑定眼で見抜けた、彼の技能スキル

 最初は僕の知ってる異世界の物体などを召喚出来るんじゃないかなって、色々試してはもらったんだけど。慣れないうちは、失敗ばかりが多かった。


(……だけど、楽しかった)


 異世界の、生命体以外の召喚で得たもの達。

 あれの大部分は、今も僕の部屋の秘密の保管庫にしまってある。知っているのは、父上くらいだ。


「……殿下、いい笑顔をなさいますね?」

「ふふ。イクスにも見破られるとは、私も仮面が甘くなってきたかな?」

「これで、将来の王妃様が見つかれば、陛下からもとやかくおっしゃられないのでは?」

「ふふ。ひとり、気になる女性はいるんだよ?」

「ど、どなたですか!?」

「まだ気になる程度、さ。それに貴族令嬢じゃあない」

「それは……陛下がお認めになられますか?」

「私もまだなんとも言えないからね?」


 クロームやチェストの幼馴染みであり、アークさんの腹心の部下の一人。

 マールドゥと呼ばれていた、あの女の子。

 好きな相手、と言うよりは、クロームと出会った時のようなときめきがあったんだよね?

 性格はクロームに聞いてたけど、なかなかに興味を持てる女の子だったなあ?

 十五年前の時も、何度かは会ってはいたけどさ?


「……そう、ですか。話は変わりますが、例のエーテル培養液ですが、目視だけでは確認出来ない不正のエーテル生成液を使用したことは。こちら側の研究チームで解析出来ました。おそらく、今錬成されている生成液も似たような製造法だと思います」

「うんうん。引き続き、報告はお願いするね?」

「はっ」


 イクスが潜伏先に戻ってから、僕はひと息つくのに自分でお茶を入れて、趣味である料理で作ったタルトケーキを食べることにした。


「……世の中、うまくいかないのはどこでも同じなんだね?」


 クローム達と出会った頃も、その煩わしさから逃げたかったのがきっかけだった。
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